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イソップ寓話で人生勉強

 イソップ寓話で人生勉強

農夫とヘビ

 農夫の子どもを、ヘビがかみ殺しました。ヘビに仕返ししようとした農夫は、ヘビ穴の前で待ち、ヘビが首を出したところへ斧を振り下ろしました。しかし、狙いが外れて、そばの岩を割ってしまいます。慌てた農夫は、そこで一転してヘビに仲直りを申し出ましたが、蛇はこう言って断ります。

 「この抉(えぐ)れた岩を見たら、あんたと仲良くするなんて、とてもできない。あんただってそうだろう。息子の墓を見れば」

【教訓】 不倶戴天の敵同士が和解するのは難しい!

中年男と二人の恋人

 白髪がちらほら見え始めた中年男が、同時に二人の女に求愛しました。一方は若い女で、もう一方は年増女でした。 年増女は、自分より若い男に言い寄られたのが恥ずかしく、男が訪れてくるたびに、彼の黒い毛をごっそり抜きました。一方、若い女は、年取った男の妻にはなりたくないと、彼の白髪を見つけ次第、片っ端から抜いていきました。 こうして、二人の女に毛を抜かれ続けた男は、あっという間にハゲ頭になってしまいました。

【教訓】 あちら立てれば、こちら立たず。

王様を欲しがるカエル

 池に棲むカエルたちが、ゼウスの所へ使者を送り、自分たちに王様をくださいと頼みました。ゼウスは王様として木ぎれを池に放り込みます。カエルたちは最初は恐れをなしますが、動かない木ぎれをやがてバカにし、水面に上がってくると飛び乗って遊んだりしました。

 カエルたちは再びゼウスを訪ね、最初の王様は愚図だからと、取り替えてくれるようお願いしました。ゼウスは腹を立て、今度は水蛇を王様として遣わしました。カエルたちは、たちまち水蛇に捕まって食われてしまいました。

【教訓】 支配者として頂くには、事を好むならず者より、愚図でも悪事を働かぬ者が、まだましだ。

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水辺のシカ

 泉で水を飲んでいるシカが、水面に映る自分の姿を見て、大きな角が見事に枝分かれしているのを得意になりました。それに比べて、細くていかにも弱々しい脚が悲しくてなりません。そこへ突然ライオンが現れました。シカは、一目散に逃げ、すぐにライオンを引き離しました。

 ところが、樹木の生い茂る場所に来ると、大きな角が枝にからまって走れなくなり、とうとうライオンに捕まってしまいました。シカが殺される間際に独り言のように言いました。「ああ、情けない。裏切られると思っていたものに助けられ、いちばん頼りにしていたものに滅ぼされた」

【教訓】 危難に際しては、疑っていた友が救いとなり、信用していた友が裏切り者になることがよくある。

旅人とクマ

 友達2人が旅をしていました。そこへ大きなクマが現れ、1人はさっさと木によじ登り隠れました。逃げ遅れたもう1人は、地面に伏して死んだふりをしていました。

 クマは、この男に鼻面(はなづら)を近づけて嗅ぎまわりますが、男はじっと息を殺していました。やがてクマが去り、木から降りてきた男が、「クマは何とささやいていたのか」と尋ねると、こう答えました。「危難の時にそばにいてくれない友人とは、今後一緒に旅をするな、だって」

【教訓】 友人は大切にせよ、自分だけいい目を見ようとするな。

ライオンの分け前

 ライオンとロバとキツネが、狩りに出かけました。たくさん獲物が取れたので分け合うことになり、ロバが3匹に平等に分けたところ、ライオンはこれに怒ってロバを食べてしまいました。 そして今度はキツネに、獲物を分けるよう命じました。キツネは、大部分をライオンのものとして、自分はわずかな物を取っただけでした。これに満足したライオンは、なぜこのように分けたのかと聞きました。キツネは答えました。「ロバの運命が、私にこの分けかたを教えてくれたのです」

【教訓】 身近な者の不運や災難は、人に分別や知恵を与えてくれる。

泥棒と雄鶏

 泥棒たちがある家に忍び込み、あちらこちらを物色しましたが、見つけたのは雄鶏(おんどり)一羽だけでした。仕方なくその雄鶏を奪って引き揚げました。そして、彼らに殺されそうになった雄鶏は、「私は毎朝、暗いうちから人間をたたき起こして、仕事に行かせる役に立つ鳥だから、どうか逃がしてください」とお願いしました。

