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漢詩を読むがんばれ高校生!

山中問答(さんちゅうもんどう)

李白

問余何意棲碧山
笑而不答心自閑
桃花流水窅然去
別有天地非人間

余(よ)に問う 何の意ありてか碧山(へきざん)に棲(す)むと
笑って答えず 心(こころ)自(おの)ずから閑(かん)なり
桃花(とうか)流水(りゅうすい)窅然(ようぜん)として去り
別に天地の人閒(じんかん)に非(あら)ざる有(あ)り。

【訳】
 ある人が、私にこう問うた。あなたは一体どんな考えがあって深い緑の山のなかに住んでいるのか、と。私は笑って答えない。が、その心は少しも波立たず、、いたってのどかである。
 桃の花びらを浮かべた川の水が、どこまでも遠く流れ去っていく。ここは別天地、俗世間とは全く違うのだ。

【解説】
 作者53歳ごろ、玄宗に長安を追われて10年後、長江の流域を放浪していたころの作ではないかといわれます。山中に隠棲する生活の楽しみを問答体を用いて詠じており、「笑って答えず」の一句とともに、多くの人に親しまれてきました。しかし、かつて玄宗と楊貴妃の前にあって、二人を華やかに詠った『清平調』とは別人の趣きの詩風となっています。離俗の心を詠った詩は中国には多くあり、後世には「詩仙」とも称された李白ですが、果たして離俗の仙人や隠者の境地に辿り着くことができたのでしょうか。
 
 七言古詩。「山・閑・間」で韻を踏んでいます。題を「山中答俗人(山中俗人に答う)」とするものもあります。〈問余〉は、ある人が私に問う。〈何意〉は、どういうつもりで、〈碧山〉は深い緑の山。〈心自閑〉は、心はいたってのどかである。〈桃花流水〉は桃の花が流れる水に散る。陶淵明の小説『桃花源の記』にある、漁師が谷川に浮かんだ桃の花びらをたどっていくうちに桃源郷に迷い込んだという話を踏まえているとされ、理想郷の象徴として用いています。〈窅然〉は遠いさま。〈人間〉は「じんかん」と読み、世の中、俗世間のこと。

李白(りはく)

盛唐の詩人(701年~762年)。唐代のみならず中国詩歌史上で同時代の杜甫とともに最高の存在とされる。奔放で変幻自在な詩風から、後世に「詩仙」と称される。唐代詩人のなかでは珍しく科挙の試験を受けていない。自らの才を自負し、かならず重用されて政治的手腕を発揮しうるものと信じていたが、その機会は長く訪れなかった。しかし、43歳の時に長安に上り、玄宗に召されて歓待を受け、天子側近となった。
杜甫より李白が11歳年上だったが、二人はお互いよき友人であった。

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漢詩の言葉が表すもの

  • 鴛鴦(えんおう:オシドリ)
    → 夫婦
  • 布衣(ふい:布製の着物)
    → 官位のない人、平民
  • 蛾眉(がび:ガの触覚)
    → 美女
  • 雁(がん)・鯉(こい)
    → 手紙
  • 金烏(きんう:カラス)
    → 太陽
  • 紅顔(こうがん:紅い顔)
    → 少年または美人
  • 香草(こうそう)
    → 高潔、節操
  • 黒頭(こくとう:髪の黒い頭)
    → 青年
  • 七弦(しちげん:七本の弦)
    → 琴
  • 朱紫(しゅし:朱色と紫色)
    → 高位高官
  • 春草(しゅんそう)
    → 別離
  • 草色(そうしょく:若草の色)
    → つまらぬ人間、小人
  • 丹赤(たんせき:朱色と赤色)
    → 心
  • 朝雲(ちょううん)
    → 男女の色恋
  • 杜康(とこう:酒をつくったという伝説の人物)
    → 酒
  • 浮雲(ふうん)
    → はかなさ

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