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おもな歌人の歌万葉集(掲載歌の索引)古典に親しむ

『柿本人麻呂歌集』の歌(索引)③

  1. 巻11-2431 鴨川の後瀬静けく後も逢はむ妹には我れは今ならずとも
  2. 巻11-2432 言に出でて言はばゆゆしみ山川のたぎつ心を塞かへたりけり
  3. 巻11-2433 水の上に数書くごとき我が命妹に逢はむとうけひつるかも
  4. 巻11-2434 荒礒越し外行く波の外心我れは思はじ恋ひて死ぬとも
  5. 巻11-2435 近江の海沖つ白波知らずとも妹がりといはば七日越え来む
  6. 巻11-2436 大船の香取の海に碇おろし如何なる人か物念はざらむ
  7. 巻11-2437 沖つ裳を隠さふ波の五百重波千重しくしくに恋ひ渡るかも
  8. 巻11-2438 人言はしましぞ我妹綱手引く海ゆまさりて深くしぞ思ふ
  9. 巻11-2439 近江の海沖つ島山奥まけて我が思ふ妹が言の繁けく
  10. 巻11-2440 近江の海沖漕ぐ舟の碇下ろし蔵めて君が言待つ我れぞ
  11. 巻11-2441 隠り沼の下ゆ恋ふればすべをなみ妹が名告りつ忌むべきものを
  12. 巻11-2442 大土は取り尽くすとも世の中の尽くしえぬものは・・・
  13. 巻11-2443 隠りどの沢泉なる石根ゆも通りてぞ思ふ我が恋ふらくは
  14. 巻11-2444 白真弓石辺の山の常磐なる命なれやも恋ひつつ居らむ
  15. 巻11-2445 近江の海沈く白玉知らずして恋ひせしよりは今こそまされ
  16. 巻11-2446 白玉を巻きてぞ持てる今よりは我が玉にせむ知れる時だに
  17. 巻11-2447 白玉を手に巻きしより忘れじと思ひけらくは何か終らむ
  18. 巻11-2448 ぬば玉の間開けつつ貫ける緒もくくり寄すれば後も逢ふものを
  19. 巻11-2449 香具山に雲居たなびきおほほしく相見し子らを後恋ひむかも
  20. 巻11-2450 雲間よりさ渡る月のおほほしく相見し子らを見むよしもがも
  21. 巻11-2451 天雲の寄り合ひ遠み逢はずとも他し手枕我れまかめやも
  22. 巻11-2452 雲だにも著くし立たば慰めて見つつも居らむ直に逢ふまでに
  23. 巻11-2453 春柳葛城山に立つ雲の立ちても居ても妹をしぞ思ふ
  24. 巻11-2454 春日山雲居隠りて遠けども家は思はず君をしぞ思ふ
  25. 巻11-2455 我がゆゑに言はれし妹は高山の嶺の朝霧過ぎにけむかも
  26. 巻11-2456 ぬばたまの黒髪山の山菅に小雨降りしきしくしく思ほゆ
  27. 巻11-2457 大野らに小雨降りしく木の下に時と寄り来ね我が思ふ人
  28. 巻11-2458 朝霜の消なば消ぬべく思ひつついかにこの夜を明かしてむかも
  29. 巻11-2459 我が背子が浜行く風のいや急に急事増して逢はずかもあらむ
  30. 巻11-2460 遠き妹が振り放け見つつ偲ふらむこの月の面に雲なたなびき
  31. 巻11-2461 山の端を追ふ三日月のはつはつに妹をぞ見つる恋ほしきまでに
  32. 巻11-2462 我妹子し我れを思はばまそ鏡照り出づる月の影に見え来ね
  33. 巻11-2463 ひさかたの天光る月の隠りなば何になそへて妹を偲はむ
  34. 巻11-2464 若月の清にも見えず雲隠り見まくぞ欲しきうたてこのころ
  35. 巻11-2465 我が背子に吾が恋ひ居れば吾が屋戸の草さへ思ひ・・・
  36. 巻11-2466 浅茅原小野に標結ふ空言を如何なりと言ひて君をし待たむ
  37. 巻11-2467 路の辺の草深百合の後もと言ふ妹が命を我れ知らめやも
  38. 巻11-2468 湊葦に交れる草の知草の人皆知りぬ吾が下思ひは
  39. 巻11-2469 山ぢさの白露重みうらぶれて心に深く吾が恋やまず
  40. 巻11-2470 湊にさ根延ふ小菅ぬすまはず君に恋ひつつありかてぬかも
  41. 巻11-2471 山背の泉の小菅なみなみに妹が心をわが思はなくに
  42. 巻11-2472 見渡しの三室の山の巌菅ねもころ我は片思ぞする
  43. 巻11-2473 菅の根のねもころ君が結びたるわが紐の緒を解く人はあらじ
  44. 巻11-2474 山菅の乱れ恋のみせしめつつ逢はぬ妹かも年は経につつ
  45. 巻11-2475 我が宿の軒の子太草生ひたれど恋忘れ草見るに未だ生ひず
  46. 巻11-2476 打つ田にも稗はし数多ありといへど選えし我れぞ夜を一人寝る
  47. 巻11-2477 あしひきの名に負ふ山菅押し伏せて君し結ばば逢はざらめやも
  48. 巻11-2478 秋柏潤和川辺の小竹の芽の人には忍び君に堪へなくに
  49. 巻11-2479 さね葛後も逢はむと夢のみをうけひ渡りて年は経につつ
  50. 巻11-2480 道の辺のいちしの花のいちしろく人皆知りぬ我が恋妻は
  51. 巻11-2481 大野らにたどきも知らず標結ひてありかつましじ・・・
  52. 巻11-2482 水底に生ふる玉藻のうち靡き心は寄りて恋ふるこのころ
  53. 巻11-2483 敷栲の衣手離れて玉藻なす靡きか寝らむ我を待ちかてに
  54. 巻11-2484 君来ずは形見にせむと我がふたり植ゑし松の木君を待ち出でむ
  55. 巻11-2485 袖振らば見ゆべき限り我れはあれどその松が枝に隠らひにけり
  56. 巻11-2486 茅渟の海の浜辺の小松根深めて我が恋ひ渡る人の子ゆゑに
  57. 巻11-2487 奈良山の小松が末のうれむぞは我が思ふ妹に逢はず止みなむ
  58. 巻11-2488 礒の上に立てるむろの木ねもころに何しか深め思ひそめけむ
  59. 巻11-2489 橘の本に我を立て下枝取り成らむや君と問ひし子らはも
  60. 巻11-2490 天雲に翼打ちつけて飛ぶ鶴のたづたづしかも君しまさねば
  61. 巻11-2491 妹に恋ひ寐ねぬ朝明に鴛鴦のこゆかく渡る妹が使か
  62. 巻11-2492 思ひにし余りにしかば鳰鳥のなづさひ来しを人見けむかも
