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万葉集
巻第4(索引)<
万葉集(掲載歌の索引)
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古典に親しむ
『万葉集』巻第4(索引)
一日こそ人も待ちよき長き日をかくのみ待たばありかつましじ
神代より生れ継ぎ来れば人さはに国には満ちてあぢ群の・・・(長歌)
山の端にあぢ群騒き行くなれど我れはさぶしゑ君にしあらねば
近江路の鳥籠の山なる不知哉川日のころごろは恋ひつつもあらむ
君待つと我が恋ひをればわが屋戸のすだれ動かし秋の風吹く
風をだに恋ふるは羨し風をだに来むとし待たば何か嘆かむ
真野の浦の淀の継橋心ゆも思へや妹が夢にし見ゆる
川の上のいつ藻の花のいつもいつも来ませわが背子時じけめやも
衣手に取りとどこほり泣く子にもまされる我れを置きていかにせむ
置きて去なば妹恋ひむかも敷栲の黒髪敷きて長きこの夜を
我妹子を相知らしめし人をこそ恋のまされば恨めしみ思へ
朝日影にほへる山に照る月の飽かざる君を山越しに置きて
み熊野の浦の浜木綿百重なす心は思へど直に逢はぬかも
古にありけむ人もわがごとか妹に恋ひつつ寝ねかてずけむ
今のみのわざにはあらず古の人そまさりて音にさへ泣きし
百重にも来しかぬかもと思へかも君が使ひの見れど飽かざらむ
神風の伊勢の浜荻折り伏せて旅寝やすらむ荒き浜辺に
娘子らが袖布留山の瑞垣の久しき時ゆ思ひき我は
夏野行く牡鹿の角の束の間も妹が心を忘れて思へや
玉衣のさゐさゐしづみ家の妹に物言はず来にて思ひかねつも
君が家に我が住坂の家道をも我れは忘れじ命死なずは
今さらに何をか思はむ打ち靡き心は君に縁りにしものを
我が背子は物な思ひそ事しあらば火にも水にも我がなけなくに
敷栲の枕ゆくくる涙にぞ浮寝をしける恋の繁きに
衣手の別かる今夜ゆ妹も我れもいたく恋ひむな逢ふよしをなみ
臣の女の櫛笥に乗れる鏡なす御津の浜辺にさ丹つらふ・・・(長歌)
白栲の袖解きかへて帰り来む月日を数みて行きて来ましを
我が背子はいづく行くらむ沖つ藻の名張の山を今日か越ゆらむ(巻第1-43に重出)
秋の田の穂田の刈りばかか寄りあはばそこもか人の我を言成さむ
大原のこの市柴の何時しかと我が思ふ妹に今夜逢へるかも
わが背子が着せる衣の針目落ちず入りにけらしもわが情さへ
ひとり寝て絶えにし紐をゆゆしみとせむすべ知らに音のみしそ泣く
わが持てる三つあひに縒れる糸もちて付けてましもの今そ悔しき
神樹にも手は触るといふをうつたへに人妻といへば触れぬものかも
春日野の山辺の道を恐りなく通ひし君が見えぬころかも
雨障み常する君はひさかたの昨夜の夜の雨に懲りにけむかも
ひさかたの雨も降らぬか雨障み君にたぐひてこの日暮らさむ
庭に立つ麻手刈り干し布さらす東女を忘れたまふな
娘子らが玉櫛笥なる玉櫛の神さびけむも妹に逢はずあれば
よく渡る人は年にもありといふをいつの間にぞも我が恋ひにける
蒸衾柔が下に臥せれども妹とし寝ねば肌し寒しも
佐保川の小石踏み渡りぬばたまの黒馬の来る夜は年にもあらぬか
千鳥鳴く佐保の川瀬のさざれ波やむ時もなし我が恋ふらくは
来むと言ふも来ぬ時あるを来じと言ふを来むとは待たじ来じと言ふものを
千鳥鳴く佐保の川門の瀬を広み打橋渡す汝が来と思へば
佐保河の岸のつかさの柴な刈りそね在りつつも春し来たらば立ち隠るがね
赤駒の越ゆる馬柵の標結ひし妹が心は疑ひもなし
