言葉の由来(語源)
■ 大根役者
大根は、どんな食べ方をしても、どんなにたくさん食べてもお腹をこわさない。すなわち絶体に当たらない。そこから、どんなに熱演しても、どんなに脇役を固めても、客が入らない。つまり、絶体に「当たらない」役者を大根役者と呼ぶようになりました。
■ 泰斗(たいと)
世間から重んぜられる権威者、その道の大家のことで、「泰」は泰山(たいざん)、「斗」は北斗星。どちらも人々から仰ぎ尊ばれているものであることから。
■ 台無し
物事が駄目になる意味の「台無し」の「台」は、仏像を置く台座のこと。台座がなくては、仏像の威厳がなくなってしまうことから来ています。
■ 高飛車(たかびしゃ)
相手に対して高圧的な態度をとること。本来は将棋用語で、将棋の飛車を自分の陣の前に出して攻める戦法の名。
■ 高を括る(たかをくくる)
大したことはないと見くびること、これくらいのものだろうと軽く考えること。「高」は収穫高(石高)、「括る」はひとまとめにすることで、大名同士の戦に先だって勝敗の見込みを予測するため、相手の領地の石高を計算したことから来ています。
■ 凧(たこ)あげ
お正月の遊びである「凧あげ」は、もとはその形から「イカあげ」と言っていましたが、江戸時代に事故が頻発したことから「イカあげ禁止令」が出されました。それでも凧をあげたい庶民は「イカではなくタコをあげている」と言い訳し、「凧あげ」になったといわれます。
■ 棚ぼた
思いがけない幸運を意味する「棚ぼた」は「棚からぼた餅」の略。では、なぜ棚からぼた餅が落ちてくるかというと、その棚が神棚だから。この言い回しが生まれた江戸時代は、甘味に乏しく、滅多に口にすることができなかったため、そんな貴重なお供えの甘いぼた餅が落ちてくるのは、またとない幸運だったのです。
■ タニマチ
大相撲で、力士のひいき筋・後援者のこと。タニマチの語源は、現在の大阪市中央区谷町。ここに住んでいた医者が大の相撲ファンで、力士が怪我をすると無償で治療にあたっていたことから来ています。
■ たまげる
「たまげる」は漢字で「魂消る」と書きます。魂が消えるほどという思いから、驚きを意味する言葉となりましたが、本来は「魂切る」と書いていて「怯える」という意味でした。
■ たらい回し
人や物事を他者に対応させて面倒を避ける意味の「たらい回し」は、もとは大型のたらいを足に乗せて回す曲芸のことです。何人かの曲芸師が仰向けに寝て、たらいを回しながら次々に足から足へと受け渡していくもので、このようすから今の意味になりました。
■ ちぐはぐ
物事がかみ合わず、調和がとれないこと。「ちぐはぐ」の「ちぐ(鎮具)」は金づち、「はぐ(破具)」は釘抜きを意味し、両方を交互に使っていては一向に仕事が進まないことから。あるいは、棟梁の手下が、金づちが必要なときに釘抜きを差し出し、釘抜きが必要なときに金づちを差し出すさまからこの言葉が生まれたといわれます。
■ 巷(ちまた)
道が分かれる所。転じて、人が集まるにぎやかな所。「ち」は道、「また」は「股」で、二つに分かれる意。
■ ちゃきちゃき
正統であること、血筋にまじりけがなく純粋なこと。「嫡々(ちゃくちゃく)」が転じた語で、「嫡々」は、嫡子から嫡子へ家系を伝えるという意味です。
■ ちょっかいを出す
わきから余計な口出しをしたりして干渉する。また、ふざけ半分に女性に手を出すこと。猫などがじゃれて前足で物をかき寄せるような動作をするのを「ちょっかい」といい、そこから来ています。
■ つうと言えばかあ
互いに気心が知れていて、少しの言葉だけで通じるさま。語源には諸説あるようですが、有力なのは「・・・つぅことだ」と言ったのに対し「そうかぁ」と答える間柄にあるというものです。