 それを聞いた泥棒は、「それだから、なおのこと殺してやる。奴らを起こすのは、俺たち泥棒にとっては邪魔なのだから」と答えました。

【教訓】 ある人に役立っても、他の人には迷惑なこともある。

農夫とその子どもたち

 ある農夫に、働かず怠け者の3人の子供がいました。年老いた農夫が亡くなる間際に、「畑に宝物を隠してあるから、収穫を終えたら深く掘り起こしてみよ」と子供たちに言い残します。子供たちは言いつけ通り畑の隅々まで深く掘り返しますが、宝物は見つかりません。しかし、翌年の収穫は、畑がよく耕されたことから、今までにない大豊作に恵まれました。

【教訓】 労働こそが宝、働くことこそが尊い。

病気のライオン

 年老いて、獲物を獲れなくなったライオンが、策略によって獲物を獲ろうと考えました。彼は洞穴の奥に横たわって、病気のフリをしました。そして自分が病気であることが、世間に知れ渡るようにと画策しました。ほかの獣たちは、お見舞いのため、一匹づつ、洞穴へとやって来ました。すると、ライオンは、やって来た獣たちを、片っ端からむさぼり食いました。こうして、多くの獣たちが姿を消してしまいました。

 このカラクリに気付いたキツネが、ライオンのところへやって来ると、洞穴の外からライオンの加減を尋ねます。「どうも具合がよくないんだ」 、ライオンはそう答えると、更にこう言いました。「ところで、なぜ、お前は、そんな所に立っているのだ? 話が聞こえるように、中に入ってこい」。するとキツネがこう答えました。「だって、洞窟の中へ入って行く足跡はたくさんあるのに、出てくる足跡が一つも見あたらないんですから」

【教訓】 他人の災難は人を賢くする。

ガチョウと黄金の卵

 ある農夫の飼っているガチョウが毎日一個ずつ黄金の卵を産み、農夫はお金持ちになりました。しかし、一日一個の卵が待ち切れなくなり、腹の中の全ての卵を一気に手に入れようとして、ガチョウの腹を開けてしまいます。ところが、腹の中に黄金の卵はなく、その上ガチョウまで死なせてしまいました。

【教訓】 欲張り過ぎて一度に大きな効果を得ようとすると、その効果を生み出す資源まで失ってしまうことがある。

ライオンとイノシシ

 ある夏の暑い日、のどの渇いたライオンとイノシシが、泉に水を飲みにやって来ました。しかし、泉は小さく、お互いに自分が先に飲みたくてにらみ合いになりました。そして大ゲンカとなり、殺し合う寸前にまでなりました。

 ふと、2匹が同時に岩場を見ると、ハゲワシがケンカの様子を眺めていて、負けて死んだほうの肉を食べようと、舌なめずりをしているではありませんか。
「こんなことでハゲワシの餌食になるなんてバカバカしい。譲り合って仲良く水を飲めばいいんだ」

 2匹はやっとそのことに気づき、仲直りしました。

【教訓】 くだらないことで貴重な時間やお金などを浪費してはならない。

恋するライオンと農夫

 ライオンが、ある農夫の娘に恋をして結婚を申し込みました。しかし、農夫は娘を猛獣に嫁がせる決心がつかず、また、ライオンが恐ろしいので断わることもできず、一時しのぎに次のように答えました。「私は、あなたが娘の夫にふさわしいと思っていますが、娘はそのするどい歯と爪をこわがっているので、歯を抜き爪を切るのでなければ、娘を嫁にやることはできません」

 娘に心を奪われていたライオンは、すぐにこの申し出を受け入れました。歯と爪がなくなると、農夫はライオンをすっかりバカにして、ライオンがやって来ると棒でなぐって追い出してしまいました。

【教訓】 自分の優れたところを大切にしなくてはならないのに、他人の言葉を信じて自分の利点を捨ててかえりみない者は、やがて軽蔑される。

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キツネとサルの家柄くらべ

 キツネとサルがいっしょに旅をしながら、どちらの家柄が立派か、言い争っていました。お互いが、自分の先祖がどんなに偉かったかと、くどくど話しているうちに、ある場所にさしかかりました。すると、サルがそのあたりをながめ回して、急に泣き始めました。

 「どうしたのです?」と、キツネが尋ねると、サルはその場所に並んでいるお墓を指さしてこう言いました。「これが泣かずにいられましょうか。だってこれらの墓は、私の先祖に仕えた召使や奴隷たちの墓なのですから」

