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おもな歌人の歌万葉集(掲載歌の索引)古典に親しむ

『柿本人麻呂歌集』の歌(索引)②

  1. 巻10-2000 天の川安の渡りに舟浮けて秋立つ待つと妹に告げこそ
  2. 巻10-2001 大空ゆ通ふ我れすら汝がゆゑに天の川道をなづみてぞ来し
  3. 巻10-2002 八千桙の神の御代よりともし妻人知りにけり告げてし思へば
  4. 巻10-2003 我が恋ふる丹のほの面わ今夕もか天の川原に石枕まく
  5. 巻10-2004 己夫にともしき子らは泊てむ津の荒礒巻きて寝む君待ちかてに
  6. 巻10-2005 天地と別れし時ゆ己が妻しかぞ離れてあり秋待つ我れは
  7. 巻10-2006 彦星は嘆かす妻に言だにも告げにぞ来つる見れば苦しみ
  8. 巻10-2007 ひさかたの天つ印と水無し川隔てて置きし神代し恨めし
  9. 巻10-2008 ぬばたまの夜霧に隠り遠くとも妹が伝へは早く告げこそ
  10. 巻10-2009 汝が恋ふる妹の命は飽き足らに袖振る見えつ雲隠るまで
  11. 巻10-2010 夕星も通ふ天道をいつまでか仰ぎて待たむ月人壮士
  12. 巻10-2011 天の川い向ひ立ちて恋しらに言だに告げむ妻どふまでは
  13. 巻10-2012 白玉の五百つ集ひを解きもみず我れは寝かてぬ逢はむ日待つに
  14. 巻10-2013 天の川水蔭草の秋風に靡かふ見れば時は来にけり
  15. 巻10-2014 我が待ちし秋萩咲きぬ今だにもにほひに行かな彼方人に
  16. 巻10-2015 我が背子にうら恋ひ居れば天の川夜舟漕ぐなる楫の音聞こゆ
  17. 巻10-2016 ま日長く恋ふる心ゆ秋風に妹が音聞こゆ紐解き行かな
  18. 巻10-2017 恋ひしくは日長きものを今だにもともしむべしや逢ふべき夜だに
  19. 巻10-2018 天の川去年の渡りで移ろへば川瀬を踏むに夜ぞ更けにける
  20. 巻10-2019 古ゆあげてし服も顧みず天の川津に年ぞ経にける
  21. 巻10-2020 天の川夜船を漕ぎて明けぬとも逢はむと思へや袖交へずあらむ
  22. 巻10-2021 遠妻と手枕交へて寝たる夜は鶏がねな鳴き明けば明けぬとも
  23. 巻10-2022 相見らく飽き足らねども稲の目の明けさりにけり舟出せむ妻
  24. 巻10-2023 さ寝そめていくだもあらねば白栲の帯乞ふべしや恋も過ぎね
  25. 巻10-2024 万代にたづさはり居て相見とも思ひ過ぐべき恋にあらなくに
  26. 巻10-2025 万代に照るべき月も雲隠り苦しきものぞ逢はむと思へど
  27. 巻10-2026 白雲の五百重に隠り遠くとも宵さらず見む妹があたりは
  28. 巻10-2027 我がためと織女のそのやどに織る白栲は織りてけむかも
  29. 巻10-2028 君に逢はず久しき時ゆ織る服の白栲衣垢づくまでに
  30. 巻10-2029 天の川楫の音聞こゆ彦星と織女と今夜逢ふらしも
  31. 巻10-2030 秋されば川霧立てる天の川川に向き居て恋ふる夜ぞ多き
  32. 巻10-2031 よしゑやし直ならずともぬえ鳥のうら泣き居りと告げむ子もがも
  33. 巻10-2032 一年に七日の夜のみ逢ふ人の恋も過ぎねば夜は更けゆくも
  34. 巻10-2033 天の川安の川原定而神競者磨待無
  35. 巻10-2094 さを鹿の心相思ふ秋萩のしぐれの降るに散らくし惜しも
  36. 巻10-2095 夕されば野辺の秋萩うら若み露にぞ枯るる秋待ちかてに
  37. 巻10-2178 妻ごもる矢野の神山露霜ににほひそめたり散らまく惜しも
  38. 巻10-2179 朝露ににほひそめたる秋山にしぐれな降りそありわたるがね
  39. 巻10-2234 一日には千重しくしくに我が恋ふる妹があたりに時雨降る見ゆ
  40. 巻10-2239 秋山のしたひが下に鳴く鳥の声だに聞かば何か嘆かむ
  41. 巻10-2240 誰そかれと我れをな問ひそ九月の露に濡れつつ君待つ我れを
  42. 巻10-2241 秋の夜の霧立ちわたりおほほしく夢にぞ見つる妹が姿を
  43. 巻10-2242 秋の野の尾花が末の生ひ靡き心は妹に寄りにけるかも
  44. 巻10-2243 秋山に霜降り覆ひ木の葉散り年は行くとも我れ忘れめや
  45. 巻10-2312 我が袖に霰た走る巻き隠し消たずてあらむ妹が見むため
  46. 巻10-2313 あしひきの山かも高き巻向の岸の小松にみ雪降り来る
  47. 巻10-2314 巻向の檜原もいまだ雲居ねば小松が末ゆ沫雪流る
  48. 巻10-2315 あしひきの山道も知らず白橿の枝もとををに雪の降れれば
  49. 巻10-2333 降る雪の空に消ぬべく恋ふれども逢ふよしなしに月ぞ経にける
  50. 巻10-2334 沫雪は千重に降り敷け恋ひしくの日長き我れは見つつ偲はむ
  51. 巻11-2351 新室の壁草刈りにいましたまはね草のごと寄り合ふ娘子は・・・
  52. 巻11-2352 新室を踏み鎮む子が手玉鳴らすも玉の如照りたる君を・・・
  53. 巻11-2353 長谷の五百槻が下に吾が隠せる妻茜さし照れる月夜に・・・
  54. 巻11-2354 ますらをの思ひ乱れて隠せるその妻天地に通り照るとも・・・
  55. 巻11-2355 愛しと吾が念ふ妹は早も死ねやも生けりとも吾に依るべしと・・・
  56. 巻11-2356 高麗錦紐の片方ぞ床に落ちにける明日の夜し来なむと言はば・・・
  57. 巻11-2357 朝戸出の君が足結を濡らす露原早く起き出でつつ我れも・・・
  58. 巻11-2358 何せむに命をもとな長く欲りせむ生けりとも我が思ふ妹に・・・
  59. 巻11-2359 息の緒に我れは思へど人目多みこそ吹く風にあらばしばしば・・・
  60. 巻11-2360 人の親処女児据ゑて守山辺から朝な朝な通ひし君が・・・
  61. 巻11-2361 天にある一つ棚橋いかにか行かむ若草の妻がりと言はば・・・
  62. 巻11-2362 山背の久世の若子が欲しと言ふ我れあふさわに我れを・・・
