いつかの某新聞の投稿欄に、「かすむ憲法 心配でならぬ」と題された、39歳の男性からの投稿が載っていました。そこには、小学6年の息子さんとのやり取りが――
「自衛隊は必要だと思う? それとも必要じゃないと思う?」と息子さんが尋ねてきました。
「キミはどう思う?」 と父親が聞き返します。
「必要ないよ。憲法で禁止されてるし」
「でも、よその国が攻めてきたらどうする?」
口ごもる息子さんに父親は、
「攻めてくるとしたら、何か原因があるからだよ。だとしたら、原因をつくらないことがまず大事じゃない。よその国と仲良くできる外交政策をとることの方が、武器を持つよりも国を守ることになるという考えでどうだろう」
と、かなり誇らしく書かれているのですが、実はこの手の論法は、あちらこちらでしばしば見かけます。
「〇〇になったらどうする?」
「〇〇にならないようにする」
一見、正論に聞こえますが、よくよく考えると、こういうのって全く回答にも結論にもなっていないんですよね。質問から逃げているといってもよい。もちろんこうした努力や考え方自体は必要であり、大切なことでしょうけど、これが責任ある立場の人の発想で、且つこれでよしとしていたら、いざというときに何の解決もできないばかりか、かえって害悪を及ぼしかねません。
というか極めて危険。つねに最悪の事態を具体的に想定し、それに具体的に備えようとするのが、トップマネジメントとしての危機管理ですから。
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