■ 辻褄(つじつま)
物事の道理や筋道の意味で「辻褄が合う」とか「辻褄が合わない」と表現します。「辻」は裁縫で縫い目が十字になって交差するところ、「褄」は着物の裾の左右が合わさるところのことで、どちらもきっちり合うべきところというわけです。
■ 辻褄(つじつま)
物事の道理や筋道の意味で「辻褄が合う」とか「辻褄が合わない」と表現します。「辻」は裁縫で縫い目が十字になって交差するところ、「褄」は着物の裾の左右が合わさるところのことで、どちらもきっちり合うべきところというわけです。
■ 梅雨(つゆ/ばいう)
もともと中国生まれの熟語で、中国では6~7月に揚子江流域で雨季となり、ちょうど梅の実が熟する季節であるところから「梅雨」と呼ばれました。それが日本に伝わり、日本の古語の「つゆ」と結びついたものです。
■ 出鱈目(でたらめ)
「出鱈目」と書くのは当て字で、古語でいう「出(い)でたらむ目」が語源、つまり「出た次第の目」の意です。ここの「目」は、「落ち目」とか「憂き目」などに用いられる、状態的な時間性を表しています。
■ 出前(でまえ)
「出前」の「前」は「お前」のこと。お前のとこに出向くから「出前」となったわけですが、「お前(御前)」はもともと身分の高い人に対する言い方ですから、決して失礼な言い方ではありません。
■ 堂々巡り(どうどうめぐり)
議論や思考が同じような内容の繰り返しになって、少しも先へ進まないこと。もとは祈願のために神社や寺のお堂の周りを何度も何度も回ることを意味しましたが、転じて、話が先に進まないという意味になったと言われています。
■ 道楽(どうらく)
本来は「仏道を解した楽しみ」だったのが、徐々に単なる楽しみに傾いていき、趣味などに没頭して楽しむ意になりました。
■ 徳利(とくり)
首が細くなった酒の容器。とっくりとも。語源は、酒を注ぐときに出る音から来ているといわれます。
■ 土壇場(どたんば)
物事が決定しようとする最後の瞬間・場面。もとは、近世に首切りの刑を行うための場所のことで、そこから転じて、進退きわまった場面をいうようになりました。
■ とどのつまり
物事の果て、結局のところ、という意味。「とど」はオットセイやアシカなどの海獣ではなく、出世魚の「ボラ」のこと。ボラは、稚魚のときのオボコから、スバシリ、イナ、ボラと呼び名が変わり、最後が「トド」。これ以上は無いため、そこから「とどのつまり」と言われるようになりました。なお、初々しい女子を「おぼこ娘」といいますが、これも稚魚時代の「オボコ」から来ています。
■ 鳥居(とりい)
神社の入り口の門。鳥が居るところの意で、古くは、神に仕えた鶏のとまり木とされていました。
■ とんでもない
もってのほかだ、思いがけないの意味の「とんでもない」は、「途でもない」が変化した言葉で、「途」は道や方向のこと。
■ 丼(どんぶり)
器を無造作に水中に投げ入れたときの「どんぶり」の音からとったものといわれます。
【PR】
■ 蔑ろ(ないがしろ)
軽んじて無視すること。「無きが代(しろ)」が音変化した語で、「代」は代わりとなるもの。つまり、代用の必要すら無いに等しいということ。
■ なし崩し
「なし」は「済し」と書いて、返済する意。「なし崩し」は、借金を少しずつ返済していくこと。本来は悪い意味の言葉ではないのです。
■ 艶(なま)めかしい
多く女性についていう語で、うるおいがあって、色気が漂うさま。名詞の「生(なま)」に接尾語の「めく」が付いてできた動詞「なまめく」が形容詞化した言葉です。
■ 鳴り物入り
大げさな宣伝を行うこと。歌舞伎などの伴奏音楽として、にぎやかな鳴り物を鳴らして拍子をとるところから。
■ 生業(なりわい)