「へーえ、なるほど」と、キツネが答えて言いました。「お前さん、つきたいだけウソをつくがいいさ。そのお墓に入っている連中は、だれもあそこから出てきて、お前さんがウソをついていると言えないのだから」

【教訓】 バレないウソは、どんどん大きくなる。

ロバとキツネとライオン

 ロバとキツネが、もしも危ない目に合ったらお互いに助け合おうと約束して、森へと狩りに出かけました。ところが、森の奥へと踏み込む前にライオンと出くわしてしまいました。絶体絶命の窮地に立ったキツネはライオンの所へ近づいて行き、もし、自分を助けてくれるならば、ロバを捕らえる良い知恵を授けると言いました。

 戻ってきたキツネは、ロバを言いくるめ、深い穴の近くに連れて行き、ロバをその中に突き落としてしまいました。ライオンは、ロバが動けないのを見ると、即座にキツネを捕まえました。そして、ロバに取りかかったのは、キツネがすんでからでした。

【教訓】 策士、策におぼれる!

子牛と老牛

 あるところに、土まみれになって畑を耕している老牛がいました。子牛は、その老牛の大変な様子を見るたびに、自分がのんびり暮らせる境遇でよかったと思っていました。
 ところが、秋の村祭りの日、ずっと辛い仕事に耐えてきた老牛が、縄を解かれて自由の身になれたのです。いっぽう、のんびり暮らしてきた子牛は、祭りの生贄(いけにえ)になるため連れていかれました。これを見た老牛は、心の中でこう思いました。

「あの子牛が仕事もさせられずに大事に育てられたのは、生贄として神に捧げられるためだったからだ。自分はずっと働かされて大変だったが、ついに解放されて自由になることができた。本当にありがたいことだ」

【教訓】 のんびり暮らしていると、いつかしっぺ返しがくるゾ!

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ロバを買う男

 ある男がロバを買おうとしますが、どのロバにするか決めかねていました。そこへロバ売りの男がやって来てこう言いました。「このロバはとてもよく働きます。試しに2~3日、家に連れ帰って様子を見たらいかがでしょう」

 男はロバを連れて帰り、自分が飼っていた数頭のロバと同じ柵に入れました。すると、そのロバは、いちばん怠け者で大食いのロバの側に近づいていき、ずっといっしょにいるではありませんか。それを見た男は、その日のうちにロバを売主に返しにいき、こう言いました。

「このロバは怠け者で大食いだから、買うのはやめにする。2~3日も様子を見る必要はない。このロバが仲良くしようとするロバを見れば、わざわざ試さなくても分かるんだ」

【教訓】 類は友を呼ぶ。付き合う仲間を見れば、その人の資質は分かる。

牛飼いとヘラクレス

 ある牛飼いが、牛に荷車をひかせて、田舎道を進んで行きました。ところが、途中で車輪が溝に深くはまり込み動けなくなってしまいました。頭の弱い牛飼いは、牛車の脇に立ち、ただ呆然と見ているだけでしたが、しばらくして「あっ、そうだ。自分が崇拝しているヘラクレス様にお願いしよう。ヘラクレス様、どうか、ここに来てお助け下さい」と神頼みました。

 すると、ヘラクレスが現れて、次のように語りました。 「お前の肩で車輪を支え、牛を追い立てなさい。それから、これが肝心なのだが、自分で何もしないで、神頼みなどしてはならない。今後はそのような祈りは一切無駄であることを肝に銘じなさい」

【教訓】 ただ神頼みするだけでは、問題は解決しない。まずは、自助努力!

アテネの神

 航海の途中、船が嵐に遭って転覆しました。誰もが、必死で泳いで助かろうとしました。しかし、ある男はギリシャの女神アテネに助けを求め、泳ぎもせずに祈っていました。それを見て、泳いでいた男が言いました。「アテネの神の助けを願う前に、まず自分の手を動かせ」

【教訓】 天は自ら助くる者を助く。

牛と車軸

 数頭の牛が、重い荷車を引いて田舎道を走っていました。すると、荷車の車軸がもの凄い音を立てて、ギジギシときしみ始めました。牛たちは振り向くと、車輪に言いました。 「なぜ、あんたらは、そんなに大きな音を立てるんだね、引っ張っているのは、我々だ。泣きたいのは、こっちの方だよ」

