いつだったか、本屋で「医学部の面接試験」対策の参考書を立ち読みしていましたら、その中に、医師としての”究極の選択”を問われるような設問がありました。
「あるとき、瀕死の重症患者が二人同時に運ばれてきた。ところが、患者の一人は自分の妹、もう一人は赤の他人だった。直ちに手術をしなければ二人とも助からない。しかし、医師はあなた一人しかいない。さてあなたはどちらの患者を先に手術するか?」
というものです。ホントにこんな問題が出るんでしょうか。
このような場合、どちらを優先させても非難は免れないでしょう。妹を助ければ、もう一人の患者の家族から猛烈な非難を浴びるだろうし、赤の他人を優先すれば身内から激しく罵られる。これは難題です。だから、書かれている正解もどうもはっきりしません。
結局、直ちに答えを出すのではなく、「まずは頭を抱えて悩む」というのが正しいようです。そんな正解あり?と思いますが、建前としてはそうしたものかもしれませんね。しかし、これが現実だとしたら、あれこれ悩んでいる暇などないでしょう。そうなれば、咄嗟に自分の肉親を助けようとするのが、一人の人間として素直で正直な態度だと思うのですが如何でしょうか。
だから、「まずは悩む」のが正解というものの、「妹を助ける」と即答した受験生が減点されるとしたら、ちょっと合点がいきません。その態度がおかしいとは決して言えないと思うんです。むしろ悩むとしたら、そこには何がしかの「打算」が見え隠れしないでもない。というか、人間としての素直さを失った医師がいたとしたら、かえって空恐ろしい感じがします。
医師になるための適性が厳しく吟味されなければならないのは分かります。しかし、これはメチャクチャ意地悪な問題です。というか、医学部の受験に際し、適正な「判断」に関わる問題というより、そうした人間の心の奥底のありようまでがマニュアル化?されかねないことに違和感を覚えてしまいます。
難病に冒された患者が10人いたとします。しかし、その特効薬は5人分しかない。しかも、1人分を2つに分けたら全く効果がない。さて、あなたが医者だったら、どうしますか?
これは、大学の医学部受験で論文や面接の試験に出される?かもしれない設問で、医者になるための基本的な資質を問うものだそうです。答えにはいくつかの選択肢があります。たとえば、
等々。この中では、1と2の選択肢は常識的に考えてあり得ませんね。4の「医療効果の高い患者を優先する」というのが正解のようです。しかし、あらかじめ医療効果が予測しにくいケースもあります。そうした場合はどうするか。
正解は、「先着順」だそうです。それがいちばん公平で理にかなっているってことでしょうか。それなら、10人の患者が同時にやって来たらどうなる?
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残念ながら、参考書にはそれ以上の答えは書いていません。でも、そのときは、たぶん”くじ引き”で決めるんでしょうね。
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