  63. 巻11-2368 たらちねの母が手離れ斯くばかり術なき事はいまだ為なくに
  64. 巻11-2369 人の寝る味寐は寝ずて愛しきやし君が目すらを欲りし嘆かふ
  65. 巻11-2370 恋ひ死なば恋ひも死ねとや玉桙の道行く人の言も告らなく
  66. 巻11-2371 心には千重に思へど人に言はぬ我が恋妻を見むよしもがも
  67. 巻11-2372 かくばかり恋ひむものぞと知らませば遠くも見べく・・・
  68. 巻11-2373 何時はしも恋ひぬ時とはあらねども夕かたまけて恋ひはすべなし
  69. 巻11-2374 かくのみし恋ひやわたらむたまきはる命も知らず年は経につつ
  70. 巻11-2375 吾が後に生まれし人は我がごとく恋する道に逢ひこすなゆめ
  71. 巻11-2376 ますらをの現し心も我れはなし夜昼といはず恋ひしわたれば
  72. 巻11-2377 何せむに命継ぎけむ我妹子に恋ひぬ前にも死なましものを
  73. 巻11-2378 よしゑやし来まさぬ君を何せむにいとはず我れは恋ひつつ居らむ
  74. 巻11-2379 見わたせば近き渡りをた廻り今か来ますと恋ひつつぞ居る
  75. 巻11-2380 はしきやし誰が障ふれかも玉桙の道見忘れて君が来まさぬ
  76. 巻11-2381 君が目を見まく欲りしてこの二夜千年のごとも我は恋ふるかも
  77. 巻11-2382 うち日さす宮道を人は満ち行けど我が思ふ君はただひとりのみ
  78. 巻11-2383 世の中は常かくのみと思へどもはたた忘れずなほ恋ひにけり
  79. 巻11-2384 我が背子は幸くいますと帰り来と我れに告げ来む人も来ぬかも
  80. 巻11-2385 あらたまの五年経れど我が恋の跡なき恋のやまなくあやし
  81. 巻11-2386 巌すら行き通るべき健男も恋といふことは後悔いにけり
  82. 巻11-2387 日並べば人知りぬべし今日の日は千年のごともありこせぬか
  83. 巻11-2388 立ちて居てたづきも知らず思へども妹に告げねば間使も来ず
  84. 巻11-2389 ぬばたまのこの夜な明けそ赤らひく朝行く君を待たば苦しも
  85. 巻11-2390 恋するに死するものにあらませば我が身は千たび死に返らまし
  86. 巻11-2391 玉かぎる昨日の夕見しものを今日の朝に恋ふべき
  87. 巻11-2392 なかなかに見ざりしよりも相見ては恋しき心増して思ほゆ
  88. 巻11-2393 玉桙の道行かずあらばねもころのかかる恋には・・・
  89. 巻11-2394 朝影にわが身はなりぬ玉かぎるほのかに見えて去にし子ゆゑ
  90. 巻11-2395 行き行きて逢はぬ妹ゆゑひさかたの天露霜に濡れにけるかも
  91. 巻11-2396 たまさかに我が見し人をいかにあらむ縁を以ちてか・・・
  92. 巻11-2397 しましくも見ねば恋ほしき我妹子を日に日に来なば・・・
  93. 巻11-2398 たまきはる代までと定め頼みたる君によりてし言の繁けく
  94. 巻11-2399 朱らひく膚に触れずて寝たれども心を異しく我が念はなくに
  95. 巻11-2400 いで何かここだ甚だ利心の失するまで思ふ恋ゆゑにこそ
  96. 巻11-2401 恋ひ死なば恋ひも死ねとや我妹子が吾家の門を過ぎて行くら
  97. 巻11-2402 妹があたり遠くも見れば怪しくも我れはそ恋ふる・・・
  98. 巻11-2403 玉久世の清き川原に身禊斎ふ命は妹がためこそ
  99. 巻11-2404 思ひ寄り見ては寄りにしものにあれば一日の間も忘れて思へや
  100. 巻11-2405 垣ほなす人は言へども高麗錦紐解き開けし君ならなくに
  101. 巻11-2406 高麗錦紐解き開けて夕だに知らざる命恋ひつつあらむ
  102. 巻11-2407 百積の船隠り入る八占さし母は問ふともその名は告らじ
  103. 巻11-2408 眉根掻き鼻ひ紐解け待つらむかいつかも見むと思へる我れを
  104. 巻11-2409 君に恋ひうらぶれ居れば悔しくも我が下紐の結ふ手いたづらに
  105. 巻11-2410 あらたまの年は果つれどしきたへの袖交へし児を忘れて思へや
  106. 巻11-2411 白栲の袖をはつはつ見しからにかかる恋をも我れはするかも
  107. 巻11-2412 我妹子に恋ひてすべなみ夢見むと我は思へど寝ねらえなくに
  108. 巻11-2413 故もなく我が下紐を解けしめて人にな知らせ直に逢ふまでに
  109. 巻11-2414 恋ふること慰めかねて出で行けば山も川をも知らず来にけり
  110. 巻11-2415 娘子らを袖布留山の瑞垣の久しき時ゆ思ひけり吾等は
  111. 巻11-2416 ちはやぶる神の持たせる命をば誰がためにかも長く欲りせむ
  112. 巻11-2417 石上布留の神杉神さびて恋をもわれは更にするかも
  113. 巻11-2418 いかならむ名負ふ神にし手向けせば我が思ふ妹を夢にだに見む
  114. 巻11-2419 天地といふ名の絶えてあらばこそ汝と我れと逢ふこと止まめ
  115. 巻11-2420 月見れば国は同じぞ山隔り愛し妹は隔りたるかも
  116. 巻11-2421 来る道は石踏む山は無くもがも我が待つ君が馬つまづくに
  117. 巻11-2422 石根踏むへなれる山はあらねども逢はぬ日まねみ・・・
  118. 巻11-2423 道の後深津島山しましくも君が目見ねば苦しかりけり
  119. 巻11-2424 紐鏡能登香の山も誰がゆゑか君来ませるに紐解かず寝む
  120. 巻11-2425 山科の木幡の山を馬はあれど徒歩ゆ吾が来し汝を念ひかね
  121. 巻11-2426 遠山に霞たなびきいや遠に妹が目見ねば我れ恋ひにけり
  122. 巻11-2427 宇治川の瀬々のしき波しくしくに妹は心に乗りにけるかも
  123. 巻11-2428 ちはや人宇治の渡りの瀬を早み逢はずこそあれ後も我が妻
  124. 巻11-2429 はしきやし逢はぬ子ゆゑにいたづらに宇治川の瀬に・・・
  125. 巻11-2430 宇治川の水泡さかまき行く水の事かへらずぞ思ひ染めてし