  63. 巻11-2493 高山の嶺行くししの友を多み袖振らず来ぬ忘ると思ふな
  64. 巻11-2494 大船に真楫しじ貫き漕ぐほともここだ恋ふるを年に・・・
  65. 巻11-2495 たらちねの母が養ふ蚕の繭隠り隠れる妹を見むよしもがも
  66. 巻11-2496 肥人の額髪結へる染木綿の染みにし心我れ忘れめや
  67. 巻11-2497 隼人の名に負ふ夜声のいちしろく我が名は告りつ妻と頼ませ
  68. 巻11-2498 剣大刀諸刃の利きに足踏みて死なば死なむよ君によりては
  69. 巻11-2499 我妹子に恋ひしわたれば剣大刀名の惜しけくも思ひかねつも
  70. 巻11-2500 朝月の日向黄楊櫛古りぬれど何しか君が見れど飽かざらむ
  71. 巻11-2501 里遠み恋ひうらぶれぬまそ鏡床の辺去らず夢に見えこそ
  72. 巻11-2502 まそ鏡手に取り持ちて朝な朝な見れども君は飽くこともなし
  73. 巻11-2503 夕されば床の辺去らぬ黄楊枕何しか汝れが主待ち難き
  74. 巻11-2504 解き衣の恋ひ乱れつつ浮真砂生きても吾はありわたるかも
  75. 巻11-2505 梓弓引きて許さずあらませばかかる恋には逢はざらましを
  76. 巻11-2506 言霊の八十の衢に夕占問ふ占まさに告る妹は相寄らむ
  77. 巻11-2507 玉桙の道行き占に占なへば妹は逢はむと我れに告りつも
  78. 巻11-2508 皇祖の神の御門を畏みとさもらふ時に逢へる君かも
  79. 巻11-2509 まそ鏡見とも言はめや玉かぎる岩垣淵の隠りてある妻
  80. 巻11-2510 赤駒が足掻速けば雲居にも隠り行かむぞ袖まけ我妹
  81. 巻11-2511 隠口の豊泊瀬道は常滑のかしこき道ぞ汝が心ゆめ
  82. 巻11-2512 味酒の三諸の山に立つ月の見が欲し君が馬の音ぞする
  83. 巻11-2513 鳴る神の少し響みてさし曇り雨も降らぬか君を留めむ
  84. 巻11-2514 鳴る神の少し響みて降らずとも我は留まらむ妹し留めば
  85. 巻11-2515 敷栲の枕響みて夜も寝ず思ふ人には後も逢ふものを
  86. 巻11-2516 敷栲の枕は人に言問へやその枕には苔生しにたり
  87. 巻11-2634 里遠み恋ひわびにけりまそ鏡面影去らず夢に見えこそ
  88. 巻11-2808 眉根掻き鼻ひ紐解け待てりやも何時かも見むと恋ひ来し吾を
  89. 巻12-2841 我が背子が朝けの形能く見ずて今日の間を恋ひ暮らすかも
  90. 巻12-2842 我が心ともしみ思ふ新た夜の一夜もおちず夢に見えこそ
  91. 巻12-2843 愛しと我が念ふ妹を人みなの行く如見めや手にまかずして
  92. 巻12-2844 このころの寐の寝らえぬは敷栲の手枕まきて寝まく欲りこそ
  93. 巻12-2845 忘るやと物語りして心遣り過ぐせど過ぎずなほ恋ひにけり
  94. 巻12-2846 夜も寝ず安くもあらず白栲の衣は脱かじ直に逢ふまでに
  95. 巻12-2847 後も逢はむ我にな恋ひそと妹は言へど恋ふる間に年は経につつ
  96. 巻12-2848 直に逢はずあるは諾なり夢にだに何しか人の言の繁けむ
  97. 巻12-2849 ぬばたまのその夢にだに見え継ぐや袖干る日なく・・・
  98. 巻12-2850 うつつには直には逢はず夢にだに逢ふと見えこそ・・・
  99. 巻12-2851 人の見る上は結びて人の見ぬ下紐開けて恋ふる日ぞ多き
  100. 巻12-2852 人言の繁き時には我妹子し衣なりせば下に着ましを
  101. 巻12-2853 真玉つく遠をし兼ねて思へこそ一重の衣ひとり着て寝れ
  102. 巻12-2854 白栲の我が紐の緒の絶えぬ間に恋結びせむ逢はむ日までに
  103. 巻12-2855 新墾の今作る道さやかにも聞きてけるかも妹が上のことを
  104. 巻12-2856 山背の石田の社に心鈍く手向けしたれや妹に逢ひかたき
  105. 巻12-2857 菅の根のねもころごろに照る日にも干めや我が袖・・・
  106. 巻12-2858 妹に恋ひ寐寝ぬ朝に吹く風は妹にし触れば我れさへに触れ
  107. 巻12-2859 明日香川高川避かし越え来しをまこと今夜は明けずも行かぬか
  108. 巻12-2860 八釣川水底絶えず行く水の継ぎてぞ恋ふるこの年ころ
  109. 巻12-2861 礒の上に生ふる小松の名を惜しみ人に知らえず恋ひわたるかも
  110. 巻12-2862 山河の水陰に生ふる山菅の止まずも妹が思ほゆるかも
  111. 巻12-2863 浅葉野に立ち神さぶる菅の根のねもころ誰がゆゑ・・・
  112. 巻12-2947 思ふにし余りにしかば術を無み我は言ひてき忌むべきものを
  113. 巻12-3063 浅茅原小野に標結ふ空言も逢はむと聞こせ恋のなぐさに
  114. 巻12-3127 度会の大川の辺の若久木我が久ならば妹恋ひむかも
  115. 巻12-3128 我妹子を夢に見え来と大和道の渡り瀬ごとに手向けぞ我がする
  116. 巻12-3129 桜花咲きかも散ると見るまでに誰れかも此所に見えて散り行く
  117. 巻12-3130 豊国の企救の浜松ねもころに何しか妹に相言ひそめけむ
  118. 巻13-3253 葦原の瑞穂の国は神ながら言挙げせぬ国しかれども・・・(長歌)
  119. 巻13-3254 磯城島の大和の国は言霊の助くる国ぞま幸くありこそ
  120. 巻13-3309 物思はず道行く行くも青山を振りさけ見ればつつじ花・・・(長歌)
  121. 巻14-3417 上つ毛野伊奈良の沼の大藺草外に見しよは今こそまされ
  122. 巻14-3441 ま遠くの雲居に見ゆる妹が家にいつか至らむ歩め我が駒
  123. 巻14-3470 相見ては千年や去ぬるいなをかも我れや然思ふ君待ちがてに
  124. 巻14-3481 あり衣のさゑさゑしづみ家の妹に物言はず来にて思ひ苦しも
  125. 巻14-3490 梓弓末は寄り寝む正香こそ人目を多み汝をはしに置けれ

