た行
◆高瀬舟 ~森鴎外
弟殺しの罪で高瀬舟に乗せられて島流しにされる喜助は、なぜか晴ればれとしている。護送の役目の同心・羽田庄兵衛はそれを不思議に思い、彼の心持ちを問うてみる。喜助は、島送りになったら食べさせてもらえる上に鳥目200文を頂戴して有難いと言う。聞けば、彼が犯した弟殺しというのは、自殺を図って死にきれず苦しんでいる弟に手を貸し死なせてやったということだった。庄兵衛は、喜助の安心立命の境地に感嘆し、いわゆる”安楽死”の問題に大きな疑問を持つ。
◆ たけくらべ ~樋口一葉
舞台は、吉原遊廓の近くの東京下谷。14歳で勝気でおきゃんな少女・美登利(みどり)は、遊女の姉を持ち、自身もゆくゆくは遊女となることが決まっている。弟分のような存在の正太郎という少年とよく遊んでいたが、心の中では寺の息子である信如(のぶゆき)のことが気になっていた。運動会の日、木の根につまずいた信如に美登利がハンカチを差し出したところ、他の生徒たちから冷やかされ、変な噂が立つのを嫌がった信如は美登利に邪険な態度を取るようになり、美登利も信如を嫌うようになった。
ある雨の日、用事に出た信如は、美登利の家の前で下駄の鼻緒が切れて困っていた。美登利は身を隠して鼻緒をすげる布切れを投げてやったが、信如は恥ずかしさから無視してしまう。やがて、美登利は大人になり吉原の遊女となる日が近づき、頭を島田髪に変えられる。美しく着飾った美登利に正太郎が声をかけるが、彼女は悲しげな様子で「大人になることは嫌なこと、なぜこのように歳を取ってしまうの・・・」と、彼を拒絶する。
◆ 痴人の愛 ~谷崎潤一郎
河合譲治は、28歳の電力会社技師として熱心に働いている。理想の相手と結婚したいという夢を抱いていた彼は、ある日、カフェで知り合った日本人離れした美しい顔立ちの少女ナオミに出会って恋をする。彼はナオミを引き取り、彼女の欲しがるものは何でも与え、また、自分の理想の妻にするべく英語や音楽などの西洋的な教育を習わせた。しかし、一緒に暮らすにつれ、ナオミは徐々に自由奔放な女へと豹変していく。
◆ 沈黙 ~遠藤周作
キリスト教禁止令が出されていた江戸時代。ポルトガル人司祭ロドリゴは、日本で消息を絶った師フェレイラの安否確認のため、また日本での信仰の火種を消さないため密入国する。マカオで出会ったキチジローの案内により信徒たちに接したロドリゴは、束の間、司祭としての喜びを感じる。しかし、キチジローの裏切りにより奉行所に捕えられ、信徒への拷問や殉教を目の当たりにする。ロドリゴは神に救いを求めるが、神は「沈黙」し続ける。やがてフェレイラと再会。自分が棄教すれば信徒は助かる、それこそが尊い行為だと諭されたロドリゴは、棄教を決心する。
◆ 津軽 ~太宰治
戦争が激しさを増すなか、30歳半ばになった”私”は、ふるさとを見ておきたいとの思いから、ある年の春、津軽半島1周の旅をする。あちらこちらの土地で、旧友・恩人をはじめ多くの津軽の人々との心温まる出会いがあった。とりわけこの旅の最終地・小泊(こどまり)で、昔の子守りだった”たけ”と再会する。そして昔と変わらない「強くて不遠慮な愛情」を示す”たけ”に対し、「ああ、私はたけに似ている」と実感する。
◆ 鉄道員 ~浅田次郎
