そのほかの言葉
■ 手弱女(たおやめ)
しなやかで優美な女。弱々しくやさしい女性。
■逞(たくま)しゅうする
思う存分にする。勢いを盛んにする。〔用例〕想像を逞しゅうする。
■ 立ち所に
たちまち。すぐさま。その場ですぐに実現するさま。〔用例〕どんな難題でも立ち所に解決する。
■ たらしめる
そのようにさせる。〔用例〕中小企業の活動がわが国を工業立国たらしめる。
■ たりとも
~であっても。〔用例〕何人たりとも入るべからず。
■ 端麗(たんれい)
容姿や形が整っていて美しいさま。多く、女性にいう。〔用例〕容姿端麗な女性。
■ 契(ちぎ)る
将来を堅く約束する。とくに夫婦になる約束のもとに肉体的な交わりをする。
■ 千々(ちぢ)に
さまざまに。たくさんに。〔用例〕心が千々に乱れる。
■ 追憶(ついおく)
過ぎ去った日々や亡くなった人のことを、あれこれ思い出して懐かしむこと。
■つとに
ずっと以前から。早くから。朝早く。〔用例〕彼はつとにその名を世に知られていた。
■ 露(つゆ)ばかり
わずかばかり。少しばかり。〔用例〕露ばかりの気持ち。
■ つらつら
念を入れて物事を考えたり、見たりするさま。よくよく。つくづく。〔用例〕つらつら考えてみるに・・・。
■ 天真爛漫(てんしんらんまん)
純真で飾り気がなく、心のまま感情を表現し、明るく無邪気なさま。
■ 天手古舞(てんてこまい)
「てんてこ」は太鼓の音。太鼓の音に合わせて舞うこと。転じて、あることの準備や対処のため、きわめてあわただしく立ち回ること。うろたえてたち騒ぐこと。あわてること。
■ 兎角(とかく)
さまざまな物事を漠然とさす。何や彼(か)や。〔用例〕兎角するうちに一年が過ぎた。
ある状態になりやすいさま、または、ある傾向が強いさま。〔用例〕年を取ると兎角忘れっぽくなる。
■ 得心(とくしん)が行く
心から納得できる。〔用例〕説明を聞いて得心が行く。
■ 年ふる
年をとること。長い年月がたつこと。〔用例〕年ふるにつれて、庭の松の木も見事な枝ぶりになってきた。
■ どっこいどっこい
両者の力・勢いなどが互いに同じ程度で優劣がないさまのこと。〔用例〕両チームの戦力はどっこいどっこいだ。
■ 途轍(とてつ)もない
全く道理に合わない。 とんでもない。 また、きわめて図抜けている。 途方もない。「途轍」は、すじみち、道理のこと。〔用例〕途轍もなく壮大な計画。
■ とまれ
いずれにせよ。とにかく。「ともあれ」がつづまった言い方。「とまれかくまれ」は「とまれ」を強めた言い方。〔用例〕とまれ、先に食事を済ませる。
■ 止(と)め処(ど)なく
終わるところがない、際限ない、といった意味の表現で、動詞に係る。「止め処」は終わりの所のこと。〔用例〕止め処なく涙があふれる。〔類〕引きも切らず。
■ 友垣(ともがき)
友人。友と交わりを結ぶことを、垣を結ぶことにたとえたもの。
■ 輩(ともがら)
仲間。同輩。
■ とも付(つ)かず
~かどうかはっきりせず。どちらともいえず。〔用例〕夢とも現実とも付かず、とまどう。
■ 問わず語り
聞かれていないのに、自分から話すこと。〔用例〕問わず語りに身の上話をする。
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■ 内儀(ないぎ)
他人の妻を敬っていう語。〔用例〕お内儀様はご壮健でいらっしゃいますか。
■ 綯交(ないま)ぜ
色や種類が違う糸をあわせて1本のひもにすることから、いろいろなものを混ぜ合わせて1つの物を作り上げること。〔用例〕うそとまことを綯交ぜにした出世話。
■ 名うての
ある方面で有名な。著名な。〔用例〕名うての相場師。
■ 泣き濡れる
泣いた涙で、ほおが濡れること。
■ 泣きぼくろ
目の下や目尻のところにあるほくろ。女性の場合だけに使う。
■ 無くもがな
無いほうがよい。無くともよい。あらずもがな。〔用例〕無くもがなのセリフ。
■ 何をか言わんや
何を言おうか、言うことが何もない。 あきれて何も言えない。〔用例〕こんな基礎すら知らないようでは何をか言わんやだ。
■ 何くれと
あれやこれやと。さまざまに。〔用例〕何くれと世話をやく。
■ 何をおいても
何事にも優先して。何をさしおいてでも。〔用例〕何をおいても命が大切だ。
■ 何をか言わんや
何を言おうか、言うことが何もない。あきれて何も言えない。〔用例〕基礎知識もないようでは、何をか言わんやだ。〔類〕開いた口がふさがらない。
