あ行
◆赤と黒 ~スタンダール
田舎町ベリエールの製材小屋の息子ジュリアンは、父と兄に虐待されて育ったが、類まれな知性の持ち主で、不屈の意志で出世の道を切り開いていった。
はじめ、町の金持ちレーナル家の家庭教師となり、信心深く貞淑なレーナル夫人と熱烈な恋に落ちてしまう。その噂が町じゅうに広まったため、レーナル家を出たジュリアンは、神学校に入学した。やがて校長に、パリの大貴族ラ・モール侯爵の秘書に推薦される。
そこでも彼は、高慢な令嬢マチルドに見初められ、また、じらされ、何とか彼女を屈伏させて結婚までこぎつける。ところが、彼を中傷するレナール夫人の手紙がとどいて、すべてをぶち壊されてしまう。彼はベリエールに舞い戻り、教会で礼拝中のレナール夫人をピストルで撃ってしまう。しかし、投獄されてから、夫人の自分に対する愛情を知り、自分も実は夫人だけしか愛していなかったことを悟る。
◆阿Q正伝 ~魯迅
阿Qは身元の知れない住所不定のルンペン農民で、日雇いをして暮らしている。彼は愚かで無知で弱虫のくせに、弱い者いじめや空威張りをするくせがあり、わいわい騒ぎ回るのが大好きだった。革命騒ぎに地主たちがおびえているのを見て、さっそく革命党のふりをするが、そのため略奪事件の犯人に仕立てられ、処刑されてしまう。
◆アンナ・カレーニナ ~トルストイ
帝政ロシアの末期、自分の父親のような年の政治家と政略結婚させられた貞淑で美貌のアンナは、若い独身の美男貴族ウロンスキーと激しい恋に落ちる。それまでの無自覚な精神が激しく高められていき、とうとう二人は世間に背き、パリに駆け落ちする。しかし、アンナの激情は愛の証しを求めてやまず、いわれのない嫉妬に駆られ、一種の錯乱状態になって車にひかれて死んでしまう。
◆怒りの葡萄 ~スタインベック
時代は世界恐慌と重なる1930年代。オクラホマ州の農家の息子トムが、殺人の罪による4年の懲役刑から仮釈放で故郷に戻ると、家族は猛烈な砂嵐で畑の収穫ができず、土地を追われた後だった。叔父の家で家族と再会したトムは、一家と共に、仕事があると耳にしたカリフォルニアを目指す。しかし、苛酷な旅に耐えられず、祖父や祖母が車上で死亡し、従兄弟も逃亡する。ようやく辿り着いた移民キャンプには、すでに土地を失った多くの農民が流れ着いており、一家の希望は無残に打ち砕かれる・・・。
◆居酒屋 ~ゾラ
洗濯女のジェルヴェーズは、酒びたりになった現夫と、もどってきた前夫とのふしだらな同棲生活を始める。希望を失った彼女の生活はしだいにすさみ、店を手放し、自分も酒を飲み歩くようになる。娘ナナも自堕落で家出してしまい、夫がアルコール中毒で発狂死した後、彼女も孤独の中で死ぬ。
◆異邦人 ~カミュ
アルジェに住む下級サラリーマンのムルソーは、養老院で死んだ母の葬式の翌日、海水浴に行き、女友だちのマリーとたわむれ、喜劇映画をみて笑い転げ、その夜にはマリーと関係を結んだ。その数日後、友人ともめていたアラビア人を射殺してしまう。
裁判にかけられた彼は、法定での犯行動機の問いに、「太陽のせい」と答えて死刑を宣告される。贖罪の祈りも拒否し、自分は過去においても現在においても幸福だった、と公言する。
◆女の一生 ~モーパッサン
ノルマンディーの貴族の娘ジャンヌは、夢多い純潔な少女だったが、結婚の初夜に、獣のような夫の凶暴性にさらされ、幻滅し悲哀にくれる。しかも夫は女中に子どもを生ませ、さらに人妻と関係をもちその夫に殺されてしまう。
ジャンヌは、残された子どものポールに希望のすべてを託すが、この子までが手におえない放蕩児になってしまい、彼女のもとを離れてしまう。
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か行
◆風と共に去りぬ ~マーガレット・ミッチェル