梓弓爪引く夜音の遠音にも君が御幸を聞かくし好しも
うちひさす宮に行く子をま悲しみ留むれば苦し遣ればすべなし
難波潟潮干のなごり飽くまでに人の見む子を我れし羨しも
遠妻のここにしあらねば玉桙の道をた遠み思ふそら・・・(長歌)
しきたへの手枕まかず間置きて年そ経にける逢はなく思へば
意宇の海の潮干の潟の片思に思ひや行かむ道の長手を
言清くいともな言ひそ一日だに君いしなくはあへかたきかも
人言を繁み言痛み逢はずありき心あるごとな思ひ我が背子
我が背子し遂げむと言はば人言は繁くありとも出でて逢はましを
我が背子にまたは逢はじかと思へばか今朝の別れのすべなかりつる
この世には人言繁し来む世にも逢はむ我が背子今ならずとも
常やまず通ひし君が使ひ来ず今は逢はじとたゆたひぬらし
大君の行幸のまにまもののふの八十伴の男と出でて行きし・・・(長歌)
後れ居て恋ひつつあらずは紀伊の国の妹背の山にあらましものを
我が背子が跡踏み求め追ひ行かば紀伊の関守い留めてむかも
三香の原旅の宿りに玉桙の道の行き逢ひに天雲の・・・(長歌)
天雲の外に見しより我妹子に心も身さへ寄りにしものを
今夜の早く明けなばすべをなみ秋の百夜を願ひつるかも
天地の神も助けよ草枕旅行く君が家に至るまで
大船の思ひ頼みし君が去なば我は恋ひむな直に逢ふまでに
大和道の島の浦廻に寄する波間もなけむ我が恋ひまくは
我が君はわけをば死ねと思へかも逢ふ夜逢はぬ夜二走るらむ
天雲のそくへの極み遠けども心し行けば恋ふるものかも
古人の飲へしめたる吉備の酒病めばすべなし貫簀賜らむ
君がため醸みし待酒安の野にひとりや飲まむ友なしにして
筑紫船いまだも来ねばあらかじめ荒ぶる君を見るが悲しさ
大船を漕ぎの進みに岩に触れ覆らば覆れ妹によりては
ちはやぶる神の社に我が懸けし幣は賜らむ妹に逢はなくに
事もなく生き来しものを老いなみにかかる恋にも我れは逢へるかも
恋ひ死なむ後は何せむ生ける日のためこそ妹を見まく欲りすれ
思はぬを思ふと言はば大野なる御笠の杜の神し知らさむ
暇なく人の眉根をいたづらに掻かしめつつも逢はぬ妹かも
黒髪に白髪交り老ゆるまでかかる恋にはいまだ逢はなくに
山菅の実ならぬことを我に寄そり言はれし君は誰れとか寝らむ
大伴の見つとは言はじあかねさし照れる月夜に直に逢へりとも
草枕旅行く君を愛しみたぐひてぞ来し志賀の浜辺を
周防なる岩国山を越えむ日は手向けよくせよ荒しその道
み崎廻の荒磯に寄する五百重波立ちても居ても我が思へる君
韓人の衣染むといふ紫の心に染みて思ほゆるかも
大和へに君が発つ日の近づけば野に立つ鹿も響めてぞ鳴く
月夜よし川の音清しいざここに行くも行かぬも遊びて行かむ
まそ鏡見飽かぬ君に後れてや朝夕にさびつつ居らむ
ぬばたまの黒髪変はり白けても痛き恋には会ふ時ありけり
ここにありて筑紫やいづち白雲のたなびく山の方にしあるらし
草香江の入江にあさる蘆鶴のあなたづたづし友なしにして
今よりは城山の道はさぶしけむ我が通はむと思ひしものを
我が衣人にな着せそ網引する難波壮士の手には触るとも
天地と共に久しく住まはむと思ひてありし家の庭はも
見まつりていまだ時だに変はらねば年月のごと思ほゆる君
あしひきの山に生ひたる菅の根のねもころ見まく欲しき君かも
生きてあらば見まくも知らず何しかも死なむよ妹と夢に見えつる
ますらをもかく恋ひけるをたわやめの恋ふる心にたぐひあらめやも
月草のうつろひやすく思へかも我が思ふ人の言も告げ来ぬ
春日山朝立つ雲の居ぬ日なく見まくの欲しき君にもあるかも