佐藤乙松は、鉄道員一筋に生き、北海道のローカル線の終着駅・幌舞駅の駅長として定年を迎えようとしていた。彼は、幼い一人娘を亡くした日も、17年間連れ添った妻を亡くした日も、仕事を優先し、その死目に会えなかった。同僚の仙ちゃんは乙松の定年後の仕事を心配してくれるが、新しい職場で自分を試す勇気もない。そんな中、ホームの雪かきをしている乙松の前に1人の少女が現れ、人形を忘れていく。彼は亡き娘の面影を彼女に重ねる。
◆ 天平の甍(いらか) ~井上靖
奈良時代、仏教における「戒律」の師を連れ帰る使命を帯びて遣唐使船で唐へと渡り、のちに鑑真和上を日本へと招聘した僧たちを主人公とした歴史小説。留学僧たちは、荒れ狂う大海を越えて唐に渡り、20年をかけて放浪する。その間に、出奔して托鉢僧になる者や、還俗して唐の女と結婚する者もいた。結局、一見平凡に見えた普照が鑑真を伴い、嵐をついて日本にたどり着く。
◆ 泥の河 ~宮本輝
舞台は、昭和30年の大阪。8歳の信雄は、土佐堀川の橋のたもとでうどん屋を営む両親と共に暮らしていた。土砂降りの雨の日、信雄は喜一という同い年の少年と出会う。喜一は、橋にからみついたようなみすぼらしい舟で母親と姉の銀子と暮らしていて、喜一も銀子も学校には行っていなかった。信雄は両親に喜一たちと友達になったことを報告し、家に呼んでもよいかと相談した。両親は快く承諾するも、夜には舟に近づいてはいけないと言って聞かせた。うどん屋に来る客の間で、喜一たちの住む舟のことは噂になっていた。喜一の母は、生活のためにあの舟で客を取っているのだった。
【PR】
→ページの先頭へ
な行
◆日本沈没 ~小松左京
小笠原諸島の北にある無名の小島が、一夜にして海底に沈んだ。現場調査に向かった地球物理学者・田所博士と深海調査艇「わだつみ」の操艇者小野寺は、深度7000メートルの日本海溝で、奇妙な亀裂と乱泥流を発見した。日本列島に何かが起こりつつあるとみた田所は、さらにデータを集め続けた。その直後から日本各地で大地震や火山の噴火が続発し、政府による大規模な調査が開始された。やがて田所博士は最悪の予測を明らかにした。「日本列島の地下でマントル流の急変が起こっており、支えを失った日本列島は海面下に沈没する」と。
◆人間失格 ~太宰治
3つの手記からなる。「第一の手記」では、主人公・大庭葉蔵が、成長する間に経験した人間に対する恐怖を語り、人間不信を示す。「第二の手記」では、画学生の堀木に左翼思想と淫売婦を教えられた葉蔵が、銀座の女給と心中をはかって彼だけが助かるいきさつを、「第三の手記」では、たばこ屋の娘ヨシ子を内縁の妻にするが、彼女の情事の現場を見て煩悶、やがて麻薬中毒となり、友人たちによって脳病院へ入れられるまでを述べる。
◆人間の条件 ~五味川純平
1943年、南満州の製鉄会社に勤務する梶は、美千子と結婚した直後に鉱山の労務管理に就く。それによって得られた招集免除の特典は大きかったが、苛酷な労働環境下で逃亡をはかった捕虜たちをかばったことから招集免除は取り消され、臨時招集されることとなった。やがてソ連軍の猛攻撃を受け、梶の部隊は梶を含む3人だけが生き残る。梶たちは避難民と合流し、移動を始め、途中で日本軍の一個中隊と遭遇するが、避難民の中に女がいたことから罵られ、食糧を分けてもらうことができなかった。とうとうソ連兵に捕まり、ソ連の捕虜となってしまう。梶はソ連の捕虜収容所に抗して、絶望的な闘いを挑み、ついに脱走する。だが、やがて飢えと寒さで意識が混濁し、死んだ美千子の幻を見ながら絶命する。
◆野菊の墓 ~伊藤左千夫
