オーディオで音楽を聴く場合、半分は「部屋」の音を聴いているのだといわれます。それほどに音楽を聴く部屋の環境は、音を大きく左右するんですね。せっかく高性能な機器を組み合わせたのによい音が出なければ、原因は100%部屋にあるそうです。例えば、近ごろ多く見かける、LDK仕様のリビングルームでオーディオを組むのは、見た目のスタイルは悪くないものの、音的には悪条件が重なる場合が多いといいます。
私もかつてリビングルームでオーディオを聴いていたことがありますが、確かに色々と困ったことがありました。まずもって、家族に邪魔される、あるいは家族の邪魔をすることが多くて、落ち着いて音楽に集中できにくい。部屋の開口部が多く、また部屋の形がいびつな場合が多いので、遮音・防音がしにくく音響対策も難しい、あれこれの調度品が邪魔をして好きなレイアウトがとりにくい、音場がきれいに定まらない、等々。
昔の住宅だと、応接間とか客間とか独立した部屋が必ずあって、リスニング・ルームに転用しやすかったのですが、今ではそれらがほとんど共用になっていますから、そうもいきません。近年オーディオが廃れてきたのは、リビングルームの台頭にも原因があるという説もあるほどです。さらにハウスメーカーによる最近の住宅では、全館冷暖房を採用しているせいで廊下までもが開放されるなど、ますます独立して閉じられた部屋が少なくなっています。
そんな状況ではありますが、やはり、本格的にオーディオを楽しむには、どんなに狭くてもいいから、独立した部屋を確保したいものです。といっても、これがなかなか難しい。特にお子さんがいるご家庭では、はじめからご自身の独立部屋を持っておられる御仁は少ないのではないかと思います。かくいう私がやっとこさ自分の部屋を持てたのも、子供が独立した後の子供部屋の「お下がり」をもらってからです。おかげさまで、今は誰にも遠慮せず音楽をエンジョイできています。
ですから、まだ部屋を持てないお父さん方は、決してあきらめることなく、大志を抱いていただきたく思います。狙いは、ズバリ使わなくなった子供部屋です。早いうちから予約しておかないと、奥さんに取られてしまいますよ。どうか一刻も早くリビング・オーディオから脱却してください。
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