出でて去なむ時しはあらむをことさらに妻恋しつつ立ちて去ぬべしや
相見ずは恋ひずあらましを妹を見てもとなかくのみ恋ひばいかにせむ
我が形見見つつ偲はせあらたまの年の緒長く我れも思はむ
白鳥の飛羽山松の待ちつつぞ我が恋ひわたるこの月ごろを
衣手を打廻の里にある我れを知らにぞ人は待てど来ずける
あらたまの年の経ぬれば今しはとゆめよ我が背子我が名告らすな
我が思ひを人に知るれや玉櫛笥開きあけつと夢にし見ゆる
闇の夜に鳴くなる鶴の外のみに聞きつつかあらむ逢ふとはなしに
君に恋ひ甚も術なみ奈良山の小松が下に立ち嘆くかも
我が屋戸の夕影草の白露の消ぬがにもとな思ほゆるかも
我が命の全けむ限り忘れめやいや日に異には思ひ増すとも
八百日行く浜の真砂も我が恋にあにまさらじか沖つ島守
うつせみの人目を繁み石橋の間近き君に恋ひわたるかも
恋にもぞ人は死にする水無瀬川下ゆ我れ痩す月に日に異に
朝霧のおほに相見し人故に命死ぬべく恋ひわたるかも
伊勢の海の磯もとどろに寄する波畏き人に恋ひわたるかも
心ゆも我は思はずき山川も隔たらなくにかく恋ひむとは
夕されば物思ひ益さる見し人の言問ふ姿面影にして
思ふにし死にするものにあらませば千たびぞ我れは死に返らまし
剣太刀身に取り副ふと夢に見つ何の兆そも君に逢はむため
天地の神の理なくはこそ我が思ふ君に逢はず死にせめ
我れも思ふ人もな忘れおほなわに浦吹く風のやむ時もなし
皆人を寝よとの鐘は打つなれど君をし思へば寐ねかてぬかも
相思はぬ人を思ふは大寺の餓鬼の後に額づくがごと
心ゆも我は思はずきまたさらに我が故郷に帰り来むとは
近くあれば見ねどもあるをいや遠く君がいまさば有りかつましじ
今更に妹に逢はめやと思へかもここだわが胸いぶせくあるらむ
なかなかに黙もあらましを何すとか相見そめけむ遂げざらまくに
もの思ふと人に見えじとなまじひに常に思へり在りぞかねつる
相思はぬ人をやもとな白栲の袖漬つまでに音のみし泣くも
我が背子は相思はずとも敷栲の君が枕は夢に見えこそ
剣大刀名の惜しけくも我れはなし君に逢はずて年の経ぬれば
葦辺より満ち来る潮のいや増しに思へか君が忘れかねつる
さ夜中に友呼ぶ千鳥物思ふとわびをる時に鳴きつつもとな
おしてる難波の菅のねもころに君が聞こして年深く長くし言へば・・・(長歌)
はじめより長く言ひつつ頼めずはかかる思ひに会はましものか
間無く恋ふるにかあらむ草枕旅なる君の夢にし見ゆる
草枕旅に久しくなりぬれば汝をこそ思へな恋ひそ吾妹
松の葉に月はゆつりぬ黄葉の過ぐれや君が逢はぬ夜多き
道に逢ひて笑まししからに降る雪の消なば消ぬがに恋ふといふ我妹
沖辺行き辺を行き今や妹がため我が漁れる藻臥束鮒
君により言の繁きを故郷の明日香の川にみそぎしに行く
我が手本まかむと思はむ大夫は変若水求め白髪生ひにけり
白髪生ふることは思はず変若水はかにもかくにも求めて行かむ
何すとか使ひの来つる君をこそかにもかくにも待ちかてにすれ
初花の散るべきものを人言の繁きによりてよどむころかも
表辺なきものかも人は然ばかり遠き家路を還す思へば
目には見て手には取らえぬ月の内の楓のごとき妹をいかにせむ
ここだくも思ひけめかも敷栲の枕片去る夢に見えける
家にして見れど飽かぬを草枕旅にも妻とあるが羨しさ
草枕旅には妻は率たれども匣の内の珠をこそ思へ
わが衣形見に奉る敷栲の枕を離けず巻きてさ寝ませ
わが背子が形見の衣妻問にわが身は離けじ言問はずとも
ただ一夜隔てしからにあらたまの月か経ぬると心惑ひぬ
