李白
衆鳥高飛盡
孤雲獨去閑
相看両不厭
只有敬亭山
衆鳥(しゅうちょう)高(たか)く飛(と)んで尽(つ)き
孤雲(こうん)独(ひと)り去(さ)って閑(かん)なり
相(あい)看(み)て両(ふた)つながら厭(いと)わざるは
只(た)だ敬亭山(けいていざん)有(あ)るのみ
【訳】
辺りにたくさんいた鳥たちは、みな空高く飛んで去っていき、たった一つ空に浮かんでいた雲も流れ去り、今はひたすら静寂に包まれている。お互いにじっと向かい合って厭にならないのは、敬亭山、ただお前だけである。
【解説】
李白が53~54歳頃の作で、敬亭山(けいていざん)の景観を楽しみ、山と一体になった心境を詠んでいます。〈敬亭山〉は安徽省宣城県にある標高1000mの山で、別名、昭亭山(しょうていざん)または査山(さざん)。景勝地として知られます。李白が敬愛した南北朝時代の詩人・謝朓(しゃちょう:464~499年)が宣城(せんじょう)に太守として赴任した際、しばしばこの山に遊び長編の詩を残していることから、李白はその風流を慕ってこの付近に庵を結んだといわれます。陶淵明は廬山(ろざん)を愛しましたが、李白はこの山が好きだったようです。
五言絶句。「閑・山」で韻を踏んでいます。また、起句と承句が対句になっています。〈衆鳥〉は多くの鳥。〈尽〉はどこかへ行ってしまった。〈孤雲〉は一片の雲。〈閑〉は静かなさま。〈相看〉は、作者と敬亭山が互いに見つめ合って。〈両〉は両方が、双方が。ここでは李白と敬亭山。〈不厭〉は、厭にならない、飽きない。
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