美しい大和言葉
■ 生憎(あいにく)
期待通りにならず残念であること。都合が悪いこと。もとは、感動詞の「あや」に形容詞の「憎し」が付いた語で、「ああ、憎らしい」の意。生憎の「生」は、当て字。
■ あがく
じたばたする。もがく。漢字で書くと「足掻く」で、馬などが前足で地面をかくことから来た言葉。
■ あかつき
夜が明けるころ。「あかとき(明時)」が転じた語。
■ あからさま
はっきりしている。本来は、急に何かが起こることを意味する語。否定的な意味合いで使われることが多い。
■ 明け暮れ
いつも。朝となく夕方となく毎日。
■ あけすけ
あけっぴろげで、露骨なこと。包み隠しのないこと。「空ける」と「透ける」が合わさった語。
■ あけぼの
夜がほのぼのと明けるころ。「明け」と「ほの(ぼの)」が合わさった語。
■ 朝な夕な
朝となく夕となく。いつも。「朝な朝な」は、毎朝。
■ 朝まだき
朝、まだ夜が明けきらない時。 早朝。「まだき」は、その時間にはまだ早いの意。
■ あたかも
ちょうど。まるで。ちょうどその時。「あだかも」とも。
■ あたら
惜しいことに。もったいないことに。残念なことに。形容詞「惜(あたら)し」の語幹。
■ 艶(あで)やか
女性が、はなやかに美しく、なまめかしいさま。
■ あどけない
無邪気で悪気がない。「無邪気だ」や「子どもっぽい」という意味で用いられた「あどなし(あどない)」に、「け(気)」が加わったものと考えられている。
■ あながち
あとに打消しを伴って、断定しきれない気持ちを表す語。必ずしも、むやみに。本来は、「強引なさま」「身勝手なさま」を示す形容詞として用いられた。
■ 余すことなく
残らないように。残らず、すべて。
■ あまつさえ
そのうえに。おまけに。それだけでなく。「あまりさえ」が変化した語で、悪いことが連動して起こる場合に用いる。
■ あまんじる
我慢して受ける。与えられたものを、おとなしくそのまま受け入れる。
■ 肖る(あやかる)
相手からよい影響を受けて同じような状態になる。感化されてそれと同じようになる。もとは単に「変化する」意味の言葉だったが、しだいに、良い方に変化することに使われるようになった。
■ あらまし
おおよそ。だいたい。動詞の「あり(有り・在り)」に推量の助動詞「まし」が付いた語。
■ ありがとう
感謝の言葉。形容詞「有り難し(ありがたし)」の連用形「有り難く」がウ音便化した語で、本来は、めったにない、珍しくて貴重だという意味。
■ ありきたり
ありふれていること。珍しくないこと。動詞「在り(有り)来たる」の連用形が形容詞になったもので、「もとから存在し続けてきたこと」「今まで通りであること」の意。
■ 淡雪(あわゆき)
春先の、うっすらと積もって消えやすい雪。
■ あわよくば
うまくいけば。好機を得たら。「あわ」は、古く「あわい」や「あい」と呼ばれていた「間」のこと。
■ 案の定
思ったとおり。予想したとおり。「案」は、考え、計画、予想、「定」は、必ずそうなると決まっていること、確か、真実の意。
■ 塩梅(あんばい)
具合。調子。もとは塩と梅酢で食べ物の味をほどよくする意味だったのが、順序を整える意の「按配/案配」と混同されてできた言葉。
■ いかめしい
立派で重々しい。威圧的だ。漢字で書くと「厳めしい」。「いか」は「厳し」で、「いかずち(雷)」や「いかる(怒)」などの「いか」と同じものとされる。
■ 生きとし生けるもの
この世に生きているすべてのもの。あらゆる生物。
■ 息の緒(いきのお)
命。「緒」は長く続く意で、ふつう「息の緒に」の形で、命のかぎり、命がけでの意に用いる。
■ 幾久しく
いつまでも長く。末永く。
■ いささか
ほんの少し。わずか。かりそめにも。下に否定の形を伴い、「少しも~しない」という意味で多く使われる。
■ 誘う(いざなう)
誘う。勧める。感動詞の「いざ」に接尾語の「なう」が付いた語。
■ 十六夜(いざよい)
陰暦十六日の夜。また、その夜の月。
■ いじらしい
弱いものが頑張っている様をみて感じる気持ち。かわいいがかわいそう。けなげ。自分より目上、年上の相手には使う言葉ではない。
■ いそしむ
長い期間にわたって励む。一所懸命する。熱中して、集中的に励む場合には使わない。
■ いたたまれない