アメリカ南部の大農園に生まれたスカーレットは、その輝くばかりの魅力で近隣の男性をとりこにしていたが、思いを寄せるアシュレだけは別だった。アシュレがメラニーとの婚約を発表し、自暴自棄になったスカーレットは別の男との結婚するが、やがて南北戦争が始まり、アシュレも夫も出征し、夫が戦死する。スカーレットはアトランタに住む亡夫の伯母のもとに身を寄せる。
そのころ南部は、北軍の封鎖によって物資が欠乏していた。その封鎖線を突破して物資を運んでくる勇ましい男レット・バトラーがいた。彼はスカーレットに近づこうとするが、彼女はまだアシュレへの思いを捨て去ることができない。
やがて南軍は後退し、スカーレットはレットに助けられて故郷に帰る。母は亡くなり、父は廃人となっていたが、彼女は敗戦後の混乱のなかを力強く生きようとする。そこへ、アシュレが復員してきた。
◆悲しみよこんにちは ~サガン
17歳の少女セシルには、若くてハンサムな独り身の父がいる。父とはとても仲良しで、パリで陽気な生活を楽しんでいた。
ある夏、南フランスの海辺に別荘を借りて、父の愛人と3人でバカンスを過ごした。そこへ、亡くなった母の友人で、理知的で美しい中年女性が遊びにやってきた。それまで玄人のような女性とばかり遊んでいた父は、聡明で洗練されたこの中年女性に強く惹かれる。
ある晩、カンヌで二人の心は結ばれ、結婚を約束する。しかし、セシルはこの未来の母に対して複雑な感情を抱くようになり、父の結婚を妨害しようと思い立つ。
◆カルメン ~メリメ
情熱と野性のジプシー女カルメンは、スペインのたばこ工場で働いているとき、純情な伍長ドン・ホセを誘惑して、彼女の夫たちの密輸団に引き入れる。カルメンへの恋に狂ったホセは、彼女の夫を殺して迫るが、多情なカルメンは華やかで凛々しい闘牛士ルーカスに心を移して相手とせず、ついにホセに殺される。
◆かわいい女 ~チェーホフ
オーレンカは、誰からも「かわいい女」といわれる、可憐な女性だった。しかし、最初の夫が亡くなり、再婚した材木商の夫にも死別してしまう。愛し合う相手なしには生きていけない彼女は、今度は妻子のある獣医と親密になるが、彼は間もなく軍隊とともに辺地へ去っていった。
幾年か過ぎ、白髪になった彼が町へ帰ってくると、オーレンカは喜んで一家を自宅に迎え入れ、その小さな一人息子に母性愛を抱くようになる。
◆グレート・ギャツビー ~フィッツジェラルド
仕事のためニューヨーク郊外に移り住んだ青年ニックだったが、その隣には、ジェイ・ギャツビーという謎めいた男が宮殿のような豪邸に1人で暮らし、夜ごと豪華なパーティーを開いていた。ニックは、ギャツビーについて聞いて回るが、誰一人として彼の正体や、どうやって財を成したか、なぜ連日パーティーを開催しているのかを知る者はいなかった。そんなある日、招待状を受け取ったニックはついに本人と対面し、彼の生い立ちを聞く。その中で、ギャツビーが5年もの間、かつての恋人デイジーへの想いを断ち切れないでいることを知らされる。
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さ行
◆三銃士 ~アレクサンドル・デュマ
ルイ13世の時代、ガスコーニュ生まれの快男児ダルタニヤンは、近衛銃士隊の隊長トレビルのもとを訪れる。ところがたまたまそこに居合わせた名うての三銃士アトス、ポルトス、アラミスから、次々に男の意地くらべの決闘を申し込まれる。約束の場所でいよいよ決闘が始まろうとしていたとき、リシュリューの親衛隊に襲われる。多勢に無勢と見たダルタニヤンはすぐに三銃士に味方して、めいめいがいずれ劣らぬ活躍をしめし敵をさんざんにやっつける。こうして堅い友情に結ばれた4人は、一心同体となって宰相リシュリューの権勢と陰謀に反抗する。
◆ジキル博士とハイド氏 ~スティーヴンソン
高名な医師で善良な紳士であるジキルは、自己の二重人格に気づき、薬品によって、悪の本性に生きるハイドに変身する。また自由に善良なジキルに戻ろうとするが、次第に悪の人格のほうが強まり、ジキルに戻ることができなくなって自殺する。(「ジキルとハイド」は二重人格の代名詞として使われることが多い。)
