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狭い部屋での大型スピーカー

 これからスピーカーを買おうとして迷っている方がいらっしゃったら、僭越ながらぜひともお伝えしたいことがあります。それは、スピーカーと部屋の大きさのバランスはメチャクチャ大事ですよ、ということです。とりわけ問題をはらむのが、部屋の広さに比べてスピーカーが不相応に大き過ぎる場合です。そういうのは見た目も窮屈ですし、音の面からは大変よろしくないパターンです。まさに「過ぎたるは尚及ばざるが如し」の典型例ではないかと思います。

 ある人が分かりやすい例えをなさっていまして、大きなプールで波を立てるときれいな円形の波紋が広がっていきますでしょ。ところが狭い浴槽で波を立てると、すぐに壁にぶち当たり、その反射波によって水面がグチャグチャになってしまう。狭い部屋も浴槽と同じで、特に、音源といいますか音の出所の範囲が広い、たとえば3ウェイとかトールボーイなどの大型スピーカーを鳴らすと、たちまち音の波紋の「複合汚染」状況に陥ってしまいます。本来、狭い部屋ほど音源は小さくあるべきで、極端にいえばできるだけ“点”に近いほうがいいといいます。

 また、そもそも大型スピーカーがリアルで美しい音像や音場を作り上げるためには、前方中央の空間にそれなりのスペースが必要です。狭い部屋ではそのスペースが足らないばかりか、よほど狭いと、ひょっとして音像、音場の只中で聴く羽目になりかねません。音像、音場というのは自分の目の前のステージ側にドーンと浮かび上がるもので、それを離れた位置からじっと聴き入るものです。コンサートホールでオーケストラのど真ん中に居座って演奏を聴いたりはしませんでしょ。たとえ客席であっても、ステージに近すぎると決して良いバランスの音には聴こえませんからね。

 ですから、狭い部屋での大型スピーカーはむしろ弊害のほうが大きいとさえ思っています。大型は値段も高いし見てくれも豪華なので何かと優れていると考えがちですが、決していつも「大は小を兼ねる」わけじゃない。じゃあ大型スピーカーにどれぐらいの広さの部屋が必要かというと、恥ずかしながら私の住環境による経験では10畳余が最高で、それより広い部屋で試したことないので明確には分かりません。何じゃらほい?とお思いでしょうが、ただはっきりと言えるのは、10畳でもまだまだ十分ではないということです。
 
 それでは6〜8畳あたりのふつうの部屋には、具体的にどの程度の大きさのスピーカーを選んだらよいか。専門家さんによると、16〜20cmくらいの口径が、低音の迫力とスピードを兼ね備え、部屋の広さに関わらず使いやすいそうです。それから、大きさ云々とは別に一つだけ拘りをもって申し上げたいのは、スピーカーのルックスは極めて大事な要素だということ。自分と常に向き合うわけだし、美しい音楽に、美しい姿は不可欠。ですから、最終的に一目ぼれでスピーカーを選ぶのは、意外と成功する選択方法だそうです。

オーディオ機器の予算配分

 新しくオーディオ機器を買い揃えるとき、スピーカー、アンプ、プレーヤーへの金額の配分はどうしたらいいかとか、どれに最も多くのお金をかけるべきかという話をよく耳にします。有力なのは、5:3:2という比率が理想的だとする説のようです。ちなみに私んとこは、およそ2:1:1の比率になっています。

 音にいちばん影響があるかどうかは別にすると、やはり私もスピーカーにいちばんお金をかけるべきだと思っています。スピーカーという製品は、製造コストと販売価格がけっこう直結しているんですね。デジタル機器のような大量生産によるコストダウンができにくい。それなりにお金がかかっている。なので、予算割はできるだけスピーカーに配分すべきだといいます。
 

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バスレフ型と密閉型

バスレフ型のスピーカーは、エンクロージャーの前面か後面に開口部を設けたダクトを備える方式。エンクロージャー内部の音を、ダクトを通じて外に出すことで、主に低音域を増強することができる。サイズの小さなスピーカーは低音の再生能力には限界があるので、バスレフ型とすることで、低音感の不足を補うことができる。

密閉型は、バスレフ型のような開口部がなく、エンクロージャーを完全に密閉した方式。バスレフに比べて最低域はキレがあり伸びるものの、量感は乏しい。したがって、ある程度の低音を響かせるためには、エンクロージャーの容積に余裕のある設計が必要になる。

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