バレエ教室をやってる女性のお話です。といっても、生徒は3歳前後の小さな女の子たちばかり。可愛いだろうなと思う一方で、そんな年代の子たちに教えるのはさぞや大変だろうと思いましたら、彼女に言わせると、とても「指導」と呼べるものではないそうです。指導ではなく、むしろ「調教」だといいます。サルの調教と同じだって。
たとえば、生徒たちに向かって「先生が踊るのをよく見ててね」と言っても、決してその通りにならない。そう言った端から、もう、あっちを見たりこっちを見たり、立ったり座ったり動き回るはで、まさにサル。始めから終わりまですべてがそんな感じで、授業が終わったら精神的にへとへとに疲れるそうです。
それでも、そんな彼女たちにも一丁前に「発表会」がありまして、といっても老人ホームなどを慰問に訪れて披露するわけです。小さなバレリーナの衣装をまとったサルたちが、そこで一体どんな演技をするのか。これが驚くなかれ、いつものサルぶりは全く消えて、実にシャキッとした演技をするんですって。初めてのときは、先生もビックリしたそうです。
これが子供の感覚、感性というものなんでしょうね。大人ではあり得ない。あっちこっち気を取られて先生の話なんぞ全然見聞きしていないようでいて、吸収すべきことは、いつの間にかしっかり吸収して身に付けている。そして、真剣に発揮すべき時と場をきちんとわきまえている。実にスバラシイではありませんか!
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