蘇軾
暮雲収盡溢清寒
銀漢無聲轉玉盤
此生此夜不長好
明月明年何處看
暮雲(ぼうん)収(おさ)まり尽(つ)きて清寒(せいかん)溢(あふ)る
銀漢(ぎんかん)声(こえ)無(な)く玉盤(ぎょくばん)転(てん)ず
此(こ)の生(せい)此の夜(よ)長(とこし)えには好(よ)からず
明月(めいげつ)明年(みょうねん)何(いず)れの処(ところ)にか看(み)ん
【訳】
日暮れ時、雲はどこかに去ってしまい、心地よい冷気が辺りに満ちている。天の川は音もなく流れ、玉の盆のような月があらわれた。
この人生、この夜がいつまでも続くとは限らない。この明月を、来年はどこで見ているのだろうか。
【解説】
作者41歳、徐州(江蘇省)の知事であった時に、仲のよい弟の轍(てつ)とともに暮らした彭城(ほうじょう)で詠んだ詩です。第2句で銀漢(天の川)と月の神秘的な美しさを際立たせ、第3・4句では、そうした月夜がいつまでも見られるとは限らないという世の無常に、将来の期待と不安とが入り混じった作者の心情が窺えます。
七言絶句。「寒・盤・看」で韻を踏んでいます。〈中秋月〉は陰暦8月15日の月。〈暮雲〉は夕暮れ時の雲。〈収盡〉は、どこかにしまい込まれて無くなる。〈清寒〉は清々しい冷気。〈銀漢〉は天の川、銀河。〈声無〉は音が無い。〈玉盤〉は月の異名。〈不長好〉は、いつまでも良いとは限らない。「とこしえによからず」と読んで、「いつも良いとは限らない」とするものもあります。
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