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『柿本人麻呂歌集』

 『万葉集』には題詞に人麻呂作とある歌が80余首あり、それ以外に『人麻呂歌集』から採ったという歌が375首あります。『人麻呂歌集』は『万葉集』成立以前の和歌集で、人麻呂が2巻に編集したものとみられています。

 この歌集から『万葉集』に収録された歌は、全部で9つの巻にわたっています(巻第2に1首、巻第3に1首、巻第7に56首、巻第9に49首、巻第10に68首、巻第11に163首、巻第12に29首、巻第13に3首、巻第14に5首。中には重複歌あり)。ただし、それらの中には女性の歌や明らかに別人の作、伝承歌もあり、すべてが人麻呂の作というわけではないようです。題詞もなく作者名も記されていない歌がほとんどなので、それらのどれが人麻呂自身の歌でどれが違うかのかの区別ができず、おそらく永久に解決できないだろうとされています。

 文学者の中西進氏は、人麻呂はその存命中に歌のノートを持っており、行幸に従った折の自作や他作をメモしたり、土地土地の庶民の歌、また個人的な生活や旅行のなかで詠じたり聞いたりした歌を記録したのだろうと述べています。また詩人の大岡信は、これらの歌がおしなべて上質であり、仮に民謡的性格が明らかな作であっても、実に芸術的表現になっているところから、人麻呂の関与を思わせずにおかない、彼自身が自由にそれらに手を加えたことも十分考えられると述べています。 

古典に親しむ

万葉集・竹取物語・枕草子などの原文と現代語訳。