それ以上、その場にいられない。「居る+堪る(たまる)+ない」の「いたまらない(居堪らない)」に、もう1つ「た」が挿入された形で、それが「いたたまれない」に変化したとされる。
■ 痛み入る
相手の親切・好意に、心の痛みを感じてしまうほどに恐縮する。恐れ入る。
■ いたわる
弱い立場の人を大切に扱う。親切・大事に扱う。
■ 出で湯(いでゆ)
温泉。
■ いとわない
嫌がらない。行動するのをためらわない。「厭う」の否定形。
■ 古(いにしえ)
過去。語源は「往 (い) にし方 (へ) 」で、「行(往)ってしまった古い時代」。
■ 今しがた
たった今。今さっき。「し」は「今」を強調する副助詞。
■ 今一つ
完全というには欠けたところのある状態。悪くはないけれども、あと一歩、あともう少し、という語感の言葉。
■ いみじくも
適切に。巧みに。まことによく。語源は「忌む」でマイナスイメージの印象があるが、相手の行動や言動を前向きにとらえたり、褒めたりするときに使われる場合が多い言葉。
■ いやが上にも
なおその上に。ますます。「いや」は「弥」で、事柄や状態がだんだん激しくなるさまを表す語。
■ 言わずと知れた
言わなくとも、すでに十分に分かっている、の意。すでに多くの人が分かっていることを改めて言う時に使う言葉。
■ 言わずもがな
言わない方がよいこと。言うまでもなく。「言わずと知れた」とは違い、口にすると差し障りがあったり、言うとくどくなっったりするような場合に使う言葉。
■ うしろめたい
やましいことがあり、気がとがめる。もとは、あとのことが気懸かりだ、 心配だ、の意。
■ 泡沫(うたかた)
水面に浮かぶ泡。はかなく消えやすいもののたとえ。「うたかた人」は、はかない関係の恋人のこと。
■ 空蝉(うつせみ)
この世に現に生きている人。転じて、この世。うつしみ。(「うつしおみ」が「うつそみ」を経て音変化したもの)
■ うってつけ
物事がぴったりと当てはまること。また、そのさま。あつらえ向き。
■ うつろ
内部が空(から)であること。気力を失い、ぼんやりしているようす。
■ うとい
親しくない。よく知らない。
■ 倦(う)まず弛(たゆ)まず
飽きたり、怠けたりせず。「倦む」は、飽きること、退屈すること。「弛む」は、怠けること、心がゆるむこと。
■ うらぶれる
落ちぶれてみじめなありさまになる。みすぼらしくなる。うれいしおれる。
■ うららか
晴れ晴れとして明るいようす。基本的には、晴れた春の日ののどかさをいう言葉。
■ うろたえる
思いがけない事に驚き、どうすればよいかが分からず、まごつく。狼狽する。
■ えてして
ある事態になる傾向のあるさま。ややもすると。ともすると。とかく。本来は「得意として」の意。
■ おあつらえむき
注文したかのように希望通りの。うってつけ。
■ お暇(いとま)する
訪問先から帰ることの柔らかい表現。ただし、「職を離れる」「離婚する」の意味もあるので、仕事の上司や配偶者に言う時は要注意。
■ 逢瀬(おうせ)
男女が隠れながら逢うこと。「逢瀬」の「瀬」は、川の流れが速く浅いところを意味し、各方面から流れの速い水が出会うことが転じ、恋愛関係にある男女が隠れて出会う意味で使われるようになった。
■ おおむね
おおよそ。だいたい。大まかなことを意味する「おお(大)」と、物事の内容を意味する「むね(旨)」から成る語。
■ おおらか
こころがゆったりとしていて、こせこせしないさま。それでいて、優しさや気遣いがあるさま。
■ おかまいなく
お気遣いなく。お気になさらず。「構う(かまう)」は、世話を焼くこと、相手が望んでいることをしてあげること。自由気ままにさせてください、という意味が含まれることもある。
■ お口汚し
客に飲食物を出すときにへりくだる表現。口が汚れるだけの簡単で粗末なもの、の意。
■ 奥ゆかしい
奥深く上品で心がひかれる。深い心配りがみえて、ひきつけられる。「ゆかしい」は、動詞「ゆく(行く)」の形容詞形「ゆかし」で、「行きたい」つまり「奥にあるものを知りたい」という意味。控えめで従順な女性という意味はない。
■ 遅ればせながら
遅くなりましたが。今更ではありますが。
■ おこがましい
出過ぎていて生意気なようす。身の程知らずだ。本来は、馬鹿々々しい、馬鹿げているという意。
■ おざなり
