とっておきの美しい日本語たち
月日は
百代(はくだい)の過客(かかく)にして
行きかふ人もまた旅人なり
~松尾芭蕉『奥の細道』から
東海の小島の磯の白砂に
われ泣きぬれて
蟹(かに)とたはむる
~石川啄木『一握の砂』から
おうい雲よ
ゆうゆうと
馬鹿にのんきそうじゃないか
どこまでゆくんだ
ずっと磐城平ら(いわきたいら)の方までゆくんか
~山村暮鳥『空』
清水へ
祇園をよぎる桜月夜
こよひ逢ふ人みなうつくしき
~与謝野晶子の短歌
一瞬も 一生も 美しく
~資生堂のCM
そんな時代もあったねと
いつか話せる日が来るわ
あんな時代もあったねと
いつか笑って話せるわ
~『時代』から
ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。
淀みに浮かぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、
久しくとどまりたる例(ためし)なし。
~鴨長明『方丈記』から
春過ぎて
夏 来(きた)るらし白妙(しろたえ)の
衣乾したり天の香具山
~『万葉集』から持統天皇の御製歌
田子の浦にうちいでてみれば真白にぞ
富士の高嶺(たかね)に雪は降りける
~『万葉集』から山部赤人の歌
太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ
次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ
~三好達治の『雪』
国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。信号所に汽車が止まった。
~川端康成『雪国』から
難波津に 咲くやこの花 冬ごもり 今を春べと 咲くやこの花
~『古今和歌集』から王仁の歌
汽車を待つ君の横で僕は時計を気にしてる
季節はずれの雪が降ってる
東京で見る雪はこれが最後ねと
寂しそうに君はつぶやく
~『なごり雪』から
花の色はうつりにけりな
いたづらに
わが身世にふるながめせしまに
~小野小町の歌
山路を登りながら、こう考えた。智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい。
~夏目漱石『草枕』から
君がため
春の野にいでて若菜つむ
わが衣手に雪は降りつつ
~光孝天皇の御製歌
あなたと、あなたと、あなたと。いっしょに。
~ダイワハウスグループのCM
立てば芍薬(しゃくやく)座れば牡丹(ぼたん)歩く姿は百合(ゆり)の花
~美人を形容する語
ふるさとは遠きにありて思ふもの
そして悲しくうたふもの
よしやうらぶれて異土の乞食(かたゐ)となるとても
帰るところにあるまじや
~室生犀星『小景異情』から
目には青葉 山ほととぎす 初鰹(はつがつお)
~山口素堂の句
小諸なる古城のほとり
雲白く遊子悲しむ
~島崎藤村『小諸なる古城のほとり』から
化粧する君の
その背中がとっても
小さく見えて
仕方ないから・・・・・・
~『雨の物語』から
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夕焼け小焼けの赤とんぼ
負われて見たのは
いつの日か
~『赤とんぼ』から
月みれば
ちぢに物こそかなしけれ
わが身ひとつの秋にはあらねど
~『小倉百人一首』から大江千里の歌
一輪咲いても 花は花
~ことわざ
その日のうちのプロポーズ
その夜のうちの口づけは
幼なじみの幸せに香るレモンの味だっけ
~『幼なじみ』から
涙くんさよなら
~歌の題名
祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹(しゃらそうじゅ)の花の色、盛者必衰(じょうしゃひっすい)の理(ことわり)をあらはす。
~『平家物語』から
春の海 ひねもす のたりのたりかな
~与謝蕪村の句
その子二十
櫛にながるる黒髪の
おごりの春のうつくしきかな
~与謝野晶子の短歌
かなかなかなかなかな・・・・・・
~ひぐらしの鳴き声