くらしを立てるための仕事。「生(なり)」は五穀が生る、生産の意で、本来は田畑を耕して作物を作ること。
■ ニキビ
穀物の黍(きび)の実が赤くふくれているところがよく似ているところから「にきみ」と言われるようになり、転じて「にきび」となりました。
■ にべもない
愛想がなくそっけないこと。「にべ」はスズキ目ニベ科に属する魚の名前で、その浮袋がネバネバしていて接着剤の原料に使われ、膠(にかわ)が作られました。その粘着力の強さから、親密な人間関係を意味する言葉として使われ始め、ひどく不愛想なさまを「にべもない」と言うようになりました。
■ 女房(にょうぼう)
妻を意味する「女房」は、多く、夫が自分の妻をさして言います。「房」は部屋の意で、宮中に仕えた女官の部屋が原義です。平安中期以降一般化した呼称で、部屋を与えられた上級の者が女房と称されました。
■ 糠(ぬか)喜び
「糠」は、穀物を精白した際に出る果皮、種皮、胚芽などが砕け混ざった粉。細かくて頼りなく、はかない様子から「糠喜び」の語が生じたとされます。
■ 抜き足差し足(ぬきあしさしあし)
歩くとき、そっと抜くように足を上げるのが抜き足、その足を踏み出すのを差し足といいます。
■ 濡れ衣
無実の罪を着せられることを意味する「濡れ衣」は、8世紀ごろに起こったある事件が語源になっています。娘のいる父親と再婚した後妻は日ごろから娘の美しさに嫉妬し、ある晩、眠っている娘の枕元に、漁師の濡れた衣服を置いておきました。それを見た父親は、娘が漁師と姦淫したと思い込み、娘を殺してしまったというものです。なお、他にも説はあるようですが、これが最有力となっています。
■ 猫糞(ねこばば)
悪行を隠して知らん顔をすること。拾った物を黙って自分の物にすること。猫がばば(糞)をしたあと、足で砂をかけて隠すことからきた言葉。
■ 螺子(ねじ)
「螺」は巻貝のことで、たとえばタニシは「田螺」、サザエは「栄螺」と書きます。その形から、らせん状のものという意味が生じ、ネジを「螺」と書くようになり、さらに貝類と区別するために「子」をつけて「螺子」となりました。
■ 能書き
自分の優れた点や得意なことを言い立てるのを「能書きを垂れる」などと言いますが、「能書き」の元の意味は、薬の効能などを書き記した「効能書き」です。医師から薬が処方され、あれこれ効能を説明されても効き目がないことを捉え、このような意味になったとされます。。
■ のっぴきならない
どうにもならない。引き下がることができない。「のっぴき」は「退き引き」が変化したもので、避けることも退くこともできないの意味。
■ のど
「飲み物の門」という意味の「のん(飲む)」と「と(門)」からできた言葉で、もとは「のんど」と言っていました。
■ 敗北
戦いに負けること。「敗北」の「北」は、負けて逃げる方角を示しているのではなく、お互いに背を向けているさまを示しています。つまり、相手に背を向ける、そこから負けて逃げるという意味になりました。
■ 白書(はくしょ)
政府の各省庁による、所管する行政活動の現状や展望などを国民に知らせるための報告書。日本では、昭和22年(1947年)に片山内閣が発表したのが最初です。語源は、イギリス政府が発行する「white paper」の邦訳で、表紙が白いため、こう呼ばれます。
■ バタくさい
文字通りバターくさい、バターの匂いがするさまですが、転じて、欧米風な味わいがするさま、また、欧米かぶれしていやな感じがするさまを表す言葉。近代になって西洋から入ってきたパンとバターに代表させて言うようになったとみられます。今ではあまり使われなくなった言葉です。
■ はだし
漢字では「裸足」と書きますが、もとは「肌足」、つまり「肌を出した足」です。
