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湯原王
天平前期の皇族(生没年・経歴未詳)。天智天皇の孫、志貴皇子の子で、兄弟に光仁天皇・春日王・海上女王らがいる。第3期の歌人で、『万葉集』には短歌19首が載る。歌はいずれも手馴れた巧さを見せ、父の透明感のある作風をそのまま継承し、またいっそう優美で繊細であると評価されている。
湯原王の歌の特徴
湯原王は、父である志貴皇子の歌風を継承しつつ、奈良時代中期以降の天平歌壇において優美で抒情豊かな恋歌・抒情歌を残した代表的歌人です。自然美や恋の切なさを非常にスマートかつ情緒的に表現し、天平期の歌人の中でも特に抒情性に秀でています。真骨頂はその恋歌にあり、相手を深く恋慕う情熱的な心境を直情径行に詠むのではなく、流麗で技巧的な調べに乗せて詠むのが特徴です。「目には見えずとも心で思う」といった、幻想的・内省的な心理描写にも長けています。そして、月や秋の夜、露といった風雅な自然の景物を好んで取り入れ、自らの恋心や孤独感と重ね合わせて表現しています。景物と感情の一体感が強く、視覚的・空間的な美しさがあります。また、古朴で重厚な初期万葉の歌風とは異なり、滑らかで整った三代集(古今和歌集など)の歌風に繋がるような、洗練された詞華的アプローチを見せます。そのように「個人の繊細な心理を優美な言葉で結晶化させる」スタイルの先駆者であり、後に続く王朝和歌の美意識の架け橋となった歌人といえます。
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『万葉集』の代表的歌人
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古典に親しむ
万葉集・竹取物語・枕草子などの原文と現代語訳。 |