そのほかの言葉
■ たおやか
姿・形がほっそりとして動きがしなやかなさま。しなやかで優しいさま。〔用例〕たおやかな身のこなし。
■ 手弱女(たおやめ)
しなやかで優美な女。弱々しくやさしい女性。
■ 黄昏(たそがれ)
夕暮れ。夕闇せまるころ。暗くなってきて顔の区別ができなくなることから、「誰そ彼」と尋ねる意。
■ 佇(たたず)まい
ごく自然にかもし出される雰囲気。〔用例〕静かな佇まいの住宅街。
■ 立ち所に
たちまち。すぐさま。その場ですぐに実現するさま。〔用例〕どんな難題でも立ち所に解決する。
■ たまさか
まれに。たまに。機会が数少ないさま。〔用例〕たまさかの休日。
■ たまゆら
勾玉どうしが触れ合ってたてる微かな音のこと。転じてほんのしばらくの間。〔用例〕たまゆらも心休まる時がない。
■ たゆたう
ゆらゆらと揺れ動いて定まらない。〔用例〕波間に一艘の小船がたゆたう。
■ 契(ちぎ)る
将来を堅く約束する。とくに夫婦になる約束のもとに肉体的な交わりをする。
■ 千々(ちぢ)に
さまざまに。たくさんに。〔用例〕心が千々に乱れる。
■ 千尋(ちひろ)
非常に長いこと。測ることができないほど深いこと。〔用例〕千尋の海。
■ 追憶(ついおく)
過ぎ去った日々や亡くなった人のことを、あれこれ思い出して懐かしむこと。
■ つつがない
異状がない。無事である。「つつが(恙)」は病気や異状を表す語。〔用例〕つつがなく旅を終えた。
■つとに
ずっと以前から。早くから。朝早く。〔用例〕彼はつとにその名を世に知られていた。
■ 露ばかり
わずかばかり。少しばかり。〔用例〕露ばかりの気持ち。
■ つらつら
念を入れて物事を考えたり、見たりするさま。よくよく。つくづく。〔用例〕つらつら考えてみるに・・・。
■常(とこ)しえ
いつまでも変わらないこと。永遠。〔用例〕常しえの愛。
■ 年ふる
年をとること。長い年月がたつこと。〔用例〕年ふるにつれて、庭の松の木も見事な枝ぶりになってきた。
■ 友垣(ともがき)
友人。友と交わりを結ぶことを、垣を結ぶことにたとえたもの。
■ 輩(ともがら)
仲間。同輩。
■ 問わず語り
聞かれていないのに、自分から話すこと。
■ 内儀
他人の妻を敬っていう語。〔用例〕お内儀様はご壮健でいらっしゃいますか。
■ 綯交ぜ(ないまぜ)
色や種類が違う糸をあわせて1本のひもにすることから、いろいろなものを混ぜ合わせて1つの物を作り上げること。〔用例〕うそとまことを綯交ぜにした出世話。
■ なかんずく
中でも。とりわけ。とくに。漢字で書くと「就中」。〔用例〕すべての教科にいえるが、なかんずく国語は大切だ。
■ 渚(なぎさ)
海の波打ち際までの広い砂地。
■ 泣き濡れる
泣いた涙で、ほおが濡れること。
■ 泣きぼくろ
目の下や目尻のところにあるほくろ。女性の場合だけに使う。
■ 無くもがな
無いほうがよい。無くともよい。あらずもがな。〔用例〕無くもがなのセリフ。
■ 何くれと
あれやこれやと。さまざまに。〔用例〕何くれと世話をやく。
■ 名にし負う
有名な。(「し」は強調)。
■ なべて
総じて。一般に。すべて。〔用例〕なべて日本国内は治安がいい。
■ 生半(なまなか)
積極的にふみきることができなくてためらうようす。中途半端。〔用例〕生半の恋。
■成ろう事なら
できることなら。〔用例〕成ろう事なら、長と呼ばれる立場に成りたい。
■ 残り香(が)
その人が去ったあとに残っている、その人の香り。
■ 長閑(のどか)
のんびりしていること。ゆったりしていること。
■ 端(はし)無く
思いがけず。〔用例〕端無くも賞を授かり、光栄の至りです。
■ 花心
花が持つ心という意味から、華やかな心や風流な心をいう。また、花は散りやすいところから、移ろいやすい心をいう。〔用例〕男はみんな花心を持っている。
■ 餞(はなむけ)
旅立ちや門出に際して、激励や祝いの気持ちを込めて、金品・詩歌・挨拶の言葉などを贈ること。また、その金品や詩歌など「馬の鼻向け」からきた言葉。〔用例〕卒業生に餞の言葉を贈る。
■ 花も実もある
外見がよく、内容も充実している。世間で有名なだけでなく、それにふさわいい実質も備わっている。〔用例〕花も実もある人生。
■ 憚(はばか)りながら
