孟浩然
春眠不覚暁
処処聞啼鳥
夜来風雨声
花落知多少
春眠(しゅんみん)暁(あかつき)を覚(おぼ)えず
処処(しょしょ)啼鳥(ていちょう)を聞く
夜来(やらい)風雨(ふうう)の声(こえ)
花落つること知る多少(たしょう)ぞ
【訳】
春の朝、すっかり寝坊をしてしまった。あちらこちらから鳥のさえずりが聞こえてくる。昨夜の雨風はひどかったが、花はどれほど散ってしまっただろうか。
【解説】
誰もが知っている「春眠暁を覚えず」の句で有名な詩です。作者は役人になろうとがんばりましたが、結局うまくいきません。でも、出世はしなくとも、思う存分に朝寝坊ができる。そんなのんびりした生活から生まれた詩です。役人ともなれば日の出前から出勤しなくてはなりませんから、隠遁生活をしていたことが窺えます。この詩は多く「惜春の思い」をうたっていると解釈されますが、実は、世俗から離れ、別世界に生きる「高士」の生き方を詠じているもののようです。
五言絶句。「暁、鳥、少」で韻を踏んでいます。〈春眠〉は春の眠り。〈不覚暁〉は夜が明けたことに気づかない。「覚」は気づく意。〈処処〉はあちらこちら、至る所。〈啼鳥〉は鳥の鳴く声。〈夜来〉は昨夜または夕べ。〈知多少〉はどれほどか。「多少」はここでは疑問詞。ただし、第4句は「さぞ多くの花が散ってしまったことだろう」との解釈もあります。
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