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とっておきの美しい日本語たち(つづき)

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縦の糸はあなた 横の糸は私
織りなす布は いつか誰かの傷をかばうかもしれない

~『糸』から

砂山の砂に腹這い
初恋の
いたみを遠くおもひ出(い)ずる日

~石川啄木『一握の砂』から

淡紅(うすべに)の秋桜(コスモス)が秋の日の
何気ない 陽溜りに揺れている
この頃 涙もろくなった母が
庭先でひとつ咳をする

~『秋桜』から

突き抜けて 天上の紺 曼珠沙華

~山口誓子の俳句

兎(うさぎ)追いし かの山
小鮒(こぶな)釣りし かの川

~『故郷(ふるさと)』から

赤い椿 白い椿と 落ちにけり

~河東碧梧桐の俳句

子供たちよ
これはゆずり葉の木です
このゆずり葉は
新しい葉が出来ると
入り代わって古い葉が落ちてしまうのです
こんなに厚い葉
こんなに大きい葉でも
新しい葉が出来ると無造作に落ちる
新しい葉にいのちをゆずって――

~河井醉茗の『ゆずり葉』から

窓あけて窓いっぱいの春
 
だまってあそぶ鳥の一羽が花のなか
 
山から白い花を机に
 
分け入っても分け入っても青い山
 
あの雲がおとした雨にぬれている
 
うしろすがたのしぐれてゆくか

~山頭火の俳句

道がつづら折りになって、いよいよ天城峠に近づいたと思う頃、雨脚が杉の密林を白く染めながら、すさまじい早さで麓から私を追って来た。

~川端康成『伊豆の踊子』から

なんでもない会話なんでもない笑顔なんでもないからふるさとが好き
 
自転車のカゴからわんとはみ出してなにか嬉しいセロリの葉っぱ
 
「寒いね」と話しかければ「寒いね」と答える人のいるあたたかさ

~俵万智の短歌

今にも空が 泣き出しそうな
道頓堀の 橋のたもとで
何を思案の こいさん一人
声かけたいな 大阪の人

~『ふりむかないで』から

小さな幸せはそこかしこに転がってる。

~earth music&ecology のCM

人の想いは、見えるものではなく、気づくものでした。

~JTのCM

唇よ、熱く君を語れ。

~カネボウ化粧品のCM

私は、私のやさしさを、がんばる。

~明治安田生命のCM

今日まで歩いてきたみち
さっき歩いてきたみち
明日歩くみち
今歩いているみち
これから歩くみち
全部わたしが選んで決めて歩くみち
間違いなく
自分で選んで歩いてるみち

~雪絵ちゃん(笹田雪絵)の『みち』から

苔が、新緑を見守る。「古と今」は、共に美しく生きていました。

~JR東海のCM

ああ なんて 街それぞれ美しいの
ああ なんて 人それぞれ生きているの

~『三都物語』から

「遊ぼう」っていうと「遊ぼう」っていう
「ばか」っていうと「ばか」っていう
「もう遊ばない」っていうと「遊ばない」っていう
こだまでしょうか、いいえ 誰でも

~金子みすゞの『こだまでしょうか』

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秋は夕暮れ。このあと急いで帰る理由がどこにも見つからない。

~JR東海のCM

新しい人と出会う。新しい自分に出会える。

~JTのCM

大人になってようやくわかる、人生にきっと大事な、家での時間。

~積水ハウスのCM

守ってくれて、ありがとう。守らせてくれて、ありがとう。

~花王のCM

私は私との時間を大切にしたいと思います。

~AGFのCM

金色の
ちひさき鳥のかたちして
銀杏ちるなり 夕日の岡に

~与謝野晶子の短歌

「ただいま」と「いってきます」の間にある、この時間が、私は好きだ。

~積水ハウスのCM

名前は、いちばん短いラブレターだと思う。

~PILOTのCM

寝ていても 団扇(うちわ)の動く 親心

~川柳

「おかえり」。それは、家族の始まりの合図。

~ACジャパンの広告

上を向いて歩こう
涙がこぼれないように

~『上を向いて歩こう』から

丘の上で
としよりと
こどもと
うっとりと雲を
ながめている

~山村慕鳥『雲』

花びらが散ると そこに
花びらのかたちの
なにか やさしいものが
あつまるように思われる

~工藤直子『ばら』

まっすぐな道でさみしい
 
また見ることもない山が遠ざかる
 
いちりん挿の椿いちりん
 
つくつくぼうしあまりにちかくつくつくぼうし
 
雲がいそいでよい月にする
 
雪をよろこぶ児らにふる雪うつくしき

~山頭火の俳句

石走る 垂水の上のさわらびの 萌え出づる春に なりにけるかも

~『万葉集』から志貴皇子の歌

新しき 年の初めの初春の 今日降る雪の いやしけ吉事

~『万葉集』から大伴家持の歌

菜の花畠に 入り日薄れ
見渡す山の端 霞深し
春風そよ吹く 空を見れば
夕月かかりて 匂い淡し

~『おぼろ月夜』から

かあさんが夜なべをして
てぶくろ編んでくれた
木枯らし吹いちゃ 冷たかろうて
せっせと編んだだよ
ふるさとの便りはとどく
いろりの匂いがした

~『かあさんの歌』から

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雨はふるふる 城ヶ島の磯に
利久鼠の 雨がふる
雨は真珠か 夜明けの霧か
それとも私の 忍び泣き

