オーケストラの楽器
弦楽器
弦楽器は、楽器ごとにサイズが異なり、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスの順に大きく、大きくなるほど音域が低くなっていきます。木製のボディに弦が張られ、弓の毛で弾きますが、他に、弦を指ではじくピチカート、弓の木の部分で弦を叩くコルレーニョなどの奏法もあります。
ヴァイオリン
4つの弦楽器の中で最も小さく、最も高い音域を出す楽器です。奏者は、その役割によって第一ヴァイオリンと第二ヴァイオリンの2パートに分かれます。第一ヴァイオリンは一番高い音域を担当し、また、多く、オーケストラの全ての楽器の音を伴奏としてメロディを奏でます。第二ヴァイオリンは2番目の高さの音域を担当し、多くは第一ヴァイオリンの伴奏に回ります。
ヴィオラ
ヴァイオリンとよく似ていますが、ヴァイオリンより低音を出す必要から、一回り大きく厚みもあります。出せる音域はヴァイオリンより広く、音色は、華やかで目立つヴァイオリンに比べて、深みがあり落ち着いた太めの音色です。合奏や重奏では中音部を受け持ちます。かつては独奏楽器としての作曲は少なかったものの、近代以降は数多くの独奏曲が作られるようになりました。
チェロ
ヴァイオリンやヴィオラとほぼ同じ構造ですが、低い音を出すため形全体が大きく、特に厚みが増しており、足ではさむように支え、エンドピン(棒状の部品)を床に立てて弾きます。オーケストラの中ではおもに低音の伴奏を担当しますが、奇麗な高音によって主役にもなれる楽器です。
コントラバス
オーケストラの中で最も低い音を受け持ちます。最もサイズの大きい弦楽器で、少し高めの椅子に座って演奏します。メロディを奏でる機会は多くありませんが、コントラバスは指揮者と同じくらい大事といわれるほど、大きな役割を担っています。いつだったか、あるテレビ番組で、オーケストラの通常の演奏とコントラバスを抜いた演奏を比較して聴かせていましたが、同じ曲でも、コントラバスの有無で、全く雰囲気や深みが違っていましたね。それほどに曲のベースをしっかり支えてくれる楽器です。
木管楽器
かつては木製だったことから木管楽器とよばれますが、今では金管楽器以外の管楽器という意味で用いられます。オーケストラの木管楽器は基本的に、フルート、クラリネット、オーボエ、ファゴットの4つがあり、後述の金管楽器が奏者の唇の振動によって音を出すのに対し、木管楽器はいずれも、奏者の唇の振動によらない方法で音を出します。演奏中に、同じ奏者が複数の木管楽器を演奏する場合があるのも、特徴の一つです。
フルート
金属製のものが主流になっており、リードがなく、横吹きで演奏します。高音で透き通るような伸びのある音色が特徴で、木管楽器の中でも、圧倒的なスピード感と、艶やかで美しい音色に抜きんでています。1オクターブ高いピッコロや、1オクターブ低いバス・フルートも用いられます。
クラリネット
マウスピースに固定する1枚のリードを振動させて音を出す、円筒形の木管楽器です。木管楽器の中では最も音域が広く、4オクターブ近くあります。低音は太くあたたかく、高音は華やかできらびやかな音色で、モーツァルトに愛されて以来、管弦楽で重要なパートを占めるようになりました。
オーボエ
オーボエは、かつては弦楽器だけだったオーケストラに初めて入った木管楽器です。最も演奏が難しい木管楽器とされ、2枚のリードを振動させて音を出します。音は繊細ながら非常によく響き、吹奏楽でも印象的なソロをしばしば演奏、オーケストラでも、ここぞというソロは必ずといってよいほど活躍します。
ファゴット
バスーンともよばれ、ダブルリードでオーボエに近い楽器ですが、管の長さは約3mもあり、途中でU字状に折れています。木管群の低音楽器として、オーケストラで重要な役割を果たします。約3オクターブ半の音域があり、各音域に特色のある表現力を備えています。
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金管楽器
金管楽器は、簡単にいうと「ラッパ類」で、中央が凹状のマウスピースに口を当て、唇の振動を管内に伝えて音を出します。ほとんどが真鍮(しんちゅう)で作られていますが、金属製でないものもあります。トランペット、トロンボーン、ホルン、チューバが代表的な金管楽器ですが、トロンボーンとチューバは、オーケストラの文化が形成される中で加わった楽器のため、古典派の時代やそれ以前の時代の曲では基本的に登場しません。
トランペット
吹奏楽やジャズ、ポップスなどでも広く使われ、金管楽器群の最高音域を受け持ちます。3つのバルブで音高を変え、伸びやかな明るく力強い響きで、演奏をリードします。
トロンボーン
管の一部をスライドさせることで管長を変え、それによって音高を変えるスライド式トロンボーンが一般的ですが、バブルによって管の長さを調節するものもあります。音色は太くまるみを帯びています。
ホルン
角笛から発達し、長い管をくるくると巻いた、中音域用の金管楽器です。3つのバルブがとりつけられ、バルブの操作で半音階を演奏することができます。はっきりとした音色だけでなく、木管楽器のような柔らかい音色も出せるのが特徴です。
チューバ
音域は金管楽器の中で最も低く、バブル操作で約3オクターブの音域が出せます。19世紀以降に登場した楽器で、やわらかく深い響きの音色です。
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打楽器
打楽器には様々な種類がありますが、オーケストラで使われる代表的な打楽器は、ティンパニ、スネアドラム、コンサートバスドラム(グランカッサ)、合わせシンバルの4つです。
ティンパニ
銅製の釜形の胴に1枚の皮を張り、桴(ばち)でたたいて演奏します。あらかじめ演奏する音程をチューニングしておく必要があるため1度に複数の音程を鳴らすことは不可能ですが、複数台のティンパニを組み合わせることで多彩な音程を演奏することができます。
スネアドラム
「サイドドラム」「小太鼓」とも呼ばれ、古くは軍楽隊の行進などで用いられていました。楽器の底面にスナッピー(響線)という細い金属線が張られ、表面を桴でたたくと、さわりの効果で、鋭くはじけるように響くのが特徴です。
コンサートバスドラム(グランカッサ)
スネアドラムを巨大化したような外見で、多くは胴の両端を支えるスタンドを用いて、斜めにかけた状態で叩きます。オーケストラの打楽器における最低音を受け持ちます。音の立ち上がりが遅いため、細かい演奏には不向きで、多くはここぞという場面のアクセントとして用いられます。
合わせシンバル
2枚1組で使用するシンバルで、両手でそれぞれを持ち、互いに打ち合わせて奏します。一定した音律はありませんが、鮮明な音色を持ちます。
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