◆車輪の下 ~ヘルマン・ヘッセ
秀才ハンスは、シュワーベンの田舎町に住む商人の息子。父は息子に将来の夢を託し、また学校の教師はこの少年によって学校の名を高めようとする。そのあまり、彼に少年らしい遊びを禁じ、州試験合格に向けて苛酷な学習をおしつける。ハンスは孤独に陥り、頭痛の発作に悩まされるが、何とか神学校に優秀な成績で入学し、将来を嘱望される。
しかし、彼は詩人肌の奔放な級友の感化を受けてしだいに成績が落ち、やがて神経衰弱となり郷里に送り返されてしまう。その後、彼はある少女に純情をもてあそばれ、機械工となって出直しをはかるが同僚とうまくいかず、失意のあまり川に身を投げる。
◆水滸伝 ~編者不詳
12世紀はじめの北宋、徽宗(きそう)皇帝の時代、山東の梁山泊(りょうざんぱく)という水郷に集まった英雄・豪傑の宗江、盧俊義以下108人の物語。
当時、蔡京ら4人の高官が国政を牛耳り、悪政のかぎりを尽くしていた。それに対し、悪政のために罪を犯したり、あるいは罪に陥れられたりした不平の徒、無頼の輩たちは、官権に反抗しつつ天下を横行していた。いわばアウトローの集団である。
彼らは「替天行道、忠臣報国」を旗印に、官軍を幾度となく撃退する。しかし、その後彼らは梁山泊を捨て、皇帝に拝謁。そして勅命によって北方に遠征し、敵を破り、さらに各地の反乱を次々に平定していった。この戦いの間に、108人の大半は戦死したり、病没したりする。都に凱旋できたのは、わずか27人だった。
彼らはその戦功によって、それぞれ官職、職位を授けられ、その半数は任地に赴くが、あとの者は官職を返上して野に下る。こうして27人も別れ別れになってしまうが、恩賞をうけて地方官になった宗江ら5人の将も、ついには昔の仲間から殺されることになる。
◆千夜一夜物語 ~作者不詳
『千夜一夜物語』には、「アラジンと魔法のランプ」や「船乗りシンドバッド」などの物語が180以上も収録されており、シャハラザードという賢い娘がシャハリヤール王と自分の妹ドゥンヤーザードに、千一夜にわたって毎晩話して聞かせるという構成になっている。
ペルシア王シャハリヤールは狩猟に出かけた留守中に、王妃が黒人奴隷と快楽にふけっていたのを発見する。王は王妃の首をはね、奴隷の首もはねた。それ以来、王は処女をめとるごとに純潔ぶりを踏みにじり、一夜を共にしたあとは殺してしまうことにした。3年間もこのようなふるまいを続けたので、国中の娘は殺されるか、逃げるかして、ついに大臣が娘を差し出すこととなった。
大臣の姉娘シャハラザードは、王に対して、妹と別れを惜しみたいからといって、妹を呼び入れる。妹は計画通りに、姉に何かおもしろい話を聞かせてほしいと頼む。姉は王の許可を得て、話し始めた。これが、商人が捨てたなつめの実の種が自分の子どもの胸に当たり死んでしまった巨大な魔王の物語である。
話がおもしろいところまでくると、白々と夜が明けてきた。王は話の続きが聞きたいので、もう一日生かしておくことにした。翌日もシャハラザードは続きを話し出す。また話の途中で夜が明け、王は再び死刑を延期する。こうしてシャハラザードは殺されずに、千一夜を毎夜、王と妹を相手にさまざまな話を語っていく。最後は、シャハリヤール王はシャハラザードを王妃に迎え、王国も永く繁栄したという。
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た・な行
◆チャタレイ夫人の恋人 ~D.H.ロレンス
若い人妻コニーの夫クリフォード卿にとって、結婚は馴れ合いであり、子どもは家門の維持のためだけのものだった。そして、すべてにおいて重要なのは品位と秩序であり、その精神の冷酷を象徴するかのように、クリフォードは戦傷のために下半身が不随となっていた。
コニーは、そのような夫との生活が不正で無意味であると感じ始め、そんなある日、邸の庭園のなかで森番のメラーズと出逢う。やがてコニーはメラーズとの性的に満たされた恋愛によって、生きる喜びを知り、新しい意識に目覚めた女性として生まれ変わっていく。
