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おもな歌人の歌万葉集(掲載歌の索引)古典に親しむ

『柿本人麻呂歌集』の歌(索引)①

  1. 巻2-146 後見むと君が結べる磐代の小松がうれをまた見けむかも
  2. 巻3-244 み吉野の三船の山に立つ雲の常にあらむと我が思はなくに
  3. 巻7-1068 天の海に雲の波立ち月の船星の林に漕ぎ隠る見ゆ
  4. 巻7-1087 穴師川川波立ちぬ巻向の弓月が岳に雲居立てるらし
  5. 巻7-1088 あしひきの山川の瀬の響なへに弓月が嶽に雲立ち渡る
  6. 巻7-1092 鳴る神の音のみ聞きし巻向の桧原の山を今日見つるかも
  7. 巻7-1093 三諸のその山なみに子らが手を巻向山は継ぎしよろしも
  8. 巻7-1094 我が衣色取り染めむ味酒三室の山は黄葉しにけり
  9. 巻7-1100 巻向の穴師の川ゆ行く水の絶ゆることなくまたかへり見む
  10. 巻7-1101 ぬばたまの夜さり来れば巻向の川音高しも嵐かも疾き
  11. 巻7-1118 いにしへにありけむ人も吾が如か三輪の檜原に挿頭折りけむ
  12. 巻7-1119 行く川の過ぎにし人の手折らねばうらぶれ立てり三輪の桧原は
  13. 巻7-1187 網引する海人とか見らむ飽の浦の清き荒磯を見に来し我れを
  14. 巻7-1247 大汝少御神の作らしし妹背の山を見らくしよしも
  15. 巻7-1248 我妹子と見つつ偲はむ沖つ藻の花咲きたらば我れに告げこそ
  16. 巻7-1249 君がため浮沼の池の菱摘むと我が染めし袖濡れにけるかも
  17. 巻7-1250 妹がため菅の実摘みに行きし我れ山道に惑ひこの日暮らしつ
  18. 巻7-1268 子らが手を巻向山は常にあれど過ぎにし人に行き巻かめやも
  19. 巻7-1269 巻向の山辺響みて行く水の水沫のごとし世の人我れは
  20. 巻7-1271 遠くありて雲居に見ゆる妹が家に早く至らむ歩め黒駒
  21. 巻7-1272 大刀の後鞘に入野に葛引く我妹真袖もち着せてむとかも・・・
  22. 巻7-1273 住吉の波豆麻の君が馬乗衣さひづらふ漢女を据ゑて縫へる衣ぞ
  23. 巻7-1274 住吉の出見の浜の柴な刈りそね娘子らが赤裳の裾の・・・
  24. 巻7-1275 住吉の小田を刈らす子奴かもなき奴あれど妹がみためと私田刈る
  25. 巻7-1276 池の辺の小槻の下の細竹な刈りそね其をだに君が形見に・・・
  26. 巻7-1277 天にある日売菅原の草な刈りそね蜷の腸か黒き髪に芥し付くも
  27. 巻7-1278 夏蔭の妻屋の下に衣裁つ我妹うら設けて我がため裁たば・・・
  28. 巻7-1279 梓弓引津の辺なる名告藻の花摘むまでに逢はずあらめやも・・・
  29. 巻7-1280 うちひさす宮道を行くに我が裳は破れぬ玉の緒の思ひ乱れて・・・
  30. 巻7-1281 君がため手力疲れ織りたる衣ぞ春さらばいかなる色に・・・
  31. 巻7-1282 梯立の倉橋山に立てる白雲見まく欲り我がするなへに立てる白雲
  32. 巻7-1283 梯立の倉橋川の石の橋はも男盛りに我が渡りてし石の橋はも
  33. 巻7-1284 梯立の倉橋川の川の静菅我が刈りて笠にも編まぬ川の静菅
  34. 巻7-1285 春日すら田に立ち疲れ君は悲しも若草の妻なき君が田に立ち疲る
  35. 巻7-1286 山背の久世の社の草な手折りそ我が時と立ち栄ゆとも・・・
  36. 巻7-1287 青みづら依網の原に人も逢はぬかも石走る近江県の物語りせむ
  37. 巻7-1288 水門の葦の末葉を誰れか手折りし我が背子が振る手を見むと・・・
  38. 巻7-1289 垣越しに犬呼び越して鳥猟する君青山の茂き山辺に馬休め君
  39. 巻7-1290 海の底沖つ玉藻の名告藻の花妹と我れとここにしありと・・・
  40. 巻7-1291 この岡に草刈る童児然な刈りそねありつつも君が来まさむ・・・
  41. 巻7-1292 江林に宿る猪鹿やも求むるによき白栲の袖巻き上げて・・・
  42. 巻7-1293 霰降り遠つ淡海の吾跡川楊刈れどもまたも生ふといふ吾跡川楊
  43. 巻7-1294 朝づく日向ひの山に月立てり見ゆ遠妻を待ちたる人し・・・
  44. 巻7-1296 今作る斑の衣は面影に我れに思ほゆ未だ着ねども
  45. 巻7-1297 紅に衣染めまく欲しけども着てにほはばか人の知るべき
  46. 巻7-1298 かにかくに人は言ふとも織り継がむ我が機物の白き麻衣
  47. 巻7-1299 あぢ群のとをよる海に舟浮けて白玉採ると人に知らゆな
  48. 巻7-1300 をちこちの礒の中なる白玉を人に知らえず見むよしもがも
  49. 巻7-1301 海神の手に巻き持てる玉ゆゑに礒の浦廻に潜きするかも
  50. 巻7-1302 海神の持てる白玉見まく欲り千たびぞ告りし潜きする海人
  51. 巻7-1303 潜きする海人は告れども海神の心し得ねば見ゆといはなくに
  52. 巻7-1304 天雲のたなびく山の隠りたる我が下心木の葉知るらむ
  53. 巻7-1305 見れど飽かぬ人国山の木の葉をし我が心からなつかしみ思ふ
  54. 巻7-1306 この山の黄葉が下の花を我れはつはつに見てなほ恋ひにけり
  55. 巻7-1307 この川ゆ舟は行くべくありといへど渡り瀬ごとに守る人あり
  56. 巻7-1308 大海を候ふ港事しあらばいづへゆ君は我を率しのがむ
  57. 巻7-1309 風吹きて海は荒るとも明日と言はば久しくあるべし君がまにまに
  58. 巻7-1310 雲隠る小島の神の畏けば目こそば隔て心隔てや
  59. 巻9-1682 とこしへに夏冬行けや裘扇放たぬ山に住む人
  60. 巻9-1683 妹が手を取りて引き攀ぢふさ手折り我が挿すべく花咲けるかも
  61. 巻9-1684 春山は散り過ぎぬとも三輪山はいまだ含めり君待ちかてに
