クラシック音楽を聴くとき、耳で聴こえる音だけを追っかけていてはダメだとも言われます。ある人によれば、クラシック音楽は、単に五線譜に書かれた音の連なりだけで構成されているのではなく、作曲家(楽曲)、楽器、演奏者(演奏法)、ホール、聴衆の5つが一体となった「総合芸術」だって。
作曲家とその作品は常に不変の存在ですが、作曲家と聴衆である私たちの間に演奏者がいて、それぞれの楽器や演奏法がある。そして、それら全部を包み込む「ホール」という空間がある。こうした存在のすべてを知らなければ、あるいは感じ取らなければ、クラシック音楽の緻密で壮大な芸術性に近づくのは難しいというんです。ずいぶんなるほどなお話です。
とりわけ、ホールの重要性はとても強く認識しています。オーディオ・ファンでもある立場からは、とにかくホールで実際に感じた「音」を理想に掲げ、自らのリスニング環境の向上に日々注力しておるところです。そして、ホールに響き渡る音のみならず、ホールが醸し出す雰囲気もまた重要視し、参考にしています。ですので、私にとって部屋とその雰囲気づくりは、あくまでホール体験を念頭に置いており、機器の音づくりと同等の大事な要素になっている気がします。
関西住まいの私がよく行くホールは、ザ・シンフォニーホール(大阪市北区・1704席)、それからフェスティバルホール(同市北区・2700席)、兵庫国際会館(神戸市中央区・2112席)、梅田芸術劇場(大阪市北区・1905席)あたりです。中でもクラシック音楽専用につくられたザ・シンフォニーホールは、かのカラヤンも絶賛したというだけあって、音響はたいへん素晴らしいです。フェスティバルホールも、多目的ホールながら雰囲気が大好きです。残り二つは、まーふつうですかね。
優秀なホールでの音を耳にしますと、やっぱりクラシック音楽は良質な空間に身を置いて聴くべきもんだよなーと、つくづく痛感します。だって、音の響き、空気の震え、気流の動きなどは一定以上の空間でなければ感じ取れないし、さらには、決して耳からだけでなく、目や体全体でも味わうもの、すなわち「体感」だと思っていますから。
【PR】
【PR】
オーディオの話
オーディオは一生の友。ゆる〜いファンではありますが、いろいろと感じることがあります。 |
【PR】
【PR】
→目次へ