~『城ヶ島の雨』から

卯の花の匂う垣根に
時鳥(ほととぎす) 早も来鳴きて
忍び音もらす 夏は来ぬ

~『夏は来ぬ』から

春のうららの 隅田川
のぼりくだりの 船人が
櫂のしずくも 花と散る
ながめを何に たとうべき

~『花』から

本降りになって出てゆく雨宿り

~川柳

その人のいる場所は、その人のココロを映す鏡です。

~コスモ石油のCM

はしゃいでいないと、泣いてしまいそうだったから。

~JR東日本のCM

父は、君が好きです。ただ、それだけです。

~ミキハウスのCM

どこまでも行こう 道はきびしくとも
口笛を吹きながら 走って行こう

~『どこまでも行こう』から

しろやぎさんから おてがみ ついた
くろやぎさんたら よまずに たべた
しかたがないので おてがみ かいた
さっきのてがみの ごようじ なあに

~『やぎさんゆうびん』から

露と落ち 露と消えにし 我身かな 浪速のことも 夢のまた夢

~豊臣秀吉の辞世の句

四十九年 一炊の夢 一期の栄華 一盃の酒

~上杉謙信の辞世の句

うらを見せ 表を見せて 散るもみじ

~良寛の辞世の句

露の世は 露の世ながら さりながら

~小林一茶の辞世の句

ちょっと美しい日本語

昔の人たちが残してくれた、美しい日本語の数々。

バナースペース

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種田山頭火の俳句

今日の道のたんぽぽ咲いた
 
ひっそりかんとしてぺんぺん草の花かざり
 
何が何やらみんな咲いている
 
あるけばきんぽうげすわればきんぽうげ
 
とぼしいくらしの屋根の雪とけてしたたる
 
椿のおちる水のながれる
 
いつとなくさくらが咲いて逢うてはわかれる
 
あるがまま雑草として芽をふく
 
伸びるより咲いている
 
石に水を、春の夜にする
 
もう明けそうな窓あけて青葉
 
ほうたるこいこいふるさとにきた
 
いそいでもどるかなかなかなかな
 
はれたりふったり青田になった
 
日ざかりのお地蔵さまの顔がにこにこ
 
ほんによかった夕立の水音がそこここ
 
影もはっきりと青葉
 
炎天のはてもなく蟻の行列
 
百合咲けばお地蔵さまにも百合の花
 
あんたが来てくれそうなころの風鈴
 
あすはおまつりのだんじり組みあげて、雲
 
遠ざかるうしろの姿夕焼けて
 
もりもりもりあがる雲へ歩む
 
夕焼雲のうつくしければ人の恋しき
 
電車終点ほっかりとした月ありし
 
秋おだやかなお隣りの花を見るなり
 
笠にとんぼをとまらせてあるく
 
ひとりきいているきつつき
 
すわれば風がある秋の雑草
 
枝をさしのべている冬木
 
誰か来そうな雪がちらほら
 
何もかも雑炊としてあたたかく
 
洗えば大根いよいよ白し
 
草はうつくしい枯れざま
 
きょうもよく働いて人のなつかしや
 
どうしようもないわたしが歩いている
 
うつむいて石ころばかり
 
生えて伸びて咲いている幸福
 
ひっそり咲いて散ります
 
わかれてきた道がまっすぐ
 
わたしひとりの音させている
 
しみじみしずかな机の塵
 
だんだん似てくる癖の、父はもういない

万葉歌 人気トップ10

第1位
あかねさす 紫野行き 標野行き 野守は見ずや 君が袖振る
~額田王(巻1-20)

第2位
石走る 垂水の上の さわらびの 萌え出づる春に なりにけるかも
~志貴皇子(巻8-1418)

第3位
新しき 年の初めの 初春の 今日降る雪の いやしけ吉事
~大伴家持(巻20-4516)

第4位
春過ぎて 夏来たるらし 白妙の 衣干したり 天の香具山
~持統天皇(巻1-28)

第5位
田子の浦ゆ うち出でて見れば ま白にそ 富士の高嶺に 雪は降りける
~山部赤人(巻3-318)

第6位
恋ひ恋ひて 逢へる時だに 愛しき言尽くしてよ 長くと思はば
~大伴坂上郎女(巻4-661)

第7位
東の 野に炎の立つ見えて かへり見すれば 月傾きぬ
~柿本人麻呂(巻1-48)

第8位
熟田津に 船乗りせむと 月待てば 潮もかなひぬ 今は漕ぎいでな
~額田王(巻1-8)

第9位
銀も 金も玉もなにせむに 優れる宝 子に及かめやも
~山上憶良(巻5-803)

第10位
我が背子を 大和へ遣ると さ夜ふけて 暁露に 我が立ち濡れし
~大伯皇女(巻2-105)

(NHK『万葉集への招待』から)

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