読書感想文の書き方
夏休みや冬休みには、たいてい読書感想文の宿題が出されますね。
どんな本を読んで、何を書いたらいいのか頭を抱えている人も多いと思います。
ここでは、Mr.凡人の経験による読書感想文の書き方のアドバイスを掲載しています。ちょっと自分流なところもありますから、ほんの少しだけ参考になさってくださいな。
たいていの場合は「課題図書」や「推薦(すいせん)図書」が決まっていますが、そうでない場合、自分で一から適当な本をさがすのは大変です。しかし、たとえば6年生だったらどんな本を読まなければならないと決まっているわけではありませんから、以前に読んだ本で気に入っているものがあれば、それでもかまわないと思います。あまりに幼稚(ようち)ものは問題ですが、同じ本の感想であっても、4年生のときに感じたことと、6年生になって読んで感じたことが違う場合だってありますから、そうした新しい感動や比較(ひかく)を書くのも大い意味のあることです。
新しい本を見つけようとするなら、お父さんやお母さん、あるいは読書好きな友達にアドバイスを求めるのがよいでしょう。それから、出版社がつくっている「図書目録」からさがしてみるのも手っ取り早い方法です。これは本屋の店員さんに言えばもらえます。「図書目録」は本のカタログのようなもので、簡単な内容の紹介もしていますから、それらの中から興味をひいた本を何冊か買ってみてはいかがでしょう。
●主題を見つける
「主題」は、その本の中心となるテーマ、作者がその作品を通じていちばん言いたかった思いや考え方のことです。読み始めたら、つねに頭の中で、この本の主題はいったい何だろうと意識しながら読みつづけることが大切です。そして、できるだけ早くその本の主題を見つける必要があります。主題が見つからないと、しっかりしたまとまりのある感想文を書けませんし、単に断片的な場面への感想の羅列(られつ)に終わってしまいかねません。
もっとも、作者自身の主題をふまえたうえで、あなた自身の主題を見つけ出してもかまわないと思います。あなた自身が興味を持ったり疑問に思ったりしたことを、無理やり主題にしてもいいと思います。むしろ、ありきたりでない面白い感想文が書けるかもしれません。たとえば、夏目漱石の『坊っちゃん』に登場する「赤シャツ」の生き方をテーマにした感想文を書いてもいいのではないでしょうか。
もし最後まで読んでも主題が分からなければ、それは失敗の読書です。もう一度読み直すより、ほかの本にチャレンジしたほうがいいかもしれません。
●シルシをつける
読んでいて、面白いと思ったところ、感動したところに赤鉛筆でしるしをつけておくか、ポストイットをつけておきましょう。とくに主題に関連するところは逃さないように。(ただし、図書館で借りた本は、シルシなどつけてはいけませんよ。)
そして、読み終えたら、しるしをつけたところを抜書きします。そして、それぞれの箇所にしるしをつけた理由、すなわち面白いと思った理由や感動した理由を書いていきます。これは、あとで感想文をまとめるための材料集めの作業です。
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●下書きはワープロで
めんどうくさいからといって、いきなり原稿用紙に書き始めるのは、かえって非効率です。このページをご覧になっているあなたは、たぶんパソコンやスマホを使うのは朝飯前でしょうから、ワープロなどで下書きをつくりましょう。文字数も確認できますし、あとで手直しをするときに、うんと楽チンです。
原稿用紙の枚数に制限がある場合が多いと思いますが、最初は気にせずにどんどん書いていきましょう。あとで削る作業は、付け足す作業よりもうんと楽ですから。
●基本的な構成
読書感想文によく見られる構成としては、(1)なぜその本を選んだか、(2)本のあらすじ、(3)本論、という順番で、(3)の本論の進め方としては、「もし私が主人公だったら」という形で書いていくパターンが多いようです。とくに「もし私が主人公だったら」という部分には、主題に関連する自らの経験を織り交ぜるのが効果的とされます。自分の経験というのは自分だけのものですから、文章にオリジナリティを加えるにはもってこいです。人に話をする場合でも、経験談がいちばん興味をひく話題といわれますから、感想文でも同じです。