  62. 巻9-1685 川の瀬の激ちを見れば玉かも散り乱れたる川の常かも
  63. 巻9-1686 彦星のかざしの玉し妻恋に乱れにけらしこの川の瀬に
  64. 巻9-1687 白鳥の鷺坂山の松蔭に宿りて行かな夜も更け行くを
  65. 巻9-1688 あぶり干す人もあれやも濡れ衣を家には遣らな旅のしるしに
  66. 巻9-1689 荒磯辺につきて漕がさね杏人の浜を過ぐれば恋しくありなり
  67. 巻9-1690 高島の阿渡川波は騒けども我れは家思ふ宿り悲しみ
  68. 巻9-1691 旅なれば夜中をさして照る月の高島山に隠らく惜しも
  69. 巻9-1692 我が恋ふる妹は逢はさず玉の浦に衣片敷き独りかも寝む
  70. 巻9-1693 玉櫛笥明けまく惜しきあたら夜を衣手離れて独りかも寝む
  71. 巻9-1694 栲領巾の鷺坂山の白つつじ我れににほはね妹に示さむ
  72. 巻9-1695 妹が門入り泉川の常滑にみ雪残れりいまだ冬かも
  73. 巻9-1696 衣手の名木の川辺を春雨に我れ立ち濡ると家思ふらむか
  74. 巻9-1697 家人の使ひにあらし春雨の避くれど我れを濡らさく思へば
  75. 巻9-1698 あぶり干す人もあれやも家人の春雨すらを間使ひにする
  76. 巻9-1699 巨椋の入江響むなり射目人の伏見が田居に雁渡るらし
  77. 巻9-1700 秋風に山吹の瀬の鳴るなへに天雲翔る雁に逢へるかも
  78. 巻9-1701 さ夜中と夜は更けぬらし雁が音の聞こゆる空に月渡る見ゆ
  79. 巻9-1702 妹があたり繁き雁が音夕霧に来鳴きて過ぎぬすべなきまでに
  80. 巻9-1703 雲隠り雁鳴く時は秋山の黄葉片待つ時は過ぎねど
  81. 巻9-1704 ふさ手折り多武の山霧繁みかも細川の瀬に波の騒ける
  82. 巻9-1705 冬こもり春へを恋ひて植ゑし木の実になる時を片待つ吾等ぞ
  83. 巻9-1706 ぬばたまの夜霧は立ちぬ衣手を高屋の上にたなびくまでに
  84. 巻9-1707 山代の久世の鷺坂神代より春は張りつつ秋は散りけり
  85. 巻9-1708 春草を馬咋山ゆ越え来なる雁の使ひは宿り過ぐなり
  86. 巻9-1709 御食向ふ南淵山の巌には降りしはだれか消え残りたる
  87. 巻9-1710 我妹子が赤裳ひづちて植ゑし田を刈りて収めむ倉無の浜
  88. 巻9-1711 百伝ふ八十の島廻を漕ぎ来れど粟の小島は見れど飽かぬかも
  89. 巻9-1715 楽浪の比良山風の海吹けば釣りする海人の袖返る見ゆ
  90. 巻9-1720 馬並めてうち群れ越え来今日見つる吉野の川をいつかへり見む
  91. 巻9-1721 苦しくも暮れゆく日かも吉野川清き川原を見れど飽かなくに
  92. 巻9-1722 吉野川川波高み滝の浦を見ずかなりなむ恋しけまくに
  93. 巻9-1723 かはづ鳴く六田の川の川柳のねもころ見れど飽かぬ川かも
  94. 巻9-1724 見まく欲り来しくも著く吉野川音のさやけさ見るにともしく
  95. 巻9-1725 いにしへの賢しき人の遊びけむ吉野の川原見れど飽かぬかも
  96. 巻9-1761 三諸の神奈備山に立ち向かふ御垣の山に秋萩の・・・(長歌)
  97. 巻9-1762 明日の宵逢はざらめやもあしひきの山彦響め呼びたて鳴くも
  98. 巻9-1773 神奈備の神寄せ板にする杉の思ひも過ぎず恋の繁きに
  99. 巻9-1774 たらちねの母の命の言にあらば年の緒長く頼め過ぎむや
  100. 巻9-1775 泊瀬川夕渡り来て我妹子が家の金門に近づきにけり
  101. 巻9-1782 雪こそは春日消ゆらめ心さへ消え失せたれや言も通はぬ
  102. 巻9-1783 松返りしひてあれやは三栗の中上り来ぬ麻呂といふ奴
  103. 巻9-1795 妹らがり今木の嶺に茂り立つ夫松の木は古人見けむ
  104. 巻9-1796 もみち葉の過ぎにし児らと携はり遊びし磯を見れば悲しも
  105. 巻9-1797 潮気立つ荒磯にはあれど行く水の過ぎにし妹が形見とそ来し
  106. 巻9-1798 古に妹と我が見しぬばたまの黒牛潟を見れば寂しも
  107. 巻9-1799 玉津島礒の浦廻の真砂にもにほひて行かな妹も触れけむ
  108. 巻10-1812 ひさかたの天の香具山このゆふへ霞たなびく春立つらしも
  109. 巻10-1813 巻向の檜原に立てる春霞おほにし思はばなづみ来めやも
  110. 巻10-1814 いにしへの人の植ゑけむ杉が枝に霞たなびく春は来ぬらし
  111. 巻10-1815 子らが手を巻向山に春されば木の葉凌ぎて霞たなびく
  112. 巻10-1816 玉かぎる夕さり来れば猟人の弓月が岳に霞たなびく
  113. 巻10-1817 今朝行きて明日は来なむとねと云ひしかに朝妻山に霞たなびく
  114. 巻10-1818 子等が名に懸けのよろしき朝妻の片山ぎしに霞たなびく
  115. 巻10-1890 春山の友鶯の泣き別れ帰ります間も思ほせ我れを
  116. 巻10-1891 冬こもり春咲く花を手折り持ち千たびの限り恋ひわたるかも
  117. 巻10-1892 春山の霧に惑へる鴬も我れにまさりて物思はめやも
  118. 巻10-1893 出でて見る向ひの岡に本茂く咲きたる花の成らずは止まじ
  119. 巻10-1894 霞立つ春の長日を恋ひ暮らし夜も更けゆくに妹も逢はぬかも
  120. 巻10-1895 春されば先づ三枝の幸くあらば後にも逢はむな恋ひそ我妹
  121. 巻10-1896 春さればしだり柳のとををにも妹は心に乗りにけるかも
  122. 巻10-1996 天の川水さへに照る舟泊てて舟なる人は妹と見えきや
  123. 巻10-1997 ひさかたの天の川原にぬえ鳥のうら泣きましつすべなきまでに
  124. 巻10-1998 我が恋を夫は知れるを行く舟の過ぎて来べしや言も告げなむ
  125. 巻10-1999 赤らひく色ぐはし子をしば見れば人妻ゆゑに我れ恋ひぬべし

