『十八史略』
日出而作
日入而息
鑿井而飲
畊田而食
帝力何有於我哉
日(ひ)出(い)でて作り
日入りて息(いこ)う
井を鑿(うが)ちて飲み
田を畊(たがや)して食らう
帝力(ていりょく)何か我(われ)に有らんや
【訳】
日が昇れば働き、日が沈めば休む。井戸を掘って水を飲み、田を耕して食う。天子さまの力など、どうして自分に関りがあるというのか、自分には関係ない。
【解説】
この詩は、南宋の曾先之によってまとめられた歴史読本『十八史略』に載っている詩で、『詩経』より前の時代のものです。伝説上の聖天子の一人、堯(ぎょう)が、自身の政治の良否を確かめるためお忍びで町に出て、老農夫が腹つづみを打ち足拍子をとりながらこの歌を歌っている(鼓腹撃壌)のを聞き、大いに安心したという故事によります。そこから、「鼓腹撃壌」は太平の世を形容する言葉となりました。
〈撃壌〉の解釈には諸説ありますが、ここでは足で地面を踏み鳴らす意。〈作〉は耕作する、仕事をする。〈日入〉は日が沈む。〈息〉は休息する、憩う。〈鑿井〉は井戸を掘る。〈田〉は田畑の総称。〈帝力〉は帝の権力。〈於我〉は 私にとっては。
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