おそれおおいことですが。失礼ですが。出過ぎたことですが。生意気なようですが。〔用例〕憚りながら、ひとこと申し上げます。憚りながら、武士のはしくれです。
■ はんなり
京言葉で、明るくはなやかなこと。作家の故・藤本義一さんによれば、もっと幻想的で闇に浮かぶ白い花のようなぼんやりした美しさと表現、しかも「花あり」から来ているのではないかという。
■ 畢竟(ひっきょう)
さまざまな経過を経ても最終的な結論としては。つまるところ。結局。〔用例〕ひっきょう人は死を免れることはできない。
■ ひっそり閑(かん)
いっさい物音がせず静まり返っているさま。〔用例〕家の中はひっそり閑としている。
■ 一入(ひとしお)
いっそう。一段と。〔用例〕感慨も一入である。
■ 人となり
その人のありよう。生まれつき持っている性質。本性。からだつき。〔用例〕温和な人となり。
■ 日ならずして
あまり日がたたないうちに。間もなく。遠からず。〔用例〕日ならずして回復するだろう。
■ 不束(ふつつか)
未熟で行き届かない。〔用例〕不束者ですが、よろしくお願いします。
■ 芳紀(ほうき)
若い女性の年齢をいう言葉。〔用例〕芳紀まさに十九歳。
■ ほのめく
かすかに見える。ほのかに現れる。
■ 真(まこと)しやか
いかにも本当らしいさま。真実をよそおうさま。〔用例〕真しやかな嘘をつく。
■ 益荒男(ますらお)
勇ましく猛々しい男子。「丈夫」とも書く。
■ 未(ま)だき
早い時期・時点。未だその時期にならないうちに。〔用例〕朝未だきに家を出た。
■ 未だしも
不完全だがまだそれでも。それも悪いにせよ。それはまだ勘弁できるが。〔用例〕詫びるなら未だしも、開き直って言い返してきた。
■ またぞろ
またしても。「又候う」が転じたもの。〔用例〕またぞろ、彼の浪費癖が出てきた。
■ 微睡(まどろ)む
うとうととしばらくの間眠る。〔用例〕木陰で微睡む。
■ 随(まにま)に
他人の意志や事態の成り行きに任せて行動するさま。ままに。〔用例〕波の隋に小舟が漂う。
ある事柄が、他の事柄の進行とともに行われるさま。~につれて。~とともに。
■ 儘(まま)ならぬ
自分の思い通りにならない。〔用例〕彼は、儘ならぬことがあるとすぐに不機嫌になる。
■ 満を持す
弓を十分引き絞って、そのまま構える。転じて、十分に用意して機会を待つ。〔用例〕満を持して自分の出番を待つ。
■ 砌(みぎり)
時。ころ。折り。〔用例〕彼は、幼少の砌に母親を亡くした。
■ 見初める
一目ぼれする。〔用例〕彼女は、青年実業家に見初められた。
■ 見目(みめ)
外見。容貌。〔用例〕見目麗しい深窓の令嬢。
■ 専らにする
一つの事に専念する。ひたすら行う。〔用例〕修行を専らにする。
ほしいままにする。〔用例〕権勢を専らにする。
■ 持て成し
客に対する扱い・ご馳走。接待。〔用例〕丁重な持て成しを受ける。
人や物事に対する振舞い方、態度。とりはからい。処置。
■ 諸人(もろびと)
多くの人。
■ やおら
おもむろに。ゆっくりと動作を始めるさま。〔用例〕やおら立ち上がる。
■ 八千代
非常に長い年代。〔用例〕千代に八千代に。
■ やも知れず
不確かながら、そうかもしれないというときに用いる語。〔用例〕彼は、来るやも知れない。
■ 止(や)ん事ない
そのままにしてはおかれない。よんどころない。〔用例〕止ん事ない用事で、出席できない。
身分などが高い。高貴だ。並々でない。最高だ。
■ 遊子(ゆうし)
旅人。
■ 床(ゆか)しい
深みや品があって、心をひかれるさま。
■ 行きずり
通りすがり。道ですれ違うこと。
■ ゆくりなく
不意に。思いがけなく。〔用例〕ゆくりなくも旧友に再会する。
■ ゆめゆめ
決して。必ず。少しも。(下に禁止や打消しの語を伴) 〔用例〕ゆめゆめ油断してはならない。
■ よしや
たとえ。かりに。〔用例〕よしや地位を失おうとも、黙ってはいられない。
■ 終夜(よもすがら)
夜通し。一晩中。
■ 旅愁(りょしゅう)
旅先で感じる物寂しさ。
■ 凛(りん)と
態度・容姿・声などが、きびしく引き締まっているさま。りりしいようす。〔用例〕凛とした態度で臨む。
寒さのきびしいさま。〔用例〕凛とした朝の空気。
![]() |
ちょっと美しい日本語
昔の人たちが残してくれた、美しい日本語の数々。 |