【教訓】 無駄口をたたくのは、怠け者ばかり。

ヤギ飼いと野生のヤギ

 夕暮れ時、ヤギ飼いが、ヤギの群れを放牧地から移動させていると、群れの中に野生のヤギが何頭か混ざっていることに気づきました。そこで彼は、野生のヤギたちを、自分のヤギの群れと一緒に囲いの中に入れておくことにしました。

 翌日、雪が激しく降ったため、ヤギ飼いは、ヤギたちをいつもの牧草地へ連れて行くことができずに、やむなく群れを囲いの中に留めおきました。そして彼は、自分のヤギには飢え死にしない程度にしか餌を与えませんでしたが、新参のヤギたちにはたくさんの餌を与えました。こうすれば彼らをうまく手なずけられるだろうと考えたからです。

 翌日、雪が解けはじめると、ヤギ飼いはヤギたちを牧草地へと連れて行きました。ところが、野生のヤギたちは一目散に山の奥へと逃げて行きます。彼は逃げて行くヤギたちに向かって、「吹雪の時にあんなに世話をしてやったのに逃げるとは、なんて恩知らずなんだ!」と叫びました。

 すると、一匹がクルリと振り向いて言いました。「我々が用心するのは、そこなんですよ。あなたは、長年慣れ親しんだヤギたちよりも我々を大切にした。ということは、もし我々の後にまた別の者がやってきたら、あなたは同じように新しい方を大切にするでしょうからね」

【教訓】 新しい友人のためといって、古くからの友人をないがしろにしてはならない。

盗みをする子と母親

 母親が叱らなかったため、子は長じて手に負えない盗人になってしまいました。とうとう捕まって刑場へ引いて行かれるとき、嘆く母親に息子が言いました。「なぜ最初のときに俺をぶってくれなかった」

【教訓】 最初の指導が肝心。

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イソップ寓話ふろく

カラスとキツネ
 カラスが大きな肉をくわえて高い木にとまった。いざ食べようとしたときにキツネから声をかけられ、容姿についていろいろと褒められる。カラスは肉を食べることを忘れ、しばし聞き入ってしまう。そしてキツネが「きっと素晴らしい声をしているんだろうなあ。ああ、声を聞いてみたい」と言うと、カラスは「カー」と高らかに鳴き、くわえていた肉は下にいた狐の口に収まってしまう。
 
キツネとツルのご馳走
 意地悪好きのキツネがツルに「ご馳走するからいらっしゃい」と招待し、やって来たツルにわざと平らな皿に入れたスープを差し出す。ツルはクチバシが長いため飲めない。それを見ながらキツネはおいしそうにスープを飲む。しばらく後、ツルはキツネに「先日はご馳走をありがとう、今度は私がご馳走するからいらっしゃい」と言って、訪れたキツネに細長い口の壺に入れた肉を差し出す。キツネはクチバシがないのでそれを食べられない。それを見ながらツルはおいしそうにクチバシで中の肉をつまんで食べる。
 
ネズミの相談
 ネズミたちは、いつもネコのためにひどい目にあわされていた。何とかしようとネズミたちが集まって相談し、その中の一匹が、「猫が来たらすぐわかって逃げられるよう、猫の首に鈴を付けよう」と提案する。皆は名案だと喜んだが、では誰が猫に鈴を付けに行くのかという段になると、誰もその役を買って出る者はいなかった。
 
ずるいキツネ
 2匹の猫が食べ物の取り合いをしている。そこへキツネが現れ、その食べ物を2つに分け、公平に分けようとする。しかし、片方が大きい事に気づき大きい方を少し食べる。すると反対が大きくなる。再び大きい方を食べる。それを繰り返し、しまいには全部をキツネが食べてしまう。
 
すっぱいブドウ
キツネが、たわわに実ったおいしそうなブドウを見つける。食べようとして跳び上がるが、ブドウはみな高い所にあり、届かない。何度跳んでも届かず、キツネは怒りと悔しさで、「どうせこんなブドウは、すっぱくてまずいだろう。誰が食べてやるものか。」と捨てゼリフを残して立ち去る。
 