◆ 月と六ペンス ~モーム
ストリックランドは、妻子ある四十男で、ロンドンに住む平凡な株屋だった。ところが突如ものにつかれたように妻子を棄て、パリで画業に専念し、彼に好意を寄せる善良な友人の妻と通じ、その一家を破滅させてしまう。最後はタヒチ島に渡り、ライ病に冒されつつ強烈な絵を描いて、同島で死ぬ。
◆ 椿姫 ~デュマ・フィス
いつも胸に椿の花を飾っている娼婦のマルグリットは、純情な青年アルマンと真剣な恋におちいる。しかし、彼の父は、一家の名誉と妹むすめの縁談のため、マルグリットに縁を切るよう懇願する。心にもない愛想づかしをしてアルマンと別れたマルグリットは結核に倒れ、臨終の間際に駆けつけたアルマンにみとられて死ぬ。
◆罪と罰 ~ドストエフスキー
貧乏学生ラスコーリニコフは、病的な思索のなかで、ナポレオンのような選ばれた強者は人類のために社会の道徳律を超越する権利をもつとの結論に達し、虱(しらみ)のような金貸しの老婆を殺すことでこの思想を実践する。しかし、この行為の後、思いがけず罪の意識におびえ、「人類との断絶官」に苦しむみじめな自分を発見する。
敏腕の予審判事ポルフィーリーの嫌疑に論理的に立ち向かいながらも、罪の重荷に今にもおしつぶされそうな彼の心情は、自己犠牲と苦悩に徹して生きている「聖なる娼婦」ソーニャを罪の告白の相手に選び、また情欲を絶対化する背徳者スビドリガイロフの怪しげな生と死に自分の理論の醜悪な投影を見て、ついに自首を決意した。
◆ドン・キホーテ ~セルバンテス
スペインの田舎郷士アロンソ・キハーノは、騎士道物語にうつつを抜かし、みずから中世の遍歴の騎士となって世の悪を懲らしめようと思い立つ。そこで、ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャと名乗り、甲冑に身を固め、近所の土百姓サンチョ・パンサを従え、ロシナンテと名づけた痩せ馬に乗って旅に出る。
彼らの行くところ、騎士道精神の狂気と夢想がことごとく現実社会と衝突し、滑稽ながらも彼らにとっては悲痛な失敗を繰り返す。しかし、ドン・キホーテの勇気と気高い意志はいささかもくじけることがない。
◆人形の家 ~イプセン
ノラは甘やかされて育ち、弁護士のヘルマーに嫁いでからも人形妻としてかわいがられた。夫が新年から銀行の頭取に迎えられることになり、喜びのクリスマスを過ごす。しかし、ノラは、新婚のころに夫が病気なり転地療養を必要としたときに、亡父の名を使って高利貸から借金をしていた。その高利貸の悪質な男グログスタは、今はその銀行に勤めている。
ヘルマーは頭取就任を機に彼を解雇しようとするが、相手はノラの偽署をたてに二人を失脚させると、脅迫する。事実を知ったヘルマーは、最愛の妻に裏切られたと罵る。危機は解決され、ヘルマーはふたたび妻の意を迎えようとするが、ノラは「妻である前に一個の人間として生きたい」と、ひとり家を出ていく。
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は行~
◆ベニスの商人 ~シェイクスピア
ユダヤ人の高利貸シャイロックは、日ごろ憎んでいたベニスの商人アントニオに3000ダカットのカネを貸した。ところが、貿易船が帰港せず、アントニオは返済不能になってしまう。アントニオがシャイロックと交わした契約書には、「もし期日までに返済できなければ、胸の肉1ポンドを与える」という文言を入れていた。シャイロックはただちに裁判所に訴え、契約の履行を迫る。アントニオの窮状を見かねた知人が代わりに返済しようとしたが、シャイロックは「すでに契約の期日は過ぎている」と言って、カネを受け取ろうとしない。
裁判所は契約書どおりに肉を切り取ることを許可した。シャイロックは裁判官を誉め称え、さっそくナイフを取り出し、アントニオの肉を取ろうとした。そのとき裁判官が、「契約書には1ポンドの肉とはあるが、血のことは書いていない。もし一滴の血でも流そうものなら、所有地も財産も没収する。また、肉が1ポンドより多くても少なくても相成らぬ」と宣告した。
