「総理、お元気ですね」
「ええ、私は人を食っていますから」
これは、首相だった吉田茂お得意の、当時はかなり広く知られていたダジャレです。そして、その吉田茂が首相になる前、戦後の食糧危機打開のための陳情にGHQ(進駐軍)へ出かけて行ったときのお話です。
吉田は、農林省が用意したあれやこれやの細かな統計数字をもとに、最低何百万トンの穀類を援助してもらわないと困る、でないとこの冬に国内で餓死者が続出する、百万人単位の日本人が飢餓に直面している、と切々と訴えました。
しかし、GHQが実際に輸入し放出してくれた食糧は、吉田が要求した量の何分の一でしかありませんでした。そして春になってみたら、日本のどこを見渡しても餓死者が出た気配などありません。
「数字がまるっきりデタラメではないか」と、怒ったマッカーサーから釈明を求められた吉田は、
「いやあ、わが国の統計がそんなに正確なら、あんな戦争を始めてませんし、たとえ始めたとしても負けてませんよ」
もう一つ、こんな話があります。吉田がマッカーサーに「GHQとは何の略語か?」と尋ねてからかったことがあります。その質問を真に受けたマッカーサーが、
「これは、general headquartersの頭文字を3つ取ったもので・・・」
と重々しく説明し始めると、吉田は
「ああそうですか。私はまた、Go home quickly!の略かと思ってました」
と言って笑ったのです。これは作り話ではなく実話だそうです。
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