その場限りの間に合わせ。いい加減。語源は「お座敷なり」で、昔、お座敷(宴会)に呼ばれた芸人が、表面的で形ばかりの芸を行ったことから。似た言葉に「なおざり」があるが、こちらは、放っておくという意味。
■ おさらい
教わったことを繰り返し確かめたり練習したりすること。復習。 芸事の師匠が弟子を集めて、日ごろ教えたことを演じさせること。
■ 惜しむらくは
惜しいことに。残念なことに。「惜しむ」に接尾辞の「らく」が付いた形。
■ 恐れ入りますが
恐縮ですが。たいへん申し訳ございませんが。
■ おっつけ
そのうち。まもなく。すぐに。「おっかけつく」「おしてつく」から来た言葉ともいわれるが不詳。
■ お手すきのときに
お暇なときに。手が空いている意の「手隙(てすき)」から。
■ お手柔らかに
手加減してほしい、厳しさの度合いを弱くしてほしいと伝える言葉。勝負事の前のあいさつとして使う場合が多い。
■ おのずから
自然に。ひとりでに。
■ お開き
祝いの宴などが滞りなく進んでいき、閉会する時に使う言葉。「閉じる」とか「終わる」という験(げん)の悪い言葉を避けた言い方。戸が開いて、参加者が去っていくようすをいったものか。
■ お引き立て
お世話になっている。
■ 朧(おぼろ)
ものの姿がかすんで、はっきりしないさま。漢字は「朧」で、月へんに龍。古代中国では「ロウ」という音が、ぼんやりしている様子を表していたことから、その龍という字を月と合わせて、月の光のうすぼんやりしたさまを表す字を作ったという。
■ お招き
招待・招く意の名詞「招き」に、接頭辞の「お」がついたもの。「お招きいただき」という言葉は、催し物などに招待された際に使用する敬語表現。
■ お見知りおき
自分の顔や名前を見て知る、すなわち「覚えておいてほしい」ときに用いる丁寧な表現。「見知りおく」は、目上の者が目下の者を覚えておく言葉。
■ おめかし
化粧をしたり着飾ったりすること。「春めく」などの接尾語「めく」が「めかす」に転じた語。「お」は丁寧さを表す接頭語。
■ お目にかかる
お会いする。相手の視界に入ることを謙遜した表現であり、「会う」の謙譲語。
■ 思いのたけ
思うことのすべて。思いの限り。「たけ」は「丈」で、高さのこと。「思いのたけを述べる」のは、これまで言えなかったけれども、ここで決断して述べようとすること。
■ 思いのほか
思っていた以上に。予想外に。
■ 思い人
恋人。愛しく思う人。
■ 思いを馳(は)せる
遠く離れている人や物事を思いやる。
■ 面影(おもかげ)
記憶によって心に思い浮かべる顔や姿。あるものを思い起こさせる顔つきやようす。
■ 面映い(おもはゆい)
恥ずかしい。「面」は顔、「映い」は照り輝いてまぶしいこと。
■ 趣(おもむき)
風情。味わい。自然にそう感じられるありさま。
■ おもむろに
ゆっくり、静かに。「ゆっくり」を意味する古語の「おもぶる」に由来するのではないかとされる。
■ 折り合う
問題解決のために、意見、要求が違う者が互いに譲り合って、意見、要求が一致するよう妥協する。
■ 折り入って
特別に。心を込めて。動詞の「折り入る」が変化したもので、「折る」は、斧で木を切ること。ここから、あるものを割って曲げるという意味合いに転じた。
■ 折(おり)から/折しも
ちょうどその時。折りしも。「折」は、折り紙を折って折り目をつけるところから、区切られた時点や節目ととらえるようになった。
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■ かいがいしい
一生懸命で、動作がきびきびしているようす。けなげだ。
■ かえすがえす
繰り返し繰り返し。何度考えても。過ぎたことを強く悔やむさま。つくづく。
■ 帰り花
11月頃の小春日和に、桜、梅、梨、ツツジなどの草木が本来の季節とは異なって咲かせた花のこと。
■ かこつける
ある物事のせいにする。口実にする。
■ 陽炎(かげろう)
地面近くの空気がゆらゆらとゆらめく現象。密度の異なる大気が混ざりあって起きる、光の屈折。
■ 重ね重ね
何度も何度も。いくえにも。重々(じゅうじゅう)。
■ 風花(かざばな)
晴天に風に舞うようにちらつく雪。
■ 頭(かしら)の雪
白髪。
■ 風光る
春の日の光が照る中を、そよ風が吹き渡り、吹く風も輝くように見えるようす。