おもな舞台は、千葉県松戸に近い矢切村。旧家の子供・政夫は、家事手伝いにきた2歳年上の従姉の民子と親しくなる。しかし、年ごろの娘であり、周囲の人間も心配したり妬んだりで、母もまた気にかけて二人に注意したりする。ある秋の日、二人は家の用事で綿摘みに出かけて二人だけの時間を過ごす。しかし、帰りが随分遅くなったため、怒った母は政夫を東京の学校の寄宿舎に早めに帰し、民子は自分の家へ帰される。民子は強いられて他家に嫁に行き、流産で命を落としてしまう。死んだ民子の左手には、紅絹(もみ)のきれに包んだ政夫の写真と手紙が堅く握られていた。民子の墓の周りには、好きだった野菊の花が咲いていた。
◆野火 ~大岡昇平
太平洋戦争末期、日本の劣勢が固まりつつある中での、フィリピン戦線、レイテ島が舞台。 主人公の田村は肺病のために部隊から離れ、野戦病院ではベッドの空きがなく、近くの林で一夜を明かす。現地のフィリピン人は既に日本軍を抗戦相手と見なしており、米軍の砲撃によって陣地は崩壊、全ての他者から排せられた田村は、飢えに堪えながら山野へと彷徨を始める。
律しがたい生への執着と絶対的な孤独の中で、田村にはかつて棄てた神への関心が再び芽生える。しかし彼が目の当たりにする、自己の孤独、殺人、人肉食への欲求、そして同胞を狩って生き延びようとするかつての戦友達という現実は、ことごとく彼の望みを絶ち切る。
ついに、「この世は神の怒りの跡にすぎない」と断じることに追い込まれ、田村は狂人と化していく。
◆ノルウェイの森 ~村上春樹
ワタナベは38歳。ドイツのハンブルク空港に着陸した飛行機の中で、ビートルズの「ノルウェイの森」を聴いたことがきっかけで、若い頃の様々な記憶がよみがえる。高校時代に親友のキズキを自殺で失い、そのガールフレンドであった直子と大学時代に再会し、やがて二人はつき合うようになる。しかし、その矢先に彼女は心を病んでしまい、京都の施設に入る。そしてワタナベの人間関係は変わっていく。
→ページの先頭へ
は行
◆破戒 ~島崎藤村
被差別部落出身の青年教師・瀬川丑松は、「素性を隠せ」という父親の戒めを守りつつ世に出た。しかし彼の自我は、隠さなければ生きていけない社会の不合理を疑い、煩悶する。同族の先輩で先進的な思想家・猪子蓮太郎は、堂々と素性を明かして不当な偏見や差別と闘っている。丑松は自己の偽りにさいなまれ苦悩を深めるものの、告白する勇気を持つことができない。やがて猪子が闘いのなかで横死する。近代精神を自覚した丑松はここに至り、決然として父の戒めを破って生徒たちの前で告白する。そして、生徒、友人、思慕する志保らに見送られ、新天地を求めてテキサスに旅立っていく。
◆鼻 ~芥川龍之介
池尾の高僧・禅智内供は、人並みはずれた長鼻の持ち主で、鼻ゆえに傷つく自尊心に苦しんでいる。さまざまに手を尽くした末、ようやく鼻を縮めるのに成功するが、前にも増して人々の冷笑を買う。ある夜、鼻は水気をふくんで元通りに長くなったが、内供の心はかえって晴ればれとする。
◆火花 ~又吉直樹
売れないお笑い芸人の徳永と、先輩芸人の神谷との出会いと交流を描いた青春物語。「スパークス」という漫才コンビを組んでいた徳永は、営業先の熱海の花火大会で、「あほんだら」というコンビの神谷と出会う。神谷の破天荒な芸や人間味に徳永は強く惹きつけられ、弟子にしてほしいと志願、神谷は「俺の伝記を書く」という条件で了承する。徳永は、神谷のお笑い哲学に心酔し、行動を共にしながら議論を続ける。しかし、やがて二人は別の道を歩んでいくことになる。
◆氷点 ~三浦綾子