◆変身 ~カフカ
平凡な独身のセールスマン、グレゴールは、ある朝目覚めると、巨大な毒虫に変わっていた。彼は、欠勤してクビになることを恐れ、虫の姿のままで支配人と家族の前に現れる。その姿を見て支配人は逃げ出し、父母は号泣して卒倒してしまう。グレゴールは人間の言葉は分かるが、彼らは虫の言葉を分かってくれない。こうして孤独と不安の生活が始まるが、生活を破壊された家族は、虫の死を願うようになる。その心を知った虫・・・。
◆モンテ・クリスト伯 ~デューマ
船乗りの青年ダンテスは、結婚式の途中、恋敵の策略で無実の罪により捕えられ、地下牢に投獄される。そこで老囚のファリス法師からモンテ・クリスト島の秘宝の存在を教えられ、嵐の夜に死体に化けて脱獄し、ついに秘宝を手に入れる。そして、モンテ・クリスト伯と名乗ってパリに出、財力・知力・武力の限りを尽くしてあだをうつ。
◆夜間飛行 ~サン=テグジュペリ
郵便飛行事業の責任者リビエールは、人間の命よりもっと永続的で、何か救わなければならないものがきっとあると考え、そのためにどんな悪天候に向けてさえも飛行機を飛ばせる。そうして、飛行士ファビアンの乗った機が嵐の雲の上、星と月の世界にあって地上との交信を断つ。
◆リア王 ~シェイクスピア
古代ブリテン王のリアは、高齢のため退位を決意、国を3人の娘に分割し与えることにした。長女ゴネリルと次女リーガンは、巧みに甘言を弄し父王を喜ばせるが、末娘コーディリアは言葉を飾ることができなかった。立腹したリアはコーディリアを勘当し、彼女をかばったケント伯も追放してしまう。コーディリアは勘当された身でフランス王妃となり、ケントは風貌を変えてリアに再び仕える。
引退したリアは、2人の娘ゴネリルとリーガンを頼るが、裏切られて荒野をさまようことになり、次第に狂気にとりつかれていく。リアを助けようと、コーディリアはフランス軍とともにドーバーに上陸、父との再会を果たす。だがフランス軍はブリテン軍に敗れ、リアとコーディリアは捕虜となる。ケントらの尽力でリアは助け出されるが、コーディリアは獄中で殺されており、娘の遺体を抱いて現れたリアは悲しみに絶叫し世を去る。
◆レ・ミゼラブル ~ユゴー
青年ジャン・バルジャンは、ただ一片のパンを盗んだために19年の刑を科される。出獄した彼は、一夜の宿をたのんだ司教のところから銀器を盗み、ふたたび捕えられようとした。しかし司教は、これは彼にあたえたものだと証言する。これを機に彼は良心にめざめ、マドレーヌと名を変え、事業を起こし、やがて市長にまでなる。
ただ、警視ジャベールだけが彼に疑いの目をもって追い回していた。たまたま一人の男が彼と間違えられて逮捕され、あやうく罰せられそうになっているのを知り、彼はみずから名乗り出てふたたび投獄される。
◆老人と海 ~ヘミングウェイ
キューバのとある漁村に住む老人は、かつては腕利きの猟師として名を馳せていたが、不漁が84日にもわたり、猟師仲間から笑いものにされていた。しかし、老人には悲壮感のかけらもない。老人は、3日間にわたる格闘の末に巨大なカジキを捕獲する。ようやく仕留めたカジキを舷側に括りつけ、帰路に就こうとする。だが、彼の本当の戦いはこれからだった。大魚の血の匂いを嗅ぎつけたサメが次々と襲撃してきたのだ。
◆若きウェルテルの悩み ~ゲーテ
弁護士ウェルテルは、旅先で出逢ったロッテに激しい愛情を抱いたが、彼女にはすでに婚約者がいた。恋をあきらめ、公使の秘書となって遠国に赴任するが、因習に反抗して罷免され、ふたたびもどってくる。すでに結婚していたロッテのやさしいいたわりに、彼は強く愛を求めるが、彼女にたしなめられ、ピストル自殺してしまう。
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