コウモリと二匹のイタチ
 コウモリが、地面に落っこちてイタチに捕まった。コウモリは、「命ばかりはお助けを」と懇願した。しかし、イタチは生まれてこの方ずうっと鳥と戦ってきたと言う。そこでコウモリは、「自分は鳥ではない。ネズミだ」と言い張った。それを聞いてイタチは、コウモリを逃が してやった。それからまもなく、コウモリは、また地面に落っこち、またしてもイタチに捕まっ た。 コウモリは今度も「命ばかりはお助けを」と懇願した。しかし今度のイタチは、ネズミを 大変憎んでいると言う。そこでコウモリは、自分はネズミではなくコウモリだと言った。こうして、コウモリは、二度までも窮地を脱した。
 
旅行者と彼の犬
 男が、旅に出かけようとすると、彼の犬が戸口のところで伸びをしていた。 「なぜ伸びなどしているんだ? 用意はできてすぐに出かけられるのか?」と、男は犬を叱った。すると、犬は、しっぽを振りながら答えた。 「ご主人様、わたしゃ、支度は済んでます。待っていたのはわたしの方です」
 
うさぎと猟犬
 ある猟犬が、うさぎを巣穴から狩りだした。しかし、長いあいだ追いかけたが、結局、追いつくことができなかった。それを見ていたヤギたちが、犬をあざ笑って言った。「あんたより、あのチビすけのほうが速いとはね」。すると、犬は言い返した。「自分は夕食のために走っているだけだが、ウサギのほうは命を懸けて走っているのだ」
 
ライオンと熊とキツネ
 大きな熊が迷子の子羊を捕まえようとしたとき、同じ獲物をねらってライオンが飛び出してきた。二匹は獲物を争って激しく戦い、しまいにはお互いにけがをした挙句、へとへとに疲れて動けなくなってしまった。ちょうどそのとき、キツネが走ってきて子羊をつかむと、大急ぎでさらっていった。それを見ていたライオンと熊は「仲良くして獲物を分け合って食べたほうが、よっぽどよかったなあ」と言った。
 
ひきょうなコウモリ
 鳥と獣の戦争があったとき、コウモリは獣の味方をしていたが、鳥に襲われて捕まってしまった。コウモリは「私は翼があるので、獣ではなく鳥なのです」と弁明し、鳥の味方になった。やがて戦争が終わり、鳥と獣は和解した。しかし、双方にいい顔をしたコウモリは鳥からも獣からも追われることになり、昼間に活動できなくなってしまった。
 
塩を運ぶロバ
 重たい塩を背負わされたロバが、あるとき川を渡る際にうっかり転んでしまった。すると、ロバの背中に乗せられた塩がたちまち川に流れて、ロバの荷物は一瞬にして軽くなった。
 この出来事に味をしめたロバは別の日、同じく川にさしかかったとき、今度はわざと転んでしまう。しかし、今度の荷物は塩ではなく、その中身は海綿だった。川の水を吸い込んだ海綿はみるみる膨らんで、何倍も重くなって苦労した。
 
キツネとツルのご馳走
 意地悪なキツネがツルに「ご馳走するからいらっしゃい」と招待し、やって来たツルにわざと平たい皿に入れたスープを差し出した。ツルはクチバシが長いため飲めない。それを見ながら狐はおいしそうにスープを飲んだ。
 しばらくして、ツルがキツネに「先日はご馳走をありがとう、今度は私がご馳走するからいらっしゃい」と言って、訪れたキツネに細長い口の壷に入れた肉を差し出した。キツネはクチバシがないので肉を食べられない。それを見ながらツルはおいしそうにクチバシで中の肉をつまんで食べた。

バラとケイトウ
 バラのそばに生えているケイトウが、バラに言った。
「あなたは何てきれいなのでしょう。神様にも人間にも喜ばれるし、よい香りもして、幸せですね」
 バラが言った。
「でも、私はほんの数日しか生きられません。誰かに摘み取られなくても、すぐに萎れてしまいます。それにひきかえ、あなたはいつまでも花を咲かせて、いつまでも若くていいですね」

鶏と猫の医者
 鳥小屋で鶏が病気になっているのを聞きつけた猫が、医者に化け、診察道具を取り揃えて出かけて行った。鳥小屋の前に立ち、具合を尋ねると、鶏が答えて言うには、「よい塩梅だ、お前があっちに立ち去ってくれれば」

ガチョウとツル
 ガチョウとツルが、同じ草原で餌をあさっていた。そこへ、猟師たちがやって来た。ツルは体が軽いので、すぐに飛び立った。しかし、ガチョウハ体が重いので、ぐずぐずしているうちに捕まってしまった。


 

 

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