そして、この本を読んだことで、それまでの自分がこれからの自分にどのように変わるべきか、あるいは変わったかなどを書いて締めくくるという流れです。オリジナリティを出すのはとても大事で、有名なある本を読んで、「多くの人はこのように感じるだろう、そしてそれが正しい読み方だ」などと決めつけてしまうと、ありきたりのつまらない感想文しか書けません。できるだけ自分ならではの感想や考えを生み出すように努力してください。あるいはちょっと天邪鬼(あまのじゃく)な内容のほうが、読む人の関心をひくはずです。
注意しなければならないのは、(2)のあらすじをダラダラと書かないことです。極端(きょくたん)に言えば、あらすじなんて全くなくてもかまいません。読書感想文は決して本の紹介文ではないのですから、最初から最後まで自分の意見だっていいわけです。必ずしも、この構成にこだわる必要はありません。
それから、「読んでどう思ったか」を書く部分では、単に「悲しかった」とか「うれしかった」だけのありきたりの表現で終わらないようにしましょう。ここでは、次の形の順番で文章を整えるようにすると、奥行きがうんと広がってきます。
① 〇〇と思う。
・・・豊かな表現で。比喩(ひゆ)を使ったりするとよい。
② なぜ
・・・どうしてそのように思ったかの理由。
③ たとえば
・・・自分の体験や例をあげるとよい。
④ もしも私だったら
・・・思いつくまま正直に、笑われるようなことでもオーケー。
⑤ だから
・・・結論。この本を読んで自分が考え直したこと。
●前に進まなくなったときのキーワード
文章がどうしても前に進まなくなって困ったら、下にかかげるキーワードを使ってみてください。ひょっとしたら、ふと、いい話題が浮かんでくるかもしれません。
作者は / たとえば / 主人公は / ひょっとしたら / 別の見方をすれば / きっと / たぶん / しかし / やはり / もしも /
私だったら / あるいは / 思うに
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原稿用紙の使い方や、文章を書くときの注意点は、別のページ「よい文章の書き方」にまとめてありますので、ご参照ください。
ここでとくに申し上げたいのは、文の最後に「である」「なのである」という表現を多く使わないようにしてほしいということです。教科書や参考書などはほとんどの文が「である」調になっていますから、みなさんが書く文章もついそのようになりがちですが、これは威張った感じで堅苦しく、美しい文章とはほど遠いものです。また、若いみなさんが書く文章にはふさわしくない表現だという気がします。
また、「思う」「思います」という言葉もできるだけ多く使わないようにしましょう。この言葉をあまり連発すると、自信がなさそうで弱々しく感じるばかりか、かえって無責任さや慇懃無礼(いんぎんぶれい)さが浮き出てきます。とくに感想文は、自分の考えや意見を書くことが前提となっているのですから、そこで「思う」「思います」を使うのは、いわば二重表現となって、文章がくどくなります。もっと自信をもって、断定的な表現を使うことで、文章はぐっと引きしまります。
おかしな表現はないか、誤字脱字はないか、ひとりよがりの文章になっていないかなどは、自分ではなかなか発見しにくいものです。できれば、家族の人に読んでもらいましょう。
それから、書きあげた直後はいいぐあいに書けたなと満足しても、時間を空けて読み直すと、どうも変だなと感じることがあります。これは、書いた直後は、気持ちが高ぶって熱くなっていますから、冷静に読み取る感覚が弱まっているためです。
文章の字句を練り直すことを「推敲(すいこう)」といいますが、いちど完成させた文章は時間を空けて何度か読み直し、推敲を行うようにしてください。推敲をうまくやるには、黙読するのではなく、声に出して読むのが効果的です。
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