■ ハンバーグ
誰もが大好きなハンバーグ。起源は18世紀ごろのドイツの都市ハンブルグとされます。正式な名は「ハンバーグ・ステーキ」、ハンブルグ風のステーキというわけです。
■引き出物
結婚式や祝賀パーティなどの祝い事で招待客に配られる贈呈品。平安時代のころに、馬を庭先に引き出して贈ったことに由来します。
■火の車
「火車(かしゃ)」の訓読みで、生前悪事を犯した者を乗せて地獄へ運び、また、地獄にあって火が燃えている車のこと。いたたまれないところから、家計のやりくりがひどく苦しいたとえに用いられるようになりました。
■ 冷やかす
相手が困ったり恥ずかしがったりするような言葉をかけてからかうことや、買う気もないのに品定めをする意味の「冷やかす」。いったい何を冷やかすのかというと、昔の浅草の紙職人さんが、古紙で再生紙を作るときに紙をしばらく水に浸して「冷やかす」処理をしていました。その間が暇になるので、近くの吉原に出かけて、買う気もない女郎の品定めをしたり、からかったりしていたといい、そこから来ている言葉です。
■ ひょうきん
気軽でおどけた感じを意味する「ひょうきん」は、漢語の、身軽で素早いさまをいう「剽軽(ひょうけい)」に由来します。これが軽率などの意味で用いられるようになり、今の意味に転じていきました。
■ 腑(ふ)に落ちない
納得がいかない、合点がいかないこと。「腑」は内臓器官である「五臓六腑」の六腑の「腑」、つまり胃。小腸、大腸、胆嚢、膀胱、三焦(排泄器官?)のことで、もとは、ここで消化しきれない不快感を意味しました。
■ 別嬪(べっぴん)
美しい女性のこと。もともとは「別品」で「別格の品」、非常に優れた人や物をさす言葉でしたが、女性をさすようになってから「品」の文字が「嬪」に当てられました。「別品」という言葉は、江戸の鰻屋が「頗る別品」と売り文句を看板にして広まったといわれます。
■ 屁の河童(へのかっぱ)
何でもないこと、何とも思わないことを表現する「屁の河童」は、本来は「河童の屁」であるはず。しかし、元は「木っ端の火」が語源です。木っ端は小さな木くずで、火がつくと簡単に燃えます。そこから、簡単であることを「木っ端の火」と言うようになり、それがやがて「河童」になり、さらに前後を逆にして「屁の河童」となりました。
■ 弁当(べんとう)
事前に弁(そな)えてその用に当てる意。好都合・便利の意には主に「便当」と表記され、鎌倉時代ごろから、携帯用の容器の意に用いられるようになりました。
■ 放縦(ほうじゅう/ほうしょう)
気まま、わがままなこと。「縦」には「たて」の他に「したいようにする」という意味があり、そんな勝手な人や物をうまく操るのが「操縦」であり、その反対語が「放縦」です。
■ 坊主(ぼうず)
「坊」は、平城京などの都城制における一単位で、四方を大路で囲まれた一画のこと。のちに、僧のいる所、僧坊・寺院をさすようになり、その一坊の主人を坊主と言いました。室町時代以後、転じて一般の僧侶の呼称となりました。
■ 包丁(ほうちょう)
中国戦国時代、梁(りょう)の恵王(けいおう)は包丁(ほうてい)という料理の名人をかかえていました。包(庖)とは料理人の意、丁はその男の姓で、この人の名から転じて、料理に使う刃物を「包丁」と呼ぶようになりました。
■ 亡命(ぼうめい)
主に政治的な事情によって本国から逃亡し、外国に庇護を求めること。「亡」は亡くす意、「命」は名籍、戸籍の意で、古代中国では、戸籍を抜けて姿をくらますことを意味しました。現在の意味で用いられるようになったのは明治時代になってからです。
■ 発足(ほっそく)