■ なべて
総じて。一般に。すべて。〔用例〕なべて日本国内は治安がいい。
■ 生半(なまなか)
積極的にふみきることができなくてためらうようす。中途半端。〔用例〕生半の恋。
■成(な)ろう事(こと)なら
できることなら。〔用例〕成ろう事なら、長と呼ばれる立場に成りたい。
■ 残(のこ)り香(が)
その人が去ったあとに残っている、その人の香り。
■ 長閑(のどか)
のんびりしていること。ゆったりしていること。
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■ 端(はし)無くも
思いがけず。〔用例〕端無くも賞を授かり、光栄の至りです。
■ 果たせる哉(かな)
やはり。案の定。考えていたとおり。〔用例〕果たせる哉、予想は的中した。
■ 花心(はなごころ)
花が持つ心という意味から、華やかな心や風流な心をいう。また、花は散りやすいところから、移ろいやすい心をいう。〔用例〕男はみんな花心を持っている。
■ 餞(はなむけ)
旅立ちや門出に際して、激励や祝いの気持ちを込めて、金品・詩歌・挨拶の言葉などを贈ること。また、その金品や詩歌など「馬の鼻向け」からきた言葉。〔用例〕卒業生に餞の言葉を贈る。
■ 花も実もある
外見がよく、内容も充実している。世間で有名なだけでなく、それにふさわいい実質も備わっている。〔用例〕花も実もある人生。
■ 憚(はばか)りながら
おそれおおいことですが。失礼ですが。出過ぎたことですが。生意気なようですが。〔用例〕憚りながら、ひとこと申し上げます。憚りながら、武士のはしくれです。
■ はんなり
京言葉で、明るくはなやかなこと。作家の故・藤本義一さんによれば、もっと幻想的で闇に浮かぶ白い花のようなぼんやりした美しさと表現、しかも「花あり」から来ているのではないかという。
■ 日(ひ)がな一日(いちにち)
朝から晩まで。一日中。〔用例〕日がな一日、物思いにふける。〔類〕ひねもす/ひもすがら
■ 飛翔(ひしょう)
空を羽ばたくこと。高く飛び立つこと。
■ 畢竟(ひっきょう)
さまざまな経過を経ても最終的な結論としては。つまるところ。結局。〔用例〕ひっきょう人は死を免れることはできない。
■ ひっそり閑(かん)
いっさい物音がせず静まり返っているさま。〔用例〕家の中はひっそり閑としている。
■ 一入(ひとしお)
いっそう。一段と。〔用例〕感慨も一入である。
■ 人となり
その人のありよう。生まれつき持っている性質。本性。からだつき。〔用例〕温和な人となり。
■ 日ならずして
あまり日がたたないうちに。間もなく。遠からず。〔用例〕日ならずして回復するだろう。
■ 風媒花(ふうばいか)
風の力によって花粉が運ばれて受粉する花。
■ 筆(ふで)を擱(お)く
文章を書き終える。 また、書くのをやめる。擱筆(かくひつ)する。〔用例〕長期に連載した小説の筆を擱く。
■ 炳(へい)として
光り輝いて。きわめて明らかに。〔用例〕炳として存す。
■ 芳紀(ほうき)
若い女性の年齢をいう言葉。〔用例〕芳紀まさに十九歳。
■ 暮色蒼然(ぼしょくそうぜん)
夕暮れになって、徐々にあたりが薄暗くなっていく様子。
■ ほのめく
かすかに見える。ほのかに現れる。
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■ 負(ま)けず劣(おと)らず
互いに優劣がつけにくいさま。〔用例〕負けず劣らず努力する。
■ 枉(ま)げて
無理に都合をつけて。ぜひ。しいて。〔用例〕枉げてご承知いただきたい。
■ 紛(まご)う方(かた)ない
間違えようがない。確かである。明らかである。他ならない。〔用例〕紛う方ない母の声。
■ 真(まこと)しやか
いかにも本当らしいさま。真実をよそおうさま。〔用例〕真しやかな嘘をつく。
■ 益荒男(ますらお)
勇ましく猛々しい男子。「丈夫」とも書く。
■ 未(ま)だき
早い時期・時点。未だその時期にならないうちに。〔用例〕朝未だきに家を出た。
■ 未だしも
不完全だがまだそれでも。それも悪いにせよ。それはまだ勘弁できるが。〔用例〕詫びるなら未だしも、開き直って言い返してきた。
■ 微睡(まどろ)む
うとうととしばらくの間眠る。〔用例〕木陰で微睡む。
■ 随(まにま)に
他人の意志や事態の成り行きに任せて行動するさま。ままに。〔用例〕波の隋に小舟が漂う。