わが背子がかく恋ふれこそぬばたまの夢に見えつつ寝ねらえずけれ
はしけやし間近き里を雲居にや恋ひつつをらむ月も経なくに
絶ゆと言はば侘しみせむと焼太刀のへつかふことは幸くや我が君
我妹子に恋ひて乱ればくるべきに懸けて寄せむと我が恋ひそめし
世間の女にしあらば我が渡る痛背の河を渡りかねめや
今は吾は侘びそしにける息の緒に思ひし君をゆるさく思へば
白妙の袖別るべき日を近み心にむせび哭のみし泣かゆ
ますらをの思ひわびつつ度まねく嘆く嘆きを負はぬものかも
心には忘るる日なく思へども人の言こそ繁き君にあれ
相見ずて日長くなりぬこの頃はいかに幸くやいふかし我妹
夏葛の絶えぬ使のよどめれば事しもあるごと思ひつるかも
我妹子は常世の国に住みけらし昔見しより若変ましにけり
ひさかたの天の露霜置きにけり家なる人も待ち恋ひぬらむ
玉守に玉は授けてかつがつも枕と我れはいざふたり寝む
心には忘れぬものをたまさかに見ぬ日さまねく月ぞ経にける
相見ては月も経なくに恋ふと言はばをそろと我れを思ほさむかも
思はぬを思ふと言はば天地の神も知らさむ邑礼左変
我れのみぞ君には恋ふる我が背子が恋ふといふことは言のなぐさぞ
思はじと言ひてしものをはねず色のうつろひやすき我が心かも
思へども験もなしと知るものを何かここだく我が恋ひ渡る
あらかじめ人言繁しかくしあらばしゑや我が背子奥もいかにあらめ
汝をと我を人ぞ放くなるいで我が君人の中言聞こすなゆめ
恋ひ恋ひて逢へる時だに愛しき言尽くしてよ長くと思はば
網児の山五百重隠せる佐堤の崎さで延へし子が夢にし見ゆる
佐保渡り我家の上に鳴く鳥の声なつかしき愛しき妻の児
石上降るとも雨につつまめや妹に逢はむと言ひてしものを
向ひ居て見れども飽かぬ我妹子に立ち別れ行かむたづき知らずも
相見ぬは幾久さにもあらなくにここだく我れは恋ひつつもあるか
恋ひ恋ひて逢ひたるものを月しあれば夜は隠るらむしましはあり待て
朝に日に色づく山の白雲の思ひ過ぐべき君にあらなくに
あしひきの山橘の色に出でよ語らひ継ぎて逢ふこともあらむ
月読の光に来ませあしひきの山きへなりて遠からなくに
月読の光は清く照らせれど惑へる心思ひあへなくに
倭文環数にもあらぬ命もてなにかここだく我が恋ひわたる
まそ鏡磨ぎし心をゆるしてば後に言ふとも験あらめやも
真玉つくをちこち兼ねて言は言へど逢ひて後こそ悔にはありといへ
をみなへし佐紀沢に生ふる 花かつみかつても知らぬ恋もするかも
海の底奥を深めて我が思へる君には逢はむ年は経ぬとも
春日山朝居る雲のおほほしく知らぬ人にも恋ふるものかも
直に逢ひて見てばのみこそたまきはる命に向ふ我が恋やまめ
否と言はば強ひめや我が背菅の根の思ひ乱れて恋ひつつもあらむ
けだしくも人の中言聞かせかもここだく待てど君が来まさぬ
なかなかに絶ゆとし言はばかくばかり息の緒にして我れ恋ひめやも
思ふらむ人にあらなくにねもころに心 尽して恋ふる我れかも
言ふ言の畏き国ぞ紅の色にな出でそ思ひ死ぬとも
今は我は死なむよ我が背生けりとも我れに依るべしと言ふと言はなくに
人言を繁みか君が二鞘の家を隔てて恋ひつつまさむ
このころは千歳や行きも過ぎぬると我れかしか思ふ見まく欲りかも
愛しと我が思ふ心早川の塞きに塞くともなほや崩えなむ
青山を横ぎる雲のいちしろく我れと笑まして人に知らゆな
海山も隔たらなくに何しかも目言をだにもここだ乏しき
照る月を闇に見なして泣く涙衣濡らしつ干す人なしに
ももしきの大宮人は多かれど心に乗りて思ほゆる妹