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『柿本人麻呂歌集』

 『万葉集』には題詞に人麻呂作とある歌が80余首あり、それ以外に『人麻呂歌集』から採ったという歌が375首あります。『人麻呂歌集』は『万葉集』成立以前の和歌集で、人麻呂が2巻に編集したものとみられています。

 この歌集から『万葉集』に収録された歌は、全部で9つの巻にわたっています(巻第2に1首、巻第3に1首、巻第7に56首、巻第9に49首、巻第10に68首、巻第11に163首、巻第12に29首、巻第13に3首、巻第14に5首。中には重複歌あり)。ただし、それらの中には女性の歌や明らかに別人の作、伝承歌もあり、すべてが人麻呂の作というわけではないようです。題詞もなく作者名も記されていない歌がほとんどなので、それらのどれが人麻呂自身の歌でどれが違うかのかの区別ができず、おそらく永久に解決できないだろうとされています。

 文学者の中西進氏は、人麻呂はその存命中に歌のノートを持っており、行幸に従った折の自作や他作をメモしたり、土地土地の庶民の歌、また個人的な生活や旅行のなかで詠じたり聞いたりした歌を記録したのだろうと述べています。また詩人の大岡信は、これらの歌がおしなべて上質であり、仮に民謡的性格が明らかな作であっても、実に芸術的表現になっているところから、人麻呂の関与を思わせずにおかない、彼自身が自由にそれらに手を加えたことも十分考えられると述べています。 

古典に親しむ

万葉集・竹取物語・枕草子などの原文と現代語訳。