本来は「足を使って歩き始める」、つまり旅などに出発することを意味しましたが、やがて意味が広がり、さまざまな物事の始まりを意味するようになりました。
■ まだら
「まだら模様」などという「まだら」は、仏教用語の「曼荼羅(まんだら)」から来ています。もっとも、曼荼羅は円や四角が集まった左右対称の精密な画であるのに対し、私たちが使っている「まだら」は不規則な模様をさしますので、語源からは遠ざかっています。
■ まつげ
「ま」は「目」のことで、「つ」は「~の」を表す古語。つまり「目の毛」という意味。なお、まつげによく似た「まゆげ」は目の上の毛、「うえまげ」から来た言葉。
■ まな板
昔は魚や野菜を「な」と呼んでいましたが、やがて魚だけを区別して「まな」と呼ぶようになりました。「まな」を料理する板というので「まな板」です。
■ まぶい
美しいという意味の「まぶい」は、「本物」を意味する「まぶ」が形容詞化したもので、起源は江戸時代の職人などが使っていた隠語です。「まぶダチ」という言い方がありますが、本物の友達、すなわち親友のことをさします。
■ 漫才(まんざい)
本来は「万歳(萬年)」と書き、万年も栄えるように祝うことを意味しました。中世以降、新年に宮中などで祝い言を述べ、舞を舞った「千秋万歳(せんずまんざい)」が漫才の原型とされます。
■ まんまと
形容詞の「うまい(上手い)」の語幹「うま」を重ねた「うまうま」が変化した語。もとは、見事に成し遂げるさまを意味しましたが、今では「敵のわなにまんまとはまる」のように、悪い企みがうまく行われるさまに使われる場合が多くなっています。
■ みっともない
見たくもないが原義で、「見たくもなし」から「見たうもなし」、さらに「見ともなし」が生じ、それに促音が挿入されてできた言葉。
■ ミーハー
流行ににわかに熱中する人、とくに女性を嘲っていう「ミーハー」。語源には諸説あるようで、有力なのは、戦前に女の子の名前にもっとも多く使われたのが「美」と「花」の二文字だったことから、つまらない女性を揶揄して「みいちゃんはあちゃん」と呼ぶようになり、それが省略されて「ミーハー」になったというものです。
■ 無茶苦茶(むちゃくちゃ)
まったく筋道の立たないさま。もとは接遇を表現する言葉で、お客に対しお茶も出さず、また出したとしても苦くて飲めない茶という意味から来ています。
■ 無鉄砲(むてっぽう)
どうなるか先のことをよく考えずにむやみに行動すること。「鉄砲も持たずに敵地へ攻め込む」の意味ではなく、「無鉄砲」の字は当て字です。もとは「無点法(むてんぽう)」や「無手法(むてほう)」に由来するという説が有力です。「無点法」の「無点」とは「返り点や送り仮名が無い漢文」のことで、無点の漢文は日本人には読みにくいことから、「無点法」は「はっきりしないこと」という意味で使われるようになりました。また、「無手法」は「手に何も持っていないこと、特別な方法がないこと」を意味します。これらが変化して「無鉄砲」になったといいます。
■ 目
もとは「ま」だったのが変化して「め」になりました。目に関係する言葉には「ま」が多く使われています。たとえば、まつげ、まゆげ、まなざし、まばたき、まぶた、まぶか、まのあたりにする、など。
■ 目安(めやす)
おおまかな目当て、目標、目じるしのこと。見苦しくない、感じがよい意の形容詞「目安し」の語幹が名詞に転じたもので、もとの意味は、見ていて安心していられる。
■ めりはり
ゆるめることと張ること。特に音声をゆるめることと。邦楽用語の「めりかり」が語源で、「めり」は、減る、調子を低くする意の「める(減る)」の連用形。「かり」は、強いてさせる意の「かる(駆る)」の連用形。「かり」が「はり」に転じて「めりはり」となりました。
■ 面食らう