■ かそけき
今にも消えてしまいそうなほど、薄い、淡い、あるいは仄かな様子を表す語。古語「幽けし」の連体形。
■ かたがた
~をかねて。
■ かたくなに
頑固に。自分の意見や態度にこだわり、変えようとしないようす。
■ 肩透かしを食う
意気込んで、また、大いに期待して臨んだのに、気勢をそがれる。
■ 固め
約束。
■かねがね
前々から。かねて。あらかじめ。また、前々から気にかけていたものの、今になってしまい申し訳ない気持ちを表す言葉。
■ かまける
あることに気を取られて、他のことをなおざりにする。
■ かまとと
本当は知っているのに、知らないふりをすること。何も知らないふりをして、無邪気に見せかけること。そういう人。「かまとと」の「かま」は蒲鉾(かまぼこ)で、「とと」は幼児言葉の魚の呼び方。「蒲鉾は魚(とと)か?」と尋ねたことに由来し、江戸時代に、初(うぶ)を装う遊女に用いて流行ったという。
■ 蚊遣り火(かやりび)
蚊取り線香。
■ かろうじて
やっとのことで。からくも。
■ 兆(きざ)し
物事がこれから起ころうとするしるし。
■ きざはし
階段。(「きざ(刻)」は段々になっているさま、「はし(階)」は橋のように場所を繋ぐさま)
■ 踵(きびす)を返す
後戻りする。引き返す。踵は「かかと」のこと。
■ 決まりが悪い
恥ずかしい。本来は、規則や秩序が保てない意だったのが、恥ずかしい、困惑するなどの意に転じたもの。
■ ぎょうぎょうしい
おおげさだ。ご大層だ。
■ 清らか
けがれのないさま。
■ きらら
鉱物の雲母(うんも)。その光沢が美しいことから「きらら」と呼ばれてきた。
■ 口添え
横から言って助けること。
■ くつがえす
ひっくり返す。
■ 首っ丈(たけ)
人や物事に夢中になってしまうさま。「首丈」が促音化した語で、立った状態で首まで水に浸かって溺れかけている状況の意。したがって、溺れるほどに好きな状態。
■ 雲となる
死ぬ。火葬される。
■ くよくよ
気にやんでも仕方のないことに心を悩ますさま。語源は、「悔いる」の古語「くゆ」から来ているとの見方もある。
■ 暮れなずむ
日が暮れそうで、なかなか暮れないでいる。「なずむ」は、ものごとがうまく進まない意。
■ 気高い
貴い気品がある。品格が高い。
■ 健気(けなげ)
心がけがよく、しっかりしているさま。特に、年少者や力の弱い者が困難なことに立ち向かっていくさま。
■ 恋衣(こいごろも)
体にまとわりつくような恋を、衣にたとえた言葉。
■ 恋の淵(ふち)
深い恋心を、淵にたとえた言葉。
■ 小気味よい
行動ややり方などが鮮やかで、気持ちがよい。 快い感じを受ける。 痛快である。
■ 此処彼処(ここかしこ)
こちらやあちら。あちこち。
■ 心配り
あれこれと気を遣うこと。心遣い。
■ 心ならずも
不本意ながら。しかたなく。
■ 心の塵(ちり)
煩悩(ぼんのう)。
■ 心映え(こころばえ)
心のありよう。心構え。思いやり。
■ 心ばかり
ほんの気持を示すだけのしるし。贈り物をするときなどに、へりくだって言う語。
■ 心待ちにする
期待して待っている。待ち遠しさや強い期待感を表現する語。
■ 心もとない
頼りなく、不安だ。
■ 心を同じくする
他人と同じように感じるさま。
■ 来し方行く末
過去と未来。過ぎてきた方向や場所と、これから行く方向や場所。長い時間を見据えて使う言葉。
■ 東風(こち)
春、東の方から吹いてくる風。まだ寒さを感じるものの、春の到来を告げる風。
■ 言祝ぐ/寿ぐ(ことほぐ)
お祝いをのべる。喜びの言葉を言う。「言祝ぐ」は古代で使われていた表記、「寿ぐ」は現代で使われている表記。
■ この上ない
最上、最高、これ以上はない意。
■ こびる
気に入られようと振る舞う。女が、なまめかしい態度を示して男の気を引こうとする。
■ ご無沙汰(ごぶさた)
ある程度の期間、関わりを持っていない状況。「沙汰」は、ものごとを処置することや、報告・通知を意味し、それがないのが「無沙汰」。丁寧に言うと「ご無沙汰」。
■ 御免ください
お許しください。突然、人に声をかけると、相手のやっていることを中断することになるため、ご迷惑になりますが、という気持ちが込められる。
■ 木漏れ日
生い茂った木々の葉の間から、漏れるように差し込んでくる日光。