うはへなき妹にもあるかもかくばかり人の心を尽さく思へば
かくのみし恋ひや渡らむ秋津野にたなびく雲の過ぐとはなしに
恋草を力車に七車積みて恋ふらく我が心から
恋は今はあらじと我れは思へるをいづくの恋ぞつかみかかれる
家人に恋過ぎめやもかはづ鳴く泉の里に年の経ぬれば
我が聞きに懸けてな言ひそ刈り薦の乱れて思ふ君が直香ぞ
春日野に朝居る雲のしくしくに我れは恋ひ増す月に日に異に
一瀬には千たび障らひ行く水の後にも逢はむ今にあらずとも
かくしてやなほや退らむ近からぬ道の間をなづみ参来て
はつはつに人を相見ていかにあらむいづれの日にかまた外に見む
ぬばたまのその夜の月夜今日までに我れは忘れず間なくし思へば
我が背子を相見しその日今日までに我が衣手は干る時もなし
栲縄の長き命を欲りしくは絶えずて人を見まく欲りこそ
はねかづら今する妹を夢に見て心のうちに恋ひ渡るかも
はねかづら今する妹はなかりしをいづれの妹ぞそこばだ恋ひたる
思ひ遣るすべの知らねば片垸の底にぞ我れは恋ひ成りにける
またも逢はむよしもあらぬか白栲の我が衣手に斎ひ留めむ
夕闇は道たづたづし月待ちて行ませ我が背子その間にも見む
み空行く月の光にただ一目相見し人の夢にし見ゆる
鴨鳥の遊ぶこの池に木の葉落ちて浮きたる心我が思はなくに
味酒を三輪の祝が斎ふ杉手触れし罪か君に逢ひかたき
垣穂なす人言聞きて我が背子が心たゆたひ逢はぬこのころ
心には思ひわたれどよしをなみ外のみにして嘆きぞ我がする
千鳥鳴く佐保の川門の清き瀬を馬うち渡し何時か通はむ
夜昼といふ別き知らず我が恋ふる心はけだし夢に見えきや
つれもなくあるらむ人を片思ひに我れは思へば苦しくもあるか
思はぬに妹が笑まひを夢に見て心の内に燃えつつそ居る
ますらをと思へる我れをかくばかりみつれにみつれ片思をせむ
むらきもの心砕けてかくばかり我が恋ふらくを知らずかあるらむ
あしひきの山にし居れば風流なみ我がする業をとがめたまふな
かくばかり恋ひつつあらずは石木にもならましものを物思はずして
常世にと我が行かなくに小金門にもの悲しらに思へりし・・・(長歌)
朝髪の思ひ乱れてかくばかりなねが恋ふれそ夢に見えける
にほ鳥の潜く池水心あらば君に我が恋ふる心示さね
外に居て恋ひつつあらずは君が家の池に住むといふ鴨にあらましを
忘れ草我が下紐に付けたれど醜の醜草言にしありけり
人もなき国もあらぬか我妹子とたづさはり行きて副ひて居らむ
玉ならば手にも巻かむをうつせみの世の人なれば手に巻きかたし
逢はむ夜はいつもあらむを何すとかその宵逢ひて言の繁きも
我が名はも千名の五百名に立ちぬとも君が名立たば惜しみこそ泣け
今しはし名の惜しけくも我れはなし妹によりては千たび立つとも
うつせみの世やも二行く何すとか妹に逢はずて我がひとり寝む
我が思ひかくてあらずは玉にもがまことも妹が手に巻かれなむ
春日山霞たなびき心ぐく照れる月夜にひとりかも寝む
月夜には門に出で立ち夕占問ひ足占をそせし行かまくを欲り
かにかくに人は言ふとも若狭道の後瀬の山の後も逢はむ君
世の中の苦しきものにありけらし恋にあへずて死ぬべき思へば
後瀬山後も逢はむと思へこそ死ぬべきものを今日までも生けれ
言のみを後も逢はむとねもころに我れを頼めて逢はざらむかも
夢の逢ひは苦しかりけりおどろきて掻き探れども手にも触れねば
一重のみ妹が結ばむ帯をすら三重結ぶべく我が身はなりぬ
我が恋は千引の石を七ばかり首に懸けむも神のまにまに
夕さらば屋戸開け設けて我れ待たむ夢に相見に来むといふ人を