不意のことにとまどったり、あわてふためくこと。「橡麺棒(とちめんぼう)を食らう」の略とされます。橡麺棒は、橡(栃)の実を小麦粉などに混ぜて麺をつくる際に使う棒のことで、固まるのが早いために急いで麺棒をふるう必要がありました。その急ぎ慌てるようすから、今の意味に使われるようになりました。
■ もぬけの殻(から)
人がいなくなり、空っぽになったもの。「もぬけ」は、ヘビや昆虫などが脱皮する「裳抜け/蛻」、「殻」は抜け殻のこと。だから、空っぽの「空」と書くのは正しくありません。
■ 紅葉(もみじ)
上代の言葉に、紅葉する意の「もみつ」という動詞があり、それが名詞化したもの。
■ 焼糞(やけくそ)
望みを失って投げやりになること。「焼糞」と書くのは当て字で、「やけ」は「嫌気(厭気)」の略であり、「くそ」は強意の助詞「こそ」が変化したもの、つまり「もう嫌気がさしたよ」の意の「嫌気こそ!」が語源です。
■ 野心(やしん)
もとは漢語で、本来の意味は、オオカミの子が人に飼われていても飼い主を害そうとする野性の荒々しい本性のこと。転じて、他人を害そうとしたり、謀反を企む人の心の意となり、さらに転じて、身分不相応で大胆な望みをさすようになりました。
■ ややこしい
「ややこ」は赤子のこと。大人(おとな)が形容詞の「大人しい」になったように、赤子すなわち稚子(ややこ)の世話の煩わしさから、煩わしいことを「ややこしい」と言うようになりました。
■ やましい
良心に恥じるところがあって気がひけること、後ろ暗いこと。心に病むべき状況のあるさまをいうことから、動詞の「病む」が形容詞化したものです。
■ 遊説(ゆうぜい)
「遊説」は、意見や主義主張を説いてまわることで、特に政治家が各地を演説してまわること。「遊」は、遊ぶのではなく「歩き回る」を意味します。元々は古代中国で、天子が与えた領土の諸侯を訪ね、考えを説くために歩き回ることを意味しました。
■ 烙印(らくいん)を押される
ぬぐい去ることのできない不名誉な評価を受けること。「烙印」は、昔、刑罰として罪人の額などに押した焼き印のことです。
■ 落語(らくご)
落ちのある話、落とし話から出た語。本来は、欠落した語、書き落とした言葉の意。
■ 落第(らくだい)
「第」は「第一位」などのように、一段一段の段階や物事の順序を意味し、それが、段階ごとの試験をも意味するようになりました。
■ 狼狽(ろうばい)
あわてふためくこと。古代中国の言い伝えに由来する言葉で、「狼」はオオカミ、「狽」はオオカミの一種である架空の動物。前足がなく自分で歩くことができなかったため、いつも狼の背中に乗っていましたが、狼と離れるとひどくうろたえたことから、今の意味になったとされます。
■ 露骨(ろこつ)
ここの「露」は、さらす意で、「露骨」は戦死して戦場に骨をさらすことをいいましたが、そこから転じて、言辞があらわなことをいうようになりました。
■ 割を食う
「割」は、割り振る、割り当てるの意で、転じて役割や分配、さらにその損得の具合を意味するようになりました。得をする場合は「割がいい」「割に合う」などと言い、損をする場合は「割が悪い」「割に合わない」などと言います。「割を食う」の「食う」は、ここでは他からある行為を受けることを意味し、まわりのせいで損な結果になる場合をいいます。
■ 腕白(わんぱく)
いたずら盛りで、大人の言うことを聞かない子供を指す言葉。「腕白」と書くのは当て字で、語源には2つの説があります。一つは権力者である「関白」から来たとするもの。もう一つは漢語で不正・無道を意味する「枉惑(わうわく)」が「わやく」や「わわく」などと訛り、「わんぱく」に変化したとするものです。
【PR】
【PR】