本文へスキップ

正しい音

 オーディオ・ファンのはしくれとして、日々、自身の機器の音質改善に注力しているところでありますが、あれこれやっているうちに、いつの間にか「正しい音」と乖離してしまった、なんてことにならないように気をつける必要があります。「好きな音」だと人それぞれに好みがありますから、何をもって「良い音」とするのかは一概に決められません。しかし、「正しい音」なら正解は一つでありましょう。「正しい音」というのは、「生音」に他なりません。

 近ごろは、PCオーディオやハイレゾ音源などの普及によって、とくに音の「解像度」が注目され、ひたすらそれを高めるのが「良い音」だと評する向きがあります。それはそれでスバラシイのですが、しかし、「正しい音」かというと、大いに???であります。たとえばコンサートホールで、実際にオーケストラの演奏を聴かれた方ならお分かりだと思いますが、真の「生音」の解像度はそれほど高いわけではありません。かといって混濁するわけでなく、響きや余韻が実にきれいです。音量が大きくても決してうるさく感じない。

 音の「解像度」と「響き」は、ある意味、相反するものですからね。解像度の高さに感動してそればかりを追い求め、いつのまにか響きのないスカスカの音を聴いてた、なんてことになってはいけません。耳の慣れって怖いですからね。これはこれまでの私自身への自戒をこめての言でもあります。

 実はプロといえども、その辺はいろいろ苦労があるようで、いつかの新聞に、コンサートホールの設計に携わる人のお話が載っていました。最近はデジタルオーディオを聴き慣れた人たちをどうしても意識せざるをえず、いかにクッキリした音を出せるかに腐心しておられるとか。しかし、だからといって肝心の豊かさが失われてはならない、とも。この相反する「クッキリ」と「豊かさ」をうまく両立させるのが腕の見せ所だそうです。やっぱりバランスがいちばん大事なんですね。


目次へ ↑このページの先頭へ