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ヴェルディのオペラ『椿姫』

 世界のオペラ劇場でもっとも人気が高く上演回数が多いとされる、イタリアの作曲家ヴェルディのオペラ『椿姫』。原題は『道を踏み外した女(La traviata)』だそうですが、日本版では原作の小説『椿姫(La Dame aux camelias)』がタイトルになっています。冒頭の『乾杯の歌』のメロディーはオペラを知らない人でもご存知のはず。

 物語の舞台は19世紀半ばのパリの社交界。椿姫と呼ばれた一人の高級娼婦ヴィオレッタが、貴族の青年アルフレードと出会い、やがて真実の愛に目覚める。二人はパリの田舎で幸せに暮らし始めるが、アルフレードには厳格な父親がいて、一族の評判を傷つけないため息子と別れるよう彼女を説得する。何も言わずに彼のもとを去ったヴィオレッタに対して、事情を知らないアルフレードは裏切られたと誤解し、大勢の人前で彼女をなじり、旅に出てしまう。その後、ヴィオレッタは貧しい生活の中で結核に冒され、死の床にいる。そこに、アルフレードと父親が現れ、深い悔悟の念を示すも時すでに遅し。ヴィオレッタは、生き変わる喜びの夢を見つつ、アルフレードの腕の中で息絶える、というものです。

 まことにドラマチックな物語ですが、それまでのオペラは単に歌声の美しさを楽しむために鑑賞するものだったんですね。ヴェルディが物語を付加したことで、オペラの歴史を変えたともいわれています。愛聴盤は、カルロス・クライバー指揮、バイエルン国立管弦楽団ほかによる1976〜77年の録音です。ヴィオレッタといえばマリア・カラスが有名で人気も高いのですが、本盤でのイレアナ・コトルバスのソプラノも実に優美です。そして何より録音が優秀で、若きクライバーの凄みがぴしぴし伝わってきます。

ヴェルディ(1813〜1901年)
 イタリアのロマン派音楽の作曲家。おもにオペラを作曲し「オペラ王」の異名をもつ。生涯で26のオペラを作曲。代表作は『ナブッコ』『リゴレット』『椿姫』『仮面舞踏会』『アイーダ』『マクベス』『オテロ』など。中でも『マクベス』と『オテロ』は、彼が尊敬していたシェイクスピアの劇をオペラ化したもの。晩年には、引退した音楽家のための「憩いの家」を設立するなど慈善事業にも取り組んだ。


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