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人を食った、吉田茂

「総理、お元気ですね」

「ええ、私は人を食っていますから」

 これは、首相だった吉田茂お得意の、当時はかなり広く知られていたダジャレです。そして、その吉田茂が首相になる前、戦後の食糧危機打開のための陳情にGHQ(進駐軍)へ出かけて行ったときのお話です。

 吉田は、農林省が用意したあれやこれやの細かな統計数字をもとに、最低何百万トンの穀類を援助してもらわないと困る、でないとこの冬に国内で餓死者が続出する、百万人単位の日本人が飢餓に直面している、と切々と訴えました。

 しかし、GHQが実際に輸入し放出してくれた食糧は、吉田が要求した量の何分の一でしかありませんでした。そして春になってみたら、日本のどこを見渡しても餓死者が出た気配などありません。

 「数字がまるっきりデタラメではないか」と、怒ったマッカーサーから釈明を求められた吉田は、

「いやあ、わが国の統計がそんなに正確なら、あんな戦争を始めてませんし、たとえ始めたとしても負けてませんよ」

 もう一つ、こんな話があります。吉田がマッカーサーに「GHQとは何の略語か?」と尋ねてからかったことがあります。その質問を真に受けたマッカーサーが、

「これは、general headquartersの頭文字を3つ取ったもので・・・」

と重々しく説明し始めると、吉田は

「ああそうですか。私はまた、Go home quickly!の略かと思ってました」

と言って笑ったのです。これは作り話ではなく実話だそうです。

田中角栄と吉田茂

 昭和38年、田中角栄が池田内閣の大蔵大臣に就任してしばらく経ったころ、すでに政界を引退していた吉田茂から、「来い」と声がかかりました。

 雑談のなか、「書」に趣味を持つ吉田の前で、田中は「自分のところには、良寛和尚の書があります」と切り出しました。すると、吉田は、

「そりゃあ、君、偽物だ」と言います。田中はむきになって、

「正真正銘の本物です」と言い返しましたが、吉田は、

「そうか。しかし、君が持っていても偽物に思われるが、ボクが持っていると本物になる」

と切り返してきました。結局、田中の持っていた良寛和尚の書は、吉田に召し上げられてしまいました。
 

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吉田茂の名言

●明治維新当時の先輩政治家たちは、国歩艱難裡に国政に当り、よく興国の大業を成し遂げたのであるが、その苦心経営の跡は、今日よりこれを顧みるに歴々たるものがある。
 
●今に立ち直る。必ず日本は立ち直る。

●戦争に負けて、外交に勝った歴史はある。

●三千年、いや四千年生きたい。しかし人は死ぬ。しかし国は生き続ける。

●いつまでも外国によってその安全を守ることは国民のプライドが許さない。

●地下資源に恵まれない日本が繁栄するには、まず自分の国を愛する愛国心を失ってはいけない。

●権力に左右されるような政治家は、また別の権力が現れた場合には意気地なくこれになびくものだ。 

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