旭川市で病院を経営する辻口啓造と妻の夏枝には、徹とルリ子という2人の子どもがいる。美しい夏枝は男たちから慕われ、ある日、自宅で眼科医の村井と関係を持ってしまう。その間、3歳のルリ子は外へ遊びに行き、林の中で出会った男に殺され、翌朝、死体で発見される。夏枝はショックのあまり精神病院に入院、回復して家に帰ると、女の子が欲しいと啓造に訴える。夏枝は避妊手術で子どもの産めない体になっていたのだ、啓造は、夏枝に知らせずに、殺人犯佐石の娘とされる幼い女の子を引き取る。
◆富嶽百景 ~太宰治
師・井伏鱒二の仲介で、作者が高等女学校教師の石原美知子と見合いし、結婚する前後のことを綴った作品。
昭和13年の初秋、思いを新たにする覚悟で、私は富士山麓へ旅した。御坂峠にある天下茶屋という小さな茶店に滞在し、三ツ峠・甲府から、また、月夜・初雪のときなどさまざまな富士の姿を見た。そして、富士の山と立派に相対峙し、けなげにすっくと立っていた月見草を見て感動する。
◆蒲団 ~田山花袋
主人公の竹中時雄は、34、5歳のくたびれかけた文学者。生活は単調で、家庭は子供が3人もあり、もはや新婚の甘い夢も覚め果てた。不満だらけの彼は、おりしも自分を慕ってやって来た若い女弟子・芳子にひそかに恋をする。しかし生来自意識が強く、万事に惑溺することができない。彼女に恋人ができると、嫉妬で煩悶し仲を裂こうとするが、結局彼女は父親に引き取られ去っていく。彼は芳子の蒲団に顔をうずめながら、思いを慰める。
◆放浪記 ~林芙美子
昭和初期、第一次大戦後の日本。幼い頃から行商人の母親と全国を周り歩いて育ったふみ子は、東京で下宿暮らしを始める。職を転々としながら、貧しい生活の中で詩作に励むようになった彼女は、やがて同人雑誌にも参加する。創作活動を通して何人かの男と出会い、また別れるふみ子。やがて、その波乱の中で執筆した『放浪記』が新聞連載によって評価され、彼女は作家として初めて成功する。
この小説は、著者自身のバイタリティ溢れる半生を綴った日記小説。
→ページの先頭へ
ま行~
◆舞姫 ~森鴎外
法制調査の任でドイツに派遣されたエリート官吏・太田豊太郎は、自由の空気にふれて自我に目覚め、舞姫エリスと恋愛し、その生き方を変えていった。そのために解職された彼はエリスとともに暮らし、ささやかな幸せを得ていたが、親友・相沢のはからいで日本に復帰する機会をあたえられた。彼はエリスを捨てて、官吏の道を生きるべく帰国する。すでに身ごもっていたエリスは豊太郎の裏切りを知って発狂、帰国途上の彼は苦悩する。
◆武蔵野夫人 ~大岡昇平
武蔵野の一角「はけ」に住む人妻道子と、復員してきた従弟の勉との間に恋が芽生える。しかし、道子の心にある家庭的な道徳心から、その関係を「誓い」以上に発展させることができない。けっきょく、道子は自殺をはかり、勉の名を呼びつつ死んでいく。
◆樅ノ木は残った ~山本周五郎
江戸時代前期に仙台藩伊達家で起こったお家騒動「伊達騒動」が題材。仙台藩主・伊達綱宗は、放蕩に身を持ち崩したとして幕府から蟄居を命じられる。明くる夜、藩士四名が「上意討」の名の下に次々と斬殺される。それは、混乱をきたす藩政に乗じて権勢を増そうとする藩主一族の伊達兵部と、幕府老中・酒井雅楽頭による謀略が引き起こしたものだった。これを見抜いた宿老の原田甲斐は、ただ一人、藩を守ろうと決意し、陰謀をめぐらす伊達兵部の懐に入り込む。甲斐を慕っていた人は、兵部側についたように見える甲斐を憎むが、甲斐は藩安泰のためひたすら耐え忍ぶ。
