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巻第3(索引)万葉集(掲載歌の索引)古典に親しむ

『万葉集』巻第3-413

訓読

須磨(すま)の海女(あま)の塩焼き衣(きぬ)の藤衣(ふぢごろも)間遠(まどほ)くしあればいまだ着なれず

意味

須磨の海女が塩を焼くときに着る藤の衣の、その布目が粗いように、たまにしか逢わないので、いまだにしっくりと身に馴染まない。

鑑賞

 題詞に「大網公人主(おほあみのきみひとぬし)が宴吟(えんぎん)の歌」とあります。大網公人主は、伝未詳。『万葉集』にはこの1首のみ。「宴吟」は、宴席で節をつけて歌うことで、古歌か自作なのかは分かりません。「須磨」は、神戸市須磨区一帯。この地の塩焼きは、志賀の海女(巻第3-278)とともに有名でした。「藤衣」は、藤の皮の繊維で織った海女の作業着、または庶民の衣服。上3句はその衣の布目が粗いことから、女と逢う機会が粗い意の「間遠く」を導く譬喩式序詞。「間遠くし」の「し」は、強意の副助詞。「いまだ着なれず」は、衣がまだ硬くて体に馴染まない意と、女とまだしっくりと打ち解けない意を掛けています。

 あるいはこの歌は、新妻を「藤衣」に譬え、逢う機会が少ないと言いながら、実は新婚気分を歌った「のろけ歌」ではないかとの見方もあります。いずれにせよ、婚姻・間遠・不馴の3つの主意を着物に寓し、技巧を凝らした歌になっています。
 


古典文法

  • 係助詞
    助詞の一種で、いろいろな語に付いて強調や疑問などの意を添え、下の術語の働きに影響を与える(係り結び)。「は・も」の場合は、文節の末尾の活用形は変化しない。〔例〕か・こそ・ぞ・なむ・や
  • 格助詞
    助詞の一種で、体言やそれに準じる語に付いて、その語とほかの語の関係を示す。〔例〕が・に・にて・の
  • 間投助詞
    助詞の一種で、文中や文末の文節に付いて調子を整えたり、余情や強調などの意味を添える。〔例〕や・を
  • 接続助詞
    助詞の一種で、用言や助動詞に付いて前後の語句の意味上の関係を表す。〔例〕して・つつ・に・ば・ものから
  • 終助詞
    助詞の一種で、文末に付いて、疑問・詠嘆・願望などを表す。〔例〕かし・かな・かも・な・なむ・ばや・もがな
  • 副助詞
    助詞の一種で、さまざまな語に付いて、下の語の意味を限定する。〔例〕さへ・し・しも・だに ・のみ・ばかり
  • 助動詞
    用言や体言に付いて、打消しや推量などのいろいろな意味を示す。〔例〕き・けり・つ・ぬ・たり・り・む・べし・ず・る・らる・す・さす・しむ

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古典に親しむ

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