■ 今宵(こよい)
今日の宵。今晩。
■ こよなく
このうえなく。殊の外。よいことに使う言葉だが、もとは、よいことにも悪いことにも使われた。
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■ 早乙女(さおとめ)
田植えをする女性。「さ」とは田の神様を意味し、田植えに使う苗を「早苗」、植える女性を「早乙女」といった。
■ 咲きすさぶ
咲き乱れる。「すさぶ」は、行くも止まるも、好きも嫌いも、勝手に振る舞う意。または自然の勢いの赴くままにする意。
■ ささらぐ
水がさらさらと音をたてて流れる。
■ 細雪(ささめゆき)
細かい雪。まばらに降る雪。
■ 差し支えなければ
都合がよければ。
■ さんざめく
大勢でにぎやかに騒ぐ。「星がさんざめく」は、星がにぎやかに騒いでいるかのように、光がまたたく意。
■ しいたげる
ひどい扱いをする。漢字で書くと「虐げる」で、虎が爪で獲物を押さえつけていることを表わす。
■ しかるべき
「しかあるべき」の略で、そうあるべき。そうするのが相応である。ふさわしい。
■ 時雨(しぐれ)
晩秋から初冬の頃に、急に風が強まり、ぱらぱらと降ってはやみ、数時間で通り過ぎてゆく雨。
■ 認(したた)める
(手紙などを)書き記す。食事をする。
■ 下にもおかぬ
非常に丁重に扱う。丁寧にもてなして下座(しもざ)に置かない。
■ しのぐ
なんとか我慢する。困難をはねのけ、耐え忍ぶ。
■ 東雲(しののめ)
夜明け。明け方。また、明け方に東の空にたなびく雲。
■ 始末(しまつ)
節約。倹約。「始めから末まで」、つまり使える間は使うということ。
■ しめじめ
雨がしとしと降るようす。しめり、うるおうさま。
■ しめやか
ひっそりと静かなさま。心静かに落ち着いているさま。気分が沈んでもの悲しげなさま。
■ 所在ない
することがなく退屈だ。手持無沙汰だ。
■ 不知火(しらぬい)
九州の有明海や八代海 で、夜間に無数の光が明滅する現象。漁船の漁火 (いさりび) が屈折によって光像を作るために起こる。
■ すげない
親切心がない。「すげ」は、思いやり、愛想の意。
■ 筋がいい
センスがいい。上手な。有望な。「筋」は血筋や家系を意味し、芸事は昔から血縁者が受け継いでいくことが多いので、芸事に秀でた人を「筋(血筋)がいい」と言った。
■ 昴(すばる)
牡牛(おうし)座にある、肉眼では六つ見える星。プレアデス星団。「統一」という意味の「すばまる」という雅語が変化したもの。
■ すべがない
方法がない。どうしようもない。
■ せせらぎ
浅瀬などにささやかに流れる水の音。古くは「せせらき」「せぜらき」とも。
■ せつない
悲しさや寂しさなどで、胸が締めつけられるような気持だ。本来は、心にかけて深く思うことを表す言葉。
■ 蝉時雨(せみしぐれ)
たくさんの蝉が、あちらこちらで盛んに鳴くさまを、時雨に例えた言葉。
■ せんかたない
しかたない。ほかにどうしようもない。
■ 相好(そうごう)を崩す
表情を変えて笑顔になる。「相好」は、仏教用語で仏の身体に備わっているすぐれた特徴をいう。
■ そこはかとなく
理由や原因ははっきりと分からないが何となく。どこがどうという理由はないけど、そんな雰囲気があるさま。「其処 (そこ) は彼 (か) と」の意の否定形。
■ そぞろ
何かに気を取られ、落ち着かないさま。そわそわするさま。無意識に何かをするさま。行き先や目的もなく、ぶらぶらと歩くことを「そぞろ歩き」という。
■ ぞっこん
心の底から。心底から。語源は「底根」とされる。
■ ぞっとしない
おもしろくない。感心しない。特に驚いたり感心したりするほどではない。
■ そもそも
最初。元来。説き起こす時に使う語で、「そも」は「そ(其=それ)」という代名詞に助詞の「も」がついたもの。
■ 空事(そらごと)
嘘。いつわり。つくりごと。
■ 空音(そらね)
空耳。
■ そらんじる
何も見ないで言えるようにする。そらで覚える。
■ ぞんざい
ものごとを粗略に扱うこと。投げやり。対義語は「丁寧」。
ちょっと美しい日本語
昔の人たちが残してくれた、美しい日本語の数々。 |
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