いづれの御時(おんとき)にか、女御(にょうご)・更衣あまた候(さぶら)ひたまひける中に、いとやむごとなき際(きわ)にはあらぬが、すぐれて時めきたまふありけり。
~『源氏物語』から
諸人(もろびと)こぞりて 迎えまつれ
久しく待ちにし 主は来ませり
~賛美歌112番から
泣きながら生まれてきたキミだから、これから、たくさん笑ってほしい。
~小学館のCM
おやすみなさい。命令形なのに優しいね。
~大塚製薬のCM
いずれ菖蒲(あやめ)か杜若(かきつばた)
~ことわざ
やはり野に置け蓮華草(れんげそう)
~ことわざ
雲はわき 光あふれて
天高く 純白の球 今日ぞ飛ぶ
若人よいざ まなじりは歓呼に応え
いさぎよし ほほえむ希望
ああ 栄冠は君に輝く
~『栄冠は君に輝く』から
キリンさんが好きです。でも、ゾウさんのほうがもっと好きです。
~松本引越センターのCM
三七七八米の富士の山と、立派に相(あい)対峙(たいじ)し、みじんもゆるがず、なんと言うのか、金剛力草とでも言いたいくらい、けなげにすっくと立っていたあの月見草はよかった。富士には、月見草がよく似合う。
~太宰治『富嶽百景』から
これやこの
行くも帰るも別れては
知るも知らぬも逢坂(おうさか)の関
~『小倉百人一首』から蝉丸の歌
小さい秋 小さい秋 小さい秋 見つけた
誰かさんが 誰かさんが 誰かさんが 見つけた
~サトウハチロー『小さい秋見つけた』から
今日も新幹線をご利用くださいまして有難うございます。
この電車は、のぞみ110号東京行きです。
~新幹線の車内放送
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遠い地平線が消えて、深々とした夜の闇に心を休めるとき、
はるか雲海の上を音もなく流れ去る気流は、
たゆみない宇宙の営みを告げています。
満天の星をいただく、
はてしない光の海をゆたかに流れゆく風に心を開けば、
きらめく星座の物語も聞こえてくる、
夜の静寂の、なんと饒舌なことでしょうか。
光と影の境に消えていった
はるかな地平線も瞼に浮かんでまいります。
日本航空があなたにお送りする音楽の定期便ジェットストリーム。
皆さまの夜間飛行のお供をするパイロットは私、城達也です。
~『ジェットストリーム』のナレーション
謹啓
ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
日頃は格別の御引き立てを賜り、まことに有難うございます。
~ビジネス書簡の文句
青は藍より出でて藍より青し
~ことわざ
恋に焦がれて鳴く蝉(せみ)よりも
鳴かぬ蛍(ほたる)が身を焦がす
~都都逸から
散りぬべき
時知りてこそ世の中の
花も花なれ 人も人なれ
~細川ガラシャの辞世の歌
友達よ泣くんじゃない
~歌の題名
さいた さいた
さくらが さいた
~小学1年生の国語の教科書から
母から授かった優しい命
父から授かった元気な命
誰かを愛する 愛するために
愛されるために
~『昨日でもなく明日でもなく』から
どっかに行こうと私が言う
どこ行こうかとあなたが言う
ここもいいなと私が言う
ここでもいいねとあなたが言う
言ってるうちに日が暮れて
ここがどこかになっていく
~谷川俊太郎の『ここ』
「別に用はないけど」の「けど」が好き
~NTTドコモのCM
はえば立て 立てば歩めの 親心
~川柳
かたい絆に 想いをよせて
青春の日々
時には傷つき 時には喜び
肩をたたき合った あの日
あれからどれくらい たったのだろう
沈む夕日を いくつ数えたろう
故郷の友は
今でも君の心の中にいますか
~『乾杯』から
春はあけぼの。やうやうしろくなりゆく山ぎは、少しあかりて、紫だちたる雲のほそくたなびきたる。
~『枕草子』から
若かったあの頃
何も怖くなかった
ただ あなたの優しさが
怖かった・・・・・・
~かぐや姫の『神田川』から
ちょっと美しい日本語
昔の人たちが残してくれた、美しい日本語の数々。 |
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