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『柿本人麻呂歌集』

 『万葉集』には題詞に人麻呂作とある歌が80余首あり、それ以外に『人麻呂歌集』から採ったという歌が375首あります。『人麻呂歌集』は『万葉集』成立以前の和歌集で、人麻呂が2巻に編集したものとみられています。

 この歌集から『万葉集』に収録された歌は、全部で9つの巻にわたっています(巻第2に1首、巻第3に1首、巻第7に56首、巻第9に49首、巻第10に68首、巻第11に163首、巻第12に29首、巻第13に3首、巻第14に5首。中には重複歌あり)。ただし、それらの中には女性の歌や明らかに別人の作、伝承歌もあり、すべてが人麻呂の作というわけではないようです。題詞もなく作者名も記されていない歌がほとんどなので、それらのどれが人麻呂自身の歌でどれが違うかのかの区別ができず、おそらく永久に解決できないだろうとされています。

 文学者の中西進氏は、人麻呂はその存命中に歌のノートを持っており、行幸に従った折の自作や他作をメモしたり、土地土地の庶民の歌、また個人的な生活や旅行のなかで詠じたり聞いたりした歌を記録したのだろうと述べています。また詩人の大岡信は、これらの歌がおしなべて上質であり、仮に民謡的性格が明らかな作であっても、実に芸術的表現になっているところから、人麻呂の関与を思わせずにおかない、彼自身が自由にそれらに手を加えたことも十分考えられると述べています。 

古典に親しむ

万葉集・竹取物語・枕草子などの原文と現代語訳。