朝夕に見む時さへや我妹子が見れど見ぬごとなほ恋しけむ
生ける世に我はいまだ見ず言絶えてかくおもしろく縫へる袋は
我妹子が形見の衣下に着て直に逢ふまでは我れ脱かめやも
恋ひ死なむそこも同じぞ何せむに人目人言言痛み我れせむ
夢にだに見えばこそあらめかくばかり見えずしあるは恋ひて死ねとか
思ひ絶えわびにしものを中々に何か苦しく相見そめけむ
相見ては幾日も経ぬを幾許くも狂ひに狂ひ思ほゆるかも
かくばかり面影にのみ思ほえばいかにかもせむ人目繁くて
相見てはしましも恋はなぎむかと思へどいよよ恋ひまさりけり
夜のほどろ我が出でて来れば我妹子が思へりしくし面影に見ゆ
夜のほどろ出でつつ来らく度数多くなれば我が胸断ち焼くごとし
外に居て恋ふれば苦し我妹子を継ぎて相見む事計りせよ
遠くあらばわびてもあらむを里近くありと聞きつつ見ぬがすべなさ
白雲のたなびく山の高々に我が思ふ妹を見むよしもがも
いかならむ時にか妹を葎生の汚なき屋戸に入りいませてむ
うち渡す竹田の原に鳴く鶴の間なく時なしわが恋ふらくは
早川の瀬に居る鳥のよしをなみ思ひてありし我が子はもあはれ
神さぶと否にはあらずはたやはたかくして後に寂しけむかも
玉の緒を沫緒に搓りて結べらばありて後にも逢はざらめやも
百年に老舌出でてよよむとも我れはいとはじ恋ひは増すとも
一重山隔れるものを月夜よみ門に出で立ち妹か待つらむ
道遠み来じとは知れるものからにしかぞ待つらむ君が目を欲り
都路を遠みか妹がこのころは祈ひて寝れど夢に見え来ぬ
今知らす久邇の都に妹に逢はず久しくなりぬ行きて早見な
ひさかたの雨の降る日をただひとり山辺に居ればいぶせかりけり
人目多み逢はなくのみぞ心さへ妹を忘れて我が思はなくに
偽りも似つきてぞする現しくもまこと我妹子我れに恋ひめや
夢にだに見えむと我れはほどけども相し思はねばうべ見えずあらむ
言問はぬ木すらあじさゐ諸弟らが練りのむらとにあざむかえけり
百千たび恋ふと言ふとも諸弟らが練りのことばは我れは頼まじ
鶉鳴く古りにし郷ゆ思へどもなにそも妹に逢ふよしもなき
言出しは誰が言なるか小山田の苗代水の中淀にして
我妹子がやどの籬を見に行かばけだし門より帰してむかも
うつたへに籬の姿見まく欲り行かむと言へや君を見にこそ
板葺の黒木の屋根は山近し明日の日取りて持ちて参り来む
黒木取り草も刈りつつ仕へめどいそしきわけとほめむともあらず
ぬばたまの昨夜は帰しつ今夜さへ我れを帰すな道の長手を
風高く辺には吹けども妹がため袖さへ濡れて刈れる玉藻ぞ
をととしの先つ年より今年まで恋ふれどなぞも妹に逢ひかたき
うつつにはさらにもえ言はず夢にだに妹が手本を卷き寝とし見ば
我がやどの草の上白く置く露の身も惜しからず妹に逢はずあれば
春の雨はいやしき降るに梅の花いまだ咲かなくいと若みかも
夢のごと思ほゆるかもはしきやし君が使ひの数多く通へば
うら若み花咲きかたき梅を植ゑて人の言繁み思ひぞ我がする
心ぐく思ほゆるかも春霞たなびく時に言の通へば
春風の音にし出なばありさりて今ならずとも君がまにまに
奥山の岩蔭に生ふる菅の根のねもころ我れも相思はざれや
春雨を待つとにしあらし我がやどの若木の梅もいまだ含めり
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万葉集・竹取物語・枕草子などの原文と現代語訳。
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