ある事柄が、他の事柄の進行とともに行われるさま。~につれて。~とともに。
■ 見(まみ)える
お目にかかる。妻として夫に仕える。〔類〕御目見得する。
■ 砌(みぎり)
時。ころ。折り。〔用例〕彼は、幼少の砌に母親を亡くした。
■ 澪標(みおつくし)
通行する船に水脈や水深を知らせるために目印として立てる杭。
■ 見初(みそ)める
一目ぼれする。〔用例〕彼女は、青年実業家に見初められた。
■ 見目(みめ)
外見。容貌。〔用例〕見目麗しい深窓の令嬢。
■ 目眩(めくるめ)く
目がくらむ。目まいがする。転じて、あるものの魅力に我を忘れる。〔用例〕目眩く心地がする。
■ 目引(めひ)き袖引(そでひ)き
声を出さずに、目で合図したり袖を引いたりして、相手に自分の意志を知らせるさま。〔用例〕目引き袖引きして笑う。
■ 専(もっぱ)らにする
一つの事に専念する。ひたすら行う。〔用例〕修行を専らにする。
ほしいままにする。〔用例〕権勢を専らにする。
■ 物ともしない
何とも思わない。困難を障壁と捉えない。〔用例〕坂道を物ともしない。
■ 諸人(もろびと)
多くの人。
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■ やおら
おもむろに。ゆっくりと動作を始めるさま。〔用例〕やおら立ち上がる。
■ やきもき
物事がどうなるかと気をもんで、いらだつさま。〔用例〕間に合うかどうか、やきもきする。
■ 八千代(やちよ)
非常に長い年代。〔用例〕千代に八千代に。
■ やも知れず
不確かながら、そうかもしれないというときに用いる語。〔用例〕彼は、来るやも知れない。
■ 遣(や)る方(かた)無(な)い
方法がなくどうしようもない。思いを晴らす手立てがない。〔用例〕憤懣(ふんまん)遣る方無い。
■ 止(や)ん事ない
そのままにしてはおかれない。よんどころない。〔用例〕止ん事ない用事で、出席できない。
身分などが高い。高貴だ。並々でない。最高だ。
■ 已(や)んぬる哉(かな)
もうおしまいだ。今となっては、どうにもしようがない。〔用例〕矢折れ弓尽きた、已んぬる哉。
■ 遊子(ゆうし)
旅人。
■ 床(ゆか)しい
深みや品があって、心をひかれるさま。
■ 行きずり
通りすがり。道ですれ違うこと。また、その程度の、かりそめ。
■ ゆくりなく
不意に。思いがけなく。〔用例〕ゆくりなくも旧友に再会する。
■ ゆめゆめ
決して。必ず。少しも。(下に禁止や打消しの語を伴) 〔用例〕ゆめゆめ油断してはならない。
■ 余儀(よぎ)無(な)い
やむをえない。 ほかに方法がない。〔用例〕余儀ない事情で欠席する。辞任を余儀なくされる。〔類〕拠所(よんどころ)無い。
■ 能(よ)くする
巧みに行う。十分に手落ちなくする。〔用例〕文を能くする。
■ よしや
たとえ。かりに。〔用例〕よしや地位を失おうとも、黙ってはいられない。〔類〕よしんば
■ 夜這星(よばいぼし)
流れ星の別名。清少納言の『枕草子』にも「よばひぼし」として登場する。
■ 夜の帳(よるのとばり)
夜の闇を帳にたとえていう語。帳は「戸張り」が語源で、戸の代わりに張るもの。〔用例〕夜の帳が下りる。
■ よんどころない
やむをえない。〔用例〕よんどころない用事で欠席する。
■ 落花流水(らっかりゅうすい)
落ちた花が水に従って流れる意で、ゆく春の景色。転じて、物事の衰えゆくことのたとえ。
■ 柳眉(りゅうび)
美人の眉のたとえ。「柳眉を逆立てる」は、美人が眉を吊り上げてひどく怒るさま。
■ 流麗(りゅうれい)
詩や文章、音楽などがよどみなく美しいさま。文章語。〔用例〕流麗な笛の音。
■ 旅愁(りょしゅう)
旅先で感じる物寂しさ。
■ 凛(りん)と
態度・容姿・声などが、きびしく引き締まっているさま。りりしいようす。〔用例〕凛とした態度で臨む。
寒さのきびしいさま。〔用例〕凛とした朝の空気。
■ 麗色(れいしょく)
のどかで美しい景色を表現した言葉。
■ 黎明(れいめい)
夜明け。明け方。新しい事柄が始まろうとすること。また、その時。〔用例〕近代日本の黎明を告げる。
※「美しい大和言葉」も併せて御覧になってください。
ちょっと美しい日本語
昔の人たちが残してくれた、美しい日本語の数々。 |
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