「倭寇」とは、中世における日本の海賊だと一般的に考えられており、東アジアで密貿易や略奪行為を行ったといわれます。小学校の授業で初めて「倭寇」を習ったときは、昔の日本人がそんな悪いことをしていたのかと、ずいぶん残念な印象をもったものです。しかし、「明を苦しめていた倭寇には、確かに日本人も含まれていたが、実はその大部分は中国の密貿易商人だった」という見方もあります。それによると、倭寇の実態を次のように捉えます。
当時の明では、太祖・洪武帝が、外国との朝貢貿易で貿易権を独占するため、また沿岸の都市が貿易によって発展し皇帝の統制に服さなくなることを恐れて、一般人による貿易行為を一切禁止する「海禁令」を打ち出していました。これは「寸板も海を下るを許さず」、つまり人間はおろか、板切れでさえも海上に出てはならないという無茶苦茶な政策でした。
そのため、それまで貿易によって生計を立てていた中国東南部の人々が、やむなく密貿易を行うようになったのです。彼らは、中国の地方富裕層と結託してさかんに密貿易を行いました。それに加わったのが、ポルトガル人や日本の商船でした。そして、当時は世界中どこの貿易業者も武装し、頻繁におこる貿易相手とのトラブルに備えているのが当たり前だったのです。
それがなぜ、「倭」の海賊としてだけ悪者呼ばわりされるようになったのか。実はこれは、密貿易の取締りを命じられていた明の役人らによるでっち上げだったというのです。
どういうことかというと、彼らは命令どおりに取り締まれば、逆に攻撃されて自分たちの命が危なくなる。かといって、何もしなければ職務怠慢で罰せられる。しかも中国人が密貿易をやっているとなれば、自分たちの管理能力のなさを露呈するようなもの。そこで「悪い日本人がやってきて、物品を略奪して海へ逃げてしまうのでどうしようもない」という作文をつくったというわけです。
その何よりの証拠が、明朝が海禁政策を改めてから後は、倭寇の記録がぱたりと消えてしまっていることだといいます。さもありなんのお話でありますが、さて、その真偽はいかに・・・。
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