オーディオで聴く音の半分は”部屋”の音を聴いているといわれるとおり、リスニング・ルームのチューニングは極めて大事、とりわけ「吸音」対策の重要性を痛感しております。室内を錯綜する余計な反射音をできるだけ抑え、スピーカーが作り出す音像をいかにリアルに浮かび上がせられることができるか。さらに言い換えれば、音の純度をどれだけ高められるか。これがいちばんの肝だと思っています。
スピーカーの背後や両側の壁、およびリスニングポイントまでの間の空間に適切な吸音を施すことによって、より純粋な響きと繊細なニュアンスが得られ、さらには低音が締まり深く沈み込むようになります。よく、吸音が効いた部屋で人の話し声を聴くと、とてもくっきりと明瞭に聞こえますでしょ。ドス?も効いてきますから、大声である必要はなく小声で十分。オーディオも然りだと思っています。吸音を施す前と比べると、その違いは顕著で、さらには音量を一段下げても充分な響きが得られるようになるから驚きます。それだけ余計な反射音が本来の音を邪魔し、あるいは互いに減殺していたということでしょうか。
とくに気をつけなければならないのが、部屋にある調度品などによる反射です。ガラスや金属製のような堅い材質のものがあれば要注意。これがたとえばハガキ大の大きさであったとしても、その反射音が耳に届くときは何倍にも広がって影響しますからね。吸音物だとそんなふうにはなりませんが、こと反射物に関しては、どれほど神経質になっても神経質すぎることはないと思うところです。
そのほかにも、部屋の状況によって吸音が必要になる場所が出てきます。部屋の四隅だったりリスニング・ポイントの背後だったり。洋室などのライブな部屋では、壁ばかりでなく天井や床にも吸音が必要になる場合もあるでしょう。かといって「過ぎたるは」ナントカで、適切な室内の響きは大切であり、それを失っては元も子もありません。邪魔な響きとの境目の判断はなかなか難しいところですが、このあたりは何度も試行錯誤を重ねて自分の耳で確かめていくしかありません。
吸音材として使うのは、スポンジ、ウレタン製のものが一般的で、Amazonなどでも多くの種類が販売されています。大抵は両面テープや虫ピンなどで壁や反射物に貼り付けられますので、作業は簡単です。形状も表面がデコボコしたものやピラミッド型、またギュッと押し固めて平らになっているものなどたくさんあります。できるだけ密度の高い材質のものを選んだらよいと思います。
ルーム・チューニングに際しては、得てして「吸音」対策は軽視され、優先順位も低くなりがちです。音を吸うというので、音が減ってしまうとか音の元気がなくなってしまうかのようなマイナス・イメージを抱きがちですが、それは大きな間違いです。むしろ「拡散」より必要性は大きいし、音質向上の効果は覿面です。しばしば見かけるのが、元々がカチンコチンのライブな部屋なのに、殊更に拡散材ばかり施している事例です。そんな部屋は、実際に聴かずともどんな音がするのか容易に想像できます。どうか皆さまも間違った方向に走らぬよう、勇気?をもって「吸音」に励んでください。
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