◆友情 ~武者小路実篤
脚本家の野島と、新進作家の大宮は厚い友情で結ばれている。野島は大宮のいとこの友人の杉子に恋をし、大宮に助力を願う。実は大宮も杉子に好意を寄せていたのだが、友情を優先しようと決心する。ところが、杉子は野島より大宮に心惹かれており、野島の愛を拒否し、パリに去った大宮に愛の手紙を送る。そして杉子もヨーロッパに旅立ち、大宮と杉子はお互いの気持ちを確かめ合い、それを野島に報告する。野島は失恋の苦しみに耐え、仕事の上で大宮と決闘しようと誓う。
◆雪国 ~川端康成
トンネルの向こうの雪国という幻想的な舞台。無為徒食の主人公・島村は、上越の温泉町の芸者・駒子にひかれて通う。駒子は許婚者の療養費を稼ぐために芸者となったのだが、許婚者を愛してはいない。彼女は悲運にめげることなく、純粋な生を感性のおもむくまま生きている。死が近い許婚者を愛しているのは、実は駒子の妹・葉子だった。島村は、葉子の美しい声とひたむきな生き方の美にもひかれるが、3回の逗留で駒子との交情はいっそう深まる。しかし、美的なものを損なうのを恐れ、彼は駒子と生活的な関係をもとうとはしない。
◆夜明け前 ~島崎藤村
作者の故郷、中仙道の木曾・馬籠宿がおもな舞台。父・島崎正樹(作品では青山半蔵)の生涯をたどりながら、明治維新前後のあわただしい世相を描いた作品。主人公の半蔵は、馬籠宿で17代続いた本陣・庄屋の当主だが、平田派の国学に心酔し、尊皇攘夷への激情をおさえかねていた。やがて明治維新を迎え、待ち望んだ王政復古の実現を信じて歓喜する。しかし、文明開化を急ぐ時潮に理想を裏切られた半蔵は、絶望のあまり彷徨をたどり、憂悶のはてに狂人となり、座敷牢の中で56歳の生涯を終える。
◆羅生門 ~芥川龍之介
時は平安末期、荒廃した京都の、すでに墓場と化した羅生門が舞台。かつて蛇の切身を干し魚と偽って売り歩いた女、その女の死体から髪の毛を引き抜いて鬘(かつら)にしようとする老婆、そして、主家を追われ、老婆の着衣をはいで遁走する下人が登場する。
◆理由 ~宮部みゆき
ある大雨の日、東京・荒川区の高層マンションで一家4人が殺された。1人はマンションからの転落死、3人は何者かに殺されたようだった。ところが、殺されていたのはそこに住んでいるはずの小糸一家ではなかった。4人はいったい誰なのか、誰が殺したのか。小糸家の3人の家族はどこへ消えたのか・・・。事件の真相は、ルポライターが事件の関係者全員にインタビューすることによって解明される。
◆路傍の石 ~山本有三
愛川吾一は貧しい家庭に育ち、小学校を出ると呉服屋へ奉公に出される。父・庄吾は武士だった昔の習慣からか働くことを嫌い、母おれんが封筒貼りや呉服屋の仕立物などをして生計をたてていた。吾一は中学進学を希望していたが、母の苦労を見てあきらめる。その後、下宿屋の小僧、おとむらいかせぎ、文選見習工などの職を転々とする生活を通して、社会の矛盾を感じ、悩みながら成長していく。
◆吾輩は猫である ~夏目漱石
生まれて間もなく捨てられた名もない吾輩(猫)が、苦沙弥先生の家に転がり込む。人間は不徳なものだと車屋の”黒”から教えられた吾輩は、人間観察を鋭くする。主人の門下生・寒月、美学者の迷亭、詩人の東風などがやって来ては太平楽や俗世間に対する攻撃などを並べて語り、さまざまな人間模様が垣間見える。最後に吾輩は水がめに落ち、南無阿弥陀仏を唱えながら死んでいく。
【PR】