オーディオに関する格言に「貧乏人の小物沢山」というのがあるそうですね。そのココロは、オーディオアクセサリーのたぐいは、ある程度経験のある人が最後のたしなみにする程度が望ましく、システムも決まらないうちに、風評だけでアクセサリーをいじっても浪費がかさんで貧乏するだけだ、って。
これは実に耳の痛い言葉です。私の場合、システムはそこそこ決まっているものの、目新しいものを目にし、あるいは風評に流されて、もう数え切れないほどたくさんの小物アクセサリーを持っています。音質向上に向けて暗中模索していた時期がありまして、中には全く効果が分からなかった物や、言うのも恥ずかしいほどオカルト的な物も少なくありません。結果、ビンボー。
でもですねー、あえて言い訳させていただくと、そういう冒険というか試行錯誤というか失敗の経験というか、全部ひっくるめてオーディオ趣味の楽しさだと思っています。だって、正解が決まりきっていたら面白くないじゃないですか。それに、お金持ちはもっとたくさんのアクセサリーを持っているんじゃないでしょうかしら。
いやいや、よくよく考えると、お金持ちな人ほど余計な物は持っていないといいますね。たとえばテレビなんかでよく見かけるお金持ちの家は、どの家もすっきりした部屋ばかりです。撮影用にアレンジされているとしても、本当に室内の物が少なくてカッコよくてモデルルームみたい。ひょっとしてオーディオにも同じことが言えるのでしょうか。お金持ちのオーディオ・ファンは高価な機器を取り揃えているから、それ以上は何も必要としない?
でもですねー、やはりオーディオは色々と気を遣わなくてはならないところがたくさんある。決してシステムを組んだら「はい終わり!」ではないわけです。適材適所のアクセサリーの導入をはじめとするあれこれの施策を経て、だんだんに音質がアップしていきます。その違いはほんの僅かかもしれませんが、自身の耳で確認できたときの喜びは一入です。そういうのがオーディオ趣味の醍醐味。ですので、小物沢山は大いに結構と思